表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/6

途切れた記憶

感想などいただけると大変励みになります。

もちろんリアクションだけでも大歓迎です!

──ピィィィィィィィィィ……


耳の奥を突き刺すような、高周波の音。


何かが崩れるような感覚の中で、俺はゆっくりと目を開けた。


そこは、自分の部屋だった。

見慣れたリビング。ローテーブルの上に放置された洗い物。カーテンの隙間から、薄く朝の光が差し込んでいた。


「……夢?」


喉が異常に渇いていた。

立ち上がってキッチンに向かうと、冷蔵庫の上に置かれたデジタル時計が目に入った。


7:12


昨夜の記憶は、断片的にしか残っていない。


翔悟と303号室に行った。荒れた部屋、壁の文字、和室、そして……公衆電話。


あの電話が鳴った。

翔悟が受話器を取った。

その瞬間、真っ暗になって──


「……翔悟!」


慌てて彼の部屋へと駆け込む。

だが、そこに翔悟の姿はなかった。寝具は乱れておらず、まるでずっと誰も住んでいなかったような整い方をしていた。


スマホを見る。履歴に彼からのメッセージや着信もない。

冷たい汗が背中を流れる。


まるで、翔悟という存在そのものが──


「……嘘、だろ」


そこからの日々は、恐怖と混乱の連続だった。


職場でもミスが続き、上司には叱責され、同僚の視線も冷たくなる。

マンションでは妙な夢を見るようになった。


303号室に向かう夢。

電話の前に立ち尽くす自分。

翔悟が、何かを必死に叫んでいる──が、その声は音にならず、ただ口がパクパクと動いているだけ。


──兄ちゃん、頼む、思い出してくれよ。


そんな幻聴が、日中もふいに聞こえるようになった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ