7. 詠唱と 魔法陣
皆さん、魔法は 好きですか?
私は、魔法が 好物ですす−(´・ω・`)もぐもぐ、おいし
うわぁぁぁーーーわわわわ!!!
ど! どうしようっ!!
マァサを泣かしちゃった! マァサが泣いてるっ!
頭の中で わたしも エルヴァラも大パニック!
今の気持ちが どっちの気持ちかなんて わかんない!
あわわわわーー!!!
「取り乱してしまい、申し訳ありません。」
俯いたマァサから ズズッと 鼻をすする音が聞こえる。
わたしは、と言えばーーー
マァサの涙を見た瞬間
シュバッ!と ソファに 背筋を伸ばして座っていた。
涙を拭いたマァサが
「まるで拒絶された様で… 寂しかったんです。」
困った様な 泣き笑い顔を わたしに向けた。
「私は… お嬢様の専属侍女である事が誇りです。
お逢いしたあの日から
エルヴァラ様は 私の人生の全てとなりました。
私は お嬢様に 永遠の忠誠を誓っております。
今までもこれからも
お嬢様の支えになりとうございます。」
もうね、感動して
頭の中のエルヴァラが 滂沱の涙を流しているね。
私も流しているけどね。
実際のエルヴァラも また泣いちゃってるしね。
…今日は泣きすぎて …もう どうすりゃ良いのよ。
わたしの顔 残念を通り越したら 何になるのよ
「ありがとう、マァサ。」
涙も鼻水も垂らしながら 私も 泣き笑い。
マァサも 赤くなった目元で ニコッと笑う。
、
…ハンカチで 擦っちゃダメ、ハンカチで 擦っちゃダメ
頭の中で 反復しながら ハンカチを使ってみる。
やっぱり ぎこちない。
…マァサは
いつものエルヴァラに 逢いたいんだろうなぁー、と感じた
だから 意識を譲って エルヴァラになった。
流れる動作で スゥッと涙と鼻を拭きながら
浄化魔法をかけている。
うむ、全てが美しい。
今気付いたのだけれど
エルヴァラは小さく詠唱している。
そして、見にくい場所に魔法陣が 出現している。
「マァサ、お茶が飲みたいたいわ。
二人分用意してくれる?」
マァサの瞳が 喜色を浮かべ すぐに用意を始める。
エルヴァラにとって
ポットの中の水を魔力で温める行為は 常識だった。
でも、玲奈から見ると あり得ない世界。
マァサが小さく詠唱すると
ポットの底に 小さい魔法陣が出現し柔らかく光った。
うっわぁぁぁーーー!
エルヴァラに意識を渡しておいて良かったーーー!!
こんなん見ていたら 絶叫してたわ、うん 自信あるー!
うひゃーーっ
エルヴァラの人生とリンクしているので
知識としては知っている。
わたしも 無意識だけど 浄化魔法を発動していた。
だけど! だけどっ やっぱりねぇぇぇーー!!
はぁぁーー、凄いなぁーー!
わたし、どの魔法を見ても 興奮して絶叫しそう!
それって ヤバいよね(笑)
…鼻血を出さない様にしなくちゃ!
マァサが倒れちゃう。
部屋中を 甘く爽やかな香りが包む。
今日は アップルティーみたい。
最初のお茶は 緊張しすぎてて覚えてないしね
と 頭の中で 肩をすくめる。
美しい所作で お茶の用意を終えたマァサに
エルヴァラが 声をかける。
「マァサも 座って?」
「はい、失礼致します。」
マァサは 先ほどのソファに座り
いただきます、と口にして 一口飲んだ後 カップを戻す。
エルヴァラは その様子を見ながら 悩んでいた。
どの様に 切り出せば?
暫くの沈黙の後… とつとつと語り始める
「私ね、倒れたでしょう?
アルバレッド殿下の事が 本当に悲しかったの。
見たこともない お顔だったわ…
9歳で初めてお会いした時から
あの方の隣に立つ事を夢見ていたわ。
認められたくて
必死に王妃教育を受けていたじゃない?
彼が友人達と楽しんで思い出を作っている時
私には何も無かったけど それでも良いと思ったわ。
殿下の隣は それだけの価値があるのだもの。
彼と結ばれる事は 私にとって本当に重要な事だったの。
大抵のことは許せると思っていたし
王妃になって もし子に恵まれなければ
側妃も仕方ないと 覚悟を決めていたのよ?
だけど… 今日は…
…まだ私達は 国の為に何も成していないわ。
それなのに イタズラに、彼の心を奪われるのは…
私には 我慢がならなかったのよ。」
エルヴァラの声が 震える。
「…私は
王子の伴侶に相応しくある為に
知識も身形も 磨いて来たわ。
でもそれは、私一人の努力じゃないの。
私を信じ 認め 支えてくれた人達によるものよ。
マァサを含めた 多くの人達の支えによるものだわ。
それら全てを 否定された様に思えたの。
私の恋心だけでなく
私たちの努力と覚悟を 軽んじられた様に思えたの。
苦しみ悲しみばかりじゃない、憎しみまで感じたわ。
彼女にも… アルバレッド殿下にも… 」
エルヴァラの手に 力が籠もる。
「…そんな自分への嫌悪感も湧いて
息も出来なくなって 苦しくて苦しくて…
少しでも早く、マァサの元に 帰りたかったの。」
エルヴァラは 涙の溜まった瞳でマァサを見つめ 微笑む。
「お嬢様…」
マァサの ブラウンの瞳が潤む。
「それなのに、リンデルの顔を見た途端、気が抜けたのね。
安心しちゃって 意識を手放したみたい。」
エルヴァラは 困った様な、切なそうな顔で
肩をすくめて笑った。
「それでね、その時 …不思議な夢を見たのよ?」
先ほどとは 打って変わって
楽しげな声音で 伝えくる。
「うふふふ、私 恋人が出来たの!」
うふふふ、と エルヴァラは嬉しそうに報告して、、
「何ですって! お嬢様ぁぁぁーーー!」
マァサの絶叫が響き渡った。
…マァサ、うるさいよ? (ジト目)
読んでいただけて 感謝です!!
ありがとうございまするするするーー(´・ω・`)♡