オーケストラ部の日常~弦楽器編~
ここは、とあるオーケストラ部の楽器庫。
時計を見れば、現在午後2時。部員たちは学業に精を出し(一部の者は眠り)、体育で走りまわり(ー部の者は倉庫に隠れてサボり)、音楽で歌を歌い(一部の者は口パクをし)、それぞれの午後を過ごしている時間である。
誰もいないはずの楽器庫からは、話し声が聞こえてきている。
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「だいたい、チェロはいつも目立ちすぎなのです!いくら主旋律だからって、少しはワタクシの声も聞きませんこと?!」
ガタガタとバイオリンのケースが揺れる。
「少しぐらい良いだろうに。バイオリンは、かなり図に乗っているものと見受けられるが。」
たしなめるような口調の声が聞こえてきた。
「ワタクシにとって主旋律はイノチですわ!ワタクシには、指揮者の次に偉いコンサートマスターという大切な大切な役割があるんですのよ!」
「あの…、」
「ファーストさん、セカンドの僕も忘れないでよ。」
別のバイオリンケースから声がする。
「セカンドは黙りなさい!八モりしか出来ないようなバイオリンなど、バイオリンではありませんわ!せいぜい子どもサイズの小さなバイオリンを並べ立てただけでしょう?!」
「ひどいなあ、ファーストさん。ー応、僕は必要だから居るんだよ。楽譜に無駄な音なんて書いてある訳がないし。」
「あの…、」
「ワガハイを忘れてもらっては困るぞ。そう高い声でキンキンとしゃべられては適わぬ。」
「「「コントラバスさん!」」」
人の身長よりも高い、とびぬけて大きなケースが、ゆっくりと動いた。
「セカンドの意見ももっともだ。もしファーストの主張がとおってしまったら、ワガハイはどうなる?ただの木の塊になってしまうではないか。」
「あの…、」
「…とにかく、ワタクシの座はゆずりませんことよ?ワタクシに何か意見することがあれば、自分が間違っていないことを100回確かめた上で来なさい。1割程度、聞いてさしあげないことでもなくってよ?」
(1割って…)
(少なすぎ、だろうな)
(ワガハイほどの広い心の持ち主でも、力チンとくる)
「バイオリン、それ以上は言うな。同じバイオリン属のチェ口としてどうかと思うぞ。」
「あの…、」
「フンっ!好きにしてくださいな!」
「あのっ…、聞いてください!」
ふいに、バイオリンと同じようなケースから声がした。
「今の…誰だ?」
「ワタクシではありませんわ!」
「僕でもないよ。」
「ワガハイではない。」
「あのっ…ビオラですっ!混ぜてくださいっ!」
「ビオラ?」
「久しぶりになるな。」
「昨日部活中に会ったばかりですっ!忘れないでくださいっ!」
「ビオラには関係のない話です。すっ込んでなさい。」
「あっファーストさんすみませんごめんなさいもうしません許してくだs
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午後4時。午後の授業が終わり、部員たちが走ってくる。
余裕があれば管楽器編も書く…かも?