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続・ドリアン・グレイの肖像

作者: 安岡 憙弘



続・ドリアン・グレイの肖像


1人の男がキャンバスの中にぽつんと立っていた。

私はその男の名を知っていたはずであったがわすれかけていた。ドリなんとかという名前であったが今はもう帰らぬ人となったので。

私はその人物に接触できなかった。しかし私は今でもその人のことを忘れてはいない。二十一年前屋敷の屋根裏で倒れているのを私が発見した時屋敷のメイドは私がその人物を殺したものと考えた。しかし私にはそのようなことはどうでもよくただ屋根裏に残っていたドリなんとかという人物の肖像画をいつまでも大切に持ちつづけていると私は不思議な経験をすることとなったのだった。

私はその人物を知っていたがその人物はこの絵の中に書かれているような姿形をしてはいなかった。私はしばらくその絵に白い布をかぶせていた。するとその白い布が突然燃え上がった。私は中の油絵も当然の如く発火したものと思っていた。だが白い布がもえるとその下から私の今まで見たことのない美しい初老の男性が現れたのだ、私はその男性の優しそうな目がとても印象的であると思いながら周囲の紫色の装飾をこれはなにかと眺めていた。すうると今度はその紫色がするすると中央に拡がって今度は二十歳代の若者がその中からあらわれた。若者はアジア人を思わせるような黒髪の青年があらわれた。私はその少年の女性っぽい姿を不思議におもってみていた。すると絵画はまた元の如くドリなんとかという人物の肖像画に戻った。私はとても起こり得ないことにある種の美しさを覚えた。私はいつだって人物画や宗教画はあまり好まない。私は何でもいいからなにか美しいものが好きだ。ただしドリアン・グレイの肖像のようなものは私は絶対に好まなかった。私は宗教臭いものはとうの昔に卒業したのだった。私は今でもドリアン・グレイは信仰心をバカにしたと思ってやまない。私はドリアン・グレイを今も憎み続けてやまない。

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