プロローグ
初投稿になります。タイトルもまだ確定しておりませんが、超見切り発車で投稿してみることにしました。
いろんな作者さんの異世界召喚ものをよみ、触発されて書いたものですので、何処かで他作者様とのかぶり等あるかもしれませんが、パクリは行っていないと思います。
誤字脱字のご指摘、感想等お待ちしています。
縁側。
僕は夏の夕暮れを前に麦茶を飲んでいる。
少しスペースを空けて、横にはリリスと僕が名付けた金髪の少女が足をブラブラさせながら座っている。
名付けた、と言うのは彼女の本名がとても人間では発音出来ないから、便宜上そう付けただけなのだが。
まあ、こういうだらけた雰囲気なのは悪くない。こうして、まったりと過ごす日常というのは、少なくとも僕にとっては、いつまで経っても、なかなか得難いものだ。少なくとも、今まではそうだった。
ふと、後ろで物音が聞こえた、気がした。
なんとなくだが、こういう時、振り返るのはいけない気がする。しかし、この時の僕は気が緩んでいたのだろう。振り返ってしまったのだ。
僕の眼に映るは、無数の手だった。
その無数の手が、僕に絡みついてきた。
何処かに引きずり込まれる!!
慌てて僕はリリスに助けを求めたが、彼女は決して僕のほうを振り向こうとはしなかった。
彼女が見ているのは、麦茶入りのケトル。そこに映る僕と無数の目を眺めている。あいつ、全部見たうえで分かって言ってやがる。
「こういう時、振り返るとロクな事は無い、わかっているじゃろう?」
おい、そんな薄情な事を言うなよ!!
リリスはそう言いながら、伸ばした僕の手に向かって、麦茶の入ったケトルを放り投げて来た。僕の右手にはまだ中身の残っている麦茶入りのコップ、左手には麦茶の入ったケトルが残された。ああ、その瞬間だ。僕には分った。このケトルを通じて微かな“ルート”が僕とリリスとの間に繋がったのだ。
このケトルを無くさない限り、すぐにまた会える。
ケトルの感触とすぐに再会できるという思考を確かめ、僕の意識は闇にのまれた。
「リリスよ、新矢は何処へ行った?」
風呂あがりだろうか、まだ髪の毛が濡れたままの女性がリリスに話しかけた。
「おお、シェリーか。あいつは何処かへと連れて行かれてしまったぞ。おそらくは召喚魔法の類いだと思うがのう」
「ほう、そうか。行った世界は分かるか?」
「まあ、我輩達とあ奴は魂で繋がっておる。多少時間がかかるが、わかるじゃろう。それまで我輩は故郷に戻って魔力を蓄えておくとしよう。おぬしも一緒に後で追いかけるじゃろう?」
「当然だ」
「では、しばしのお別れじゃ。魔力を蓄え、居場所を突き止めたら、迎えに来る。それまで待っておれ」
「了解した」