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第14話 アリアスちゃんの婚約破棄

 魔王の娘にして魔王軍滅ぼしちゃった張本人ことアタシ、アリアス・ヴェルキリー。

 いま、目の前でしょうゆ顔の皇太子に片膝つかれて困惑。


 煌びやかな馬車やら、純白のユニコーン(?)に従者も引き連れて、アタシの『ボロア・パート』前に。

 当然、何も起きないはずもなく――



「アリアス・ヴェルキリー。君に結婚を申し込む!」


「え、やだ。婚約破棄」



 完ッ!!!!



「待て待て終わんな終わんな終わんな始めろ!!」

「んだよ勇者、今日も塩ツッコミだなー」

「黙ってられるかこんなの! そもそもプロポーズ断ってんだから『婚約破棄』ではないよ!!」

「女の子は婚約破棄に憧れてんだるぉ?」

「色々間違えてるし危険な発言やめなさい!!」



 はい、強制正座。



「だいたいシツレーじゃねぇか? 出会って二秒で即求婚とか」

「王族を前に躊躇とかないわけ……ってないか。国王陛下の前で君、鼻くそほじってたもんね」

「耳クソは雷雲呼び寄せれっけど、試してみっかゴラ?」

「聖剣って孫の手代わりにちょうど良いから先試させてね」



 ダメだ。最近アタシの脅し効かねぇ! 慣れてきやがったコイツ!!


 そんでアタシが聖剣の柄で小突かれてっと、横でガキのすすり泣く声が聞こえてきた。



「うぇ、ぇ、せっがぐ、用意じでぎだのにぃ」

「ほら王子泣いちゃった! どうすんのこれ純情をよぉ!」

「純情も何も出会い頭にプロポーズする方が頭沸いてんだろ。王族身分じゃなきゃ豚箱送れんぞ」

「丁重という言葉を理解なさいや野生児娘が!!」



 アタシを叱るだけしかって勇者は崩れ落ちた王子きゅんの介抱に入る。


 お坊ちゃんなんだろうが、二十代そこそこだろうに泣きべそかいてら。

 あ、いま勇者のマントに鼻水ついた。



「だいたい王子、なんでアリアスみたいな野生児に惚れたんですか」

「おい、プリチーアリアスたんに文句あんのか」

「だっで、一目惚れだったんだもん……」

「一目惚れ? 面識ないでしょう」

「いや、王城……異臭騒ぎあったとき」

「……あー、アタシが城に挨拶行った時か」

「私が避難してたらたまたま――」



 ◆



『げほっ、ぼえっ、なにこの匂い……』

『王子、はやく、お逃げ……』

『爺やー! って、死んでる!?』


 もう異臭も酷くなり、爺やも使用人たちも倒れてしまって、ここまでかと覚悟してた時だった。


『ん? んだよ坊主。それにケッコーな人間倒れてんなぁ』


 女神が目の前に現れた。素手で扉を殴り飛ばして。


『テキトーに城ん壁に穴開けといたからよ。外行きたかったらそっから出な』

『あ、へ、あの……』


 全身が痺れて上手く話せなかった。

 その凛々しさ、麗しさに見惚れてしまって。


『じゃ、アタシはこれで。パニックなってる隙に城のデケェ風呂入ってくる』


 あの日見た衝撃を忘れることはなかった。

 気付けば私は君のことを調べ、身なりも整え、求婚することばかりを考えるようになっていった……



 ◆



「――という経緯で、アリアスちゃんに一目惚れしたのさ」

「はっきり言います。やめとけ王子マジで」



 勝手に断られちまった。ま、アタシも同意だけど。



「えええぇぇぇぇぇぇなんで止めるのさ勇者ぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「あなたまだ二十代そこそこだし、もっと良い出会いありますって!」

「そんなもの要るものか! どこぞの王族でも貴族でも、アリアスちゃんの美しさに比べたら道端のガムにしか見えん!」

「高級料理ばっか食べ過ぎてゲテモノ食いたくなった美食家みたいなもんですってそれ」

「だって身分髙い女性って全員同じ顔なんだもん!!」

「本人達の前で整形のこと話さないで下さいよ。国ごとぶっ殺されますから」



 王宮育ちのチェリーボーイにアタシは刺激が強過ぎたみてーだ。

 クッ、罪な女ってのも辛いぜ……引導を渡すって辛さがよ。


 だけどその前に、一つ肝心な問題がある。



「てかそもそもお前ら。アタシ、まだ八歳だぞ?」


『――は?』



 時間が止まった。その場の全員、勇者も王子きゅんも従者も、ユニコーンのフリした白いロバも固まってた。


 え、嘘だろ。何この反応。

 まさか分かってなかったのかコイツら?



「え、いやっ、だって君、外見的に十代後半……」

「魔族が人間と成長速度同じわけねーだろ。エルフだって違ぇのによ」

「そっ、その感じで八歳? 魔族年齢換算とかじゃなくて?」

「人間界の年齢に決まってんじゃねーか。魔族年齢的にはもうちょい上だけどよ」

「じゃあ君、魔族的にもまだ成人じゃないの……?」

「身体機能は成熟してっけど、魔力関係は成長途中。あと十年かかるって感じか」



 まだ時間が止まってる奴らの中で唯一、勇者だけがツッコミで時間の流れをも戻す。



「君のこれまでの行動振り返ると、クソガキって言葉で全部納得できた」

「そこは子供のカワイイ悪戯心って感じでオブラート包んでくれよ」

「この国に少年法が採用されてることが残念だよ」


 横から震えた声で王子きゅんが振り向く。


「ってことは、求婚した私は……」

「魔族の幼女にプロポーズした特殊性癖ロリコン野郎」

「……王位継承あきらめよ」



 灰になりそうな顔で遠く見始めちゃった。

 これ、完全に脳破壊しちゃったかーも。



「じゃ、という訳で王子。はい手錠」

「えっ、ゆ、勇者殿? 私、王子よ? こんな現行犯逮捕できるの!?」

「この国はやらかした王族も問答無用で拘束できる法がありますので」

「なにゆえぇ!?」

「先代国王が民家に侵入して下着泥棒を働いたことで制定されました」

「おじいたまァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」



 下着泥棒、匂いフェチ、ロリコンチェリー。

 王族にロクな性癖のヤツいねーな。



「待って、魔族に対しては児ポとか適用されないんじゃなかった!? 君の元パーティメンバーでいたでしょ、魔族の合法ロリハーレム作ってた賢者!」

「そうです。アイツを逮捕するために法を変えました。私が」

「WA・ZA・WA・ZA!?」

「逃げたタイミング最悪だったせいで、こちとらダンジョン最下層で置きざりにされたんですよ。この恨みは一生忘れん……」

「ちな、何のダンジョン落ちたんだオメー?」

「グロトラップダンジョン」

「……叡智な方じゃなかった。合掌、レーメン」



 魔王おやじでも放棄したスプラッタダンジョンなんだよあそこ。

 猟奇的な魔族全員あのダンジョンにぶち込んだせいで。



「つーわけだ。監獄でも元気になー」

「ま、あ、アリアスちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!??」

「リリネアと拷問官の独房近かったら手紙送ってくれな~」



 勇者に引きずられて白馬の王子様(仮)は監獄まで連行されてった。


 出所するまでに、森にいるショタコン魔女と見合いでもセッティングしてやるか。

 あっちの対象年齢と出所した時の年齢がマッチすりゃな。

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