空が呼んだ出会い
ゴオオオオオオオオオオォォォォッ!!
言葉じゃ言い表せない、とんでもない風が俺の全身に吹き付けてくる。
いや、この場合、風が吹き付けてくるのではなく、
俺が風に突っ込んでいると言う方が正しいのかもしれない。
それも仕方ないだろう。何せ今俺は、
---真っ逆さまに空から落下しているのだから。
本来下に見える筈の広大な大地が、今は俺の真上にある。この変な感覚は何度経験しても馴れそうにない。
いつもの俺ならこの程度、簡単に体制を立て直す事が出来るんだが、生憎今は、アイツにやられちまったせいで、体がピクリとも動かせない。
クソッ、全くしてやられた。俺はまんまとヤツに騙されたってわけだ。
だが、このまま諦める訳にはいかない。
ヤツのことだ。俺と言う邪魔な存在を消したんだから、本当にこの世界を潰しにかかるだろう。
この世界を、潰されるわけにはいかない。
どんどん地面が近づいてくる。
恐らく、あと数十秒で俺は地面と激突するだろう。
ヤツの呪いのせいで能力の大半は使えないが、幸いなことに身体能力は残っているようだから、落下で死んじまう事はギリギリなさそうだ。
待ってろよ
--俺が、
----必……ず
瞬間、とんでもない衝撃に襲われた俺の意識は深い闇の中に沈んでいった。
昼下がり、私はぽかぽかと暖かい日差しを全身に浴びながら、一人草原を散歩していた。
「~~~♪~~♪」
お母さんから教えてもらった歌を鼻歌で歌いながら、ゆっくりと歩をすすめていく。
村の皆は、恐ろしい魔獣が出るから一人で村の外を歩いちゃダメッて言うけど、一人で歩くのが楽しくて、ついつい村の外にでてしまう。
「きれいな空だなあ」
何気なく見上げた空にそんな思いを馳せる。
雲一つない透き通るような蒼い空に、暖かい光を放つ太陽がポツンと寂しげに浮かんでいる。
今日も、平和な一日になりそうだ。
そんなことを考えていると、
「……ん?」
ふいに、空を見上げていた目が僅かに光る何かを捉える。
なんだろう。星か何かだろうか、いや、
星が出るには早すぎる。
まだ昼を過ぎたばかりなんだから。
暫くその光に魅入っていると、あることに気付く。
光が--だんだん近づいてきているのだ。
先程までは僅かに見えるだけだった光がだんだん鮮明に見えてくる。
その光はどんどん近づいて来て----
---ついに目の前の地面に激突した。
その瞬間、とんでもない爆風が私を襲った。
周りの草は爆風に負けてなぎ倒され、大きな木でさえもその幹を大きく揺らしている。
その場に立っていられなくなり、必死に近くの木にしがみつく。
風はなかなか収まらず、そのまま木にしがみついていると数秒程で風がやみ、ようやく木につかまっていた手の力を緩めた。
それにしても、驚いた。
まさか目の前に落ちてくるなんて、考えもしなかった。一体、何が落ちてきたんだろう。
必然的に、視線が落ちてきた何かに向けられる。
「えっ!?」
驚いて思わず声を出してしまった。
だって、
目の前の少し抉れた地面に横たわっていたのは、
---傷だらけの、男の子だったのだから。