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「え!? そうなの!?」
雪の言葉を聞いて雨は本気で驚いた。
姉の雪はとても綺麗な人で(妹の雨から見てもそう思うくらい、雪は綺麗な人だった)、性格も明るくて、小学校でも、中学校でも、高校でも、すごくもてて、恋人も何人かいたみたいだったけど、それはなんていうか、みんな中途半端な関係のようなもので、本気で誰かと雪が恋愛をしている、あるいは雪が誰かに本気で恋をしている、なんていうことは、雪の妹の雨には全然想像することができないことだった。
(雨はもちろん、いないよ、と言う雪の返事が返ってくるものだと思っていた)
雨はきょとんとした顔で雪を見る。
雨の箸は空中でぴったりと止まっている。
「ねえ、お姉ちゃん」
「うん。なに?」
牛乳を飲んでから、雪は言う。
「その人って、もしかして、一緒に星を見に行った人のこと?」
雨は言う。
それは雨のカンだった。
いわゆる女のカンというやつだ。
雪は天体観測に出かけたことを雨に(たぶん)秘密にしていた。だから、もしかしたらそうなのかも? と雨はこのとき、そう思ったのだった。
雨の言葉を聞いて、ふふっ、と雪は笑う。
それから、「それは、秘密」とにっこりと、いたずらっ子の顔で笑って、雪は言った。
「教えてくれないの?」
「もちろん」
雪は言って食事を続けた。
それからお昼ご飯を食べ終わった雪は「ごちそうさま。お片づけ、お願いね」と言って、一人で台所を出て、とんとんと足音を立てて、自分の部屋に戻って行った。
「はーい」
雨はそう、姉の雪の背中に返事をした。




