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第12話 集え! 緊急クエスト

 早朝、勇者に呼び出された。

 ギルドから魔物討伐の要請だってことで、アタシも参加することンなった。


 アタシがたまたま寝起きじゃなくて命拾いしたな。



「にしても緊急討伐クエストなんてなー。魔王軍滅んでも魔物は消えねぇな〜」


 改めてアタシ、魔王令嬢アリアス。

 勇者とイカレたメンバーを引き連れる最強最カワ美少女娘だ。



「ンッフッフッフ。獣と言えど背理の存在……制裁の代行者として振る舞いましょう」


 コイツは拷問官。異端審問ついでに相手を拷問かけるイカれたメンバーだ。



「愛してるおォォォォォォォォォォォォォォォ!」


 コイツは狂信者。どっかのマイナーな信仰してるらしい。

 たまに拷問官とバチバチに殺り合ってるイカれたメンバーだ。



「俺ァ旦那に従うぜ。依頼された仕事を全うするのみよ」


 最後は孤高の暗殺者ベルモンド・シルバー。イカレた以下略。



 最強五人! 敵なしだな、ガハハハハ!



「何このメンバー構成ッ!?」

「なんだよー、力不足って言いてーのかオォン?」

「有り余り過ぎだわ! そしてもっと役職どうにかならなかった!?」

「拷問官、狂信者、孤高の暗殺者は変わってるけど、悪いヤツらじゃねーだろ」

「魔王令嬢が言うかそれ!!」



 ぐうの音もプゥの音も出ねぇ。



「そしてしれっとお会いするの二回目ですねベルモンド・シルバーさん!!」

「前は宿屋で世話んなったな旦那ァ……今日は共同討伐。背中は任せたぜェ?」

「物騒なんだよ君ぃ!!」



 孤高の暗殺以下略さんは今日も元気に二丁拳銃!

 百人力だぜい!



「で、今日のクエストなんじゃらほい」

「人里に降りてきちゃった魔物がいるらしくてね。今日は魔物の捜索と討伐――」

「あ、それなら私が()んでおきました」

「……喚ぶ?」

「狂信者ー?」

「喚び出した魔物がこちらになります」



 狂信者が手をヒラヒラさせてる向こうで、デッカい牛頭人(ミノタウロス)が居た。


 デカい、圧倒的に。巨人族よりも高い30メートル級だな。

 デカ過ぎて腰布の中が見えちってる。スカート覗いてる気分でなんか気まずい……



「おーでけェ~」

「言ってる場合か!! まだココ市街地から遠くないんだぞ!?」

「ですが放置すれば刻一刻と誰かが犠牲になるのも事実。早急な対応が必要かと思いまして」

「だからって事前通告もなく召喚すなァァァァァァァァァ!!」



 キョトン顔の狂信者を勇者は揺すり倒した。



「てか狂信者さん! あなた何か魔法使えません!?」

「と、言いますと?」

「ほら、女神信仰してる教会シスターは神聖魔法とか使えるし! 浄化とか攻撃系の魔法!」

「……?」

「なぜ分からない!? この際邪教のヤツでも良いからさ?」

「私にそういう術は使えませんが?」

「アァン?!」



 狂信者はうちわと光る棒取り出して話し出す。



「私が信仰してるのは、地下ダンジョンアイドル『れなたん』でございます。魔法の類どころか戦闘術など何も……」

「じゃあさっきの召喚術どうやったの?」

「召喚なんてそんな。ただ光るスライム棒(ペンライト)でオタ芸して誘導しただけでございます」

「誰だコイツ寄越したヤツゥゥゥゥゥゥゥゥ!! ただのドルオタ一般人じゃねぇかァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」

「お前何気に来たん?」



 狂信者名乗ってるだけあって、討伐にオタ装備で来る度胸だけはクレイジーだった。



「てか勇者、ヤバくね?」

「やっばいよ!! せめて拘束とか動き封じてくれないと、僕の剣じゃ倒し切れないよ」

「ンッフフ。ここは(それがし)にお任せを」

「ご、拷問官さん!!」



 こっちは本職拷問官!

 服の下で武器をジャラジャラ鳴らしてミノタウロスに近付いてく。

 脱獄から引っ張ってきた甲斐があったぜ!



「某はこう見えてプロ。数多の罪人を粛清し、尋問し、処刑台へ送ってきた正義の執行者」

「うーん色々後ろ暗そうだけど、この際なんでもイイや頑張れぇぇぇ!!」

「おーやれやれー」

「君は何サボってんの!? アリアスなら色々援護射撃とかできるでしょが!」

「しゃーねー。ここは応援してやっかー」


「ぷ●きゅあがんばえ~」

「れなたん頑張ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

「誰を応援してんだガヤ二人ィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!」



 勇者もそろそろ旅芸人か何かに転職した方が良い気がしてきたなー。



「では某の技術、皆様にご覧に入れましょうか」

「頑張れ拷問官! 君は僕らの盟友だ!!」



 ハサミを取り出して拷問官は振り上げた。

 刃はそのままミノタウロスの爪に……


 ――ペキッ


 当たって砕けた。

 もちろん、ミノタウロスの爪がハサミ如きで切れる訳もなく。


 呆然。からの拷問官は振り返った。



「……どうやら某はここまでのようです」

「今ので終わり!? もっと色んな技ある感じじゃなかった!?」

「これまでハサミで肉や爪を切ってきましたが、まさか通らないなんて……」

「通るわけないでしょそのサイズ! 相手このサイズの魔物よ!?」

「ううっ、このハサミで切れないならハンマーや苦悩の梨も通じません……ぐすん、私の職人技が……」

「全部対人特化スキルじゃんか!! 対魔物に何も通じないよ!!!!!」

「ぐすっ、びぇっ、ホントに拷問がんばっでぎだもん。汚職議員(クソブタ)の指落としたもん、殺人鬼(クズサイコ)の爪剥いだもん、悪役貴族(ゲロカス)の皮なめしたもん……魔物初めてだっだもん」

「たしかに要求無茶だったわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ僕の判断ミスだごめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!」



 拷問官、回収。

 泣きべそかいてるから狂信者に慰めは任せた。



「つーかさっきから茶番してるせいでミノタウロス全然動けてねーじゃん」

「待ってくれてるのこれ!? そんだけ空気読めるなら攻撃やめてもらえます?!」

「ンな事言ったって困っちまうだろ? ほら、今だって向こうさん戸惑ってんじゃん」

『……アゥ?』

「めちゃくちゃ気まずそうな顔してる!!??」

「魔物に気ぃ遣わせてどうすんだよ」

「なら街も気遣って!! 今すぐお家へ戻ってくれませんかねぇ!!??」

『ブルルッ! ブル!』

「嫌だってよ」

「対話不可能かい! じゃあ討伐じゃ覚悟しろオラぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」



「――旦那ァ、俺も魔物は専門外なモンでな……」



 声が聞こえた時、ミノタウロスは足を踏み出してた。


 ベルモンド・シルバーさんが用意してた、足掛け鉄線に引っかかるコースへ!



「おおっ、避けろよ。倒れてくんぞー」



 見事にミノタウロス引っかかりやがった。

 巨体が前のめりに倒れてくる。



「ワイヤートラップでコケさすのが限界だった。悪いなァ……」

「こ、孤高の暗殺者ベルモンド・シルバーさん! やっぱアンタしかいないよ!!」

「おい待てそこ、地面で何かモゾモゾしてる」



 指さした先の地面から、何かが這い上がってきた。



「アリアスたぁぁぁぁぁぁぁぁん!! 迎えに来たよぉぉぉぉぉぉぉ――」



 そいつは何時ぞやの生臭シスター。リリネアだった。



「あ」

「え?」



 飛び出すと同時。リリネアはミノタウロスの下敷きになる。



「メギョ」



 プチッと潰れる音を鳴らして、リリネアは魔獣に押し潰された。



「……ゆうしゃー」

「残念だけど、魔獣を魔法で消しきったら浮上してくるよ」

「魔獣より生臭シスターのが厄介扱いかよ」



 勇者からも有害認定。これもう指名手配で良いだろ。



「まぁふざけ倒したし、そろそろアタシが――」

「いや、ここまでくれば大丈夫さ」



 倒れたミノタウロスの頭に一閃。勇者は飛び出す。



「抜流」



 ――剣を抜いた。とアタシが認識する前だった。


 轟速でミノタウロスの頭蓋を聖剣が粉砕したのは。



「え、勇者いま剣でぶっ叩いた……?」

「ん? ああ、そうだよ。聖剣ってどんな風に扱っても折れたり刃こぼれしないからね」



 勇者は聖剣をバットみてーにトントン手で叩いた。

 ミノタウロスの巨体を全身吹っ飛ばした剣を。



「ダンジョンもトラップごと壁をこうして破壊して来たし、四天王の『バリュードス』も難なく叩き潰せたんだ」



 絶句。



「アリアス嬢? 四天王のバリュードスってもしや……」

「魔金属のゴーレム。魔王軍一の防御力だった鉄壁の魔族だけど……叩き殺されてたみたいでさ」

「いやホント硬かったよ! 四時間ぐらい殴り続けないと動いてたもの」



((((お前が一番バケモンだよ))))



 アタシは思い出した。


 コイツが魔王(おやじ)を殺しかけてた最強の勇者だってこと……その気ならアタシ殺せてたんじゃね?

 ちょっとイジると控えてやろ……二日ぐらい。



 あともう一つ。



「うっしゃオラぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 頭上でワチャワチャしてたけど復っかァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァツ!!!!!!」



「勇者、コイツ、苦手」

「安心して。僕も傍にいて具合悪くなる」

「ひっどいな勇者様ぁ! だけどアリアスちゃんは私のものですよぉぉぉぉぉぉぉ」

「脱ぐな脱ぐな」

「教育に悪い! アリアス目を瞑ってなさい!!」

「な、な、れなたん以外の女子に興味なんて……いやでもこの美ボディは……!」

「拷問官! そこの狂信者もといアイドル狂い変態男性ブッ潰しといてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

「はい苦悩の梨でタコ殴り」



 拷問官は苦悩の梨(多分鈍器じゃない)で狂信者殴り倒した。



「ひゃっほ――」

「旦那や嬢ちゃんとの事情は知らんが、若い娘さんが肌ァ晒すもんじゃねェなァ?」

「ひっ、なにこのおじ様こっわ?!」



 孤高の暗殺者ベルモンド・シルバーさんがリリネアの肩を掴む。片手だけで、シスターをガッチリロック。



「旦那ァ……この娘さんは俺様のトコで預かって良いかい? 色々と品性を教育してやる必要がありそうだァ」

「引き取っていただけるんですか孤高の以下略さん!!」

「任せときな。一流のソルジャーに仕立ててやっからよ」

「はだらぎだぐない!!!!」



 こうして魔物×2は無事に討伐されたとさ。


 まさとしまさとし。



「せめて一嗅ぎだげでもざぜでアリアスぢゃあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!」



 ちなみにリリネアは拷問官の隣の独房に収監されたとか。

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