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6.エルヴァラ、ごめんてー…(汗)

人と違う体験をすると 臆病になるものです。


前世の記憶なんて、目に見えないので!

何言ってるんだ、こいつ…てなるので言いませんっ(泣)


記憶持ちは 自分のアイデンティティが乗っ取られますからね?

自分の居場所が危うくなりますからね?


自分へのテロですよ、テロ‼︎ (´;ω;`)


でも、家族は信じてくれましたーありがとう、家族!!














あまりの核心(かくしん)を突く言葉に



エルヴァラも、玲奈も、口をパクパクさせた。








え? なんでバレたの? 









中庭の話は 聞いて欲しかった。



私の泣き場所は マァサだから。









…でも。









自分に起こった 不可解な現象を



自分以外の人間と 共有出来るとは思えなかった。









だから 話さなかった。











実際… 魔法の世界自体は 不可思議だけれど





魔法(魔道具、魔術、スキル)により



目の前に 現象を起こせた。








だけれど わたしの問題は




魂や精神の問題で 可視化(かしか)出来ない為 



話自体が 信じて貰いにくい。










 話した場合…









状態を理解して貰えなければ わたしは孤立する。








想像して 背筋がゾッとした。



これ以上 大切な場所を失いたく無い、、










  


中庭で…



令嬢と寄り添うアルバレッド王子の姿が 頭を(よぎ)った。 





失ったものを思い出す。













じっと、静かに わたしの様子を見ていたマァサは




再び 優しく手を握り










「エヴァお嬢様…  誠に遺憾(いかん)ですが…」










二人は 見つめ合う。








 ………









「とっても残念な お顔です!!」








最後は力強く告げ、にっこりと微笑んできた。








 …… ん?









マァサは




笑顔のまま 残念なものを見る顔になっていた。








 ………








そうだった こういう性格だった… マァサは…










主人である(エルヴァラ)(いじ)るのが マァサだ。



遠い目をして 思い出す。









「うぐぅ…」 と 喉の奥から返事を返し



胡乱(うろん)な目を向ける。







マァサは ふふふ、と笑いながら、








「先ほどの侍医から 回復薬を頂いて来ましょうか? 



 それとも 冷やしたタオルを使われますか?」





と 主人を気遣(きづか)える 優秀な専属侍女の顔に戻った。











あぁ、思い出した。 これが、私達の日常。





侍女と令嬢でも 



マァサとなら 気安く振る舞えるんだわ。









「冷やしたタオルで… 」







大泣きをした記憶が(よみがえ)


羞恥心(しゅうちしん)が顔を出した為




小さな声で答えた。














「それで、侍女の私に 話せる事でしょうか?」





わたしが 大きなソファに 身体を投げ出し



冷たいタオルで目元を 冷やしていると







改めて マァサに聞かれた。









そう… 冷やしている間に考えて、いた。









結局のところ、わたしには 知識が無い。



エルヴァラの知識にも 関係するものが見当たらない。









もちろん、孤立は 怖い…が





無知な状態で 手に負えない状況に(おちい)る方が



もっと怖い。








なんの因果(いんが)か 



New(にゅー)なエルヴァラになった為





何か問題に巻き込まれた時 



予測不可能な事態に(おちい)る気がする。







その場合の解決能力を 今のわたしは 持っていない。







改めて考えた時



思いの(ほか) エルヴァラの世界は狭いと感じた。









まずは 



意識のすり合わせ、知識のすり合わせとして



マァサを窓口に …いつかは!





いつかは マァサ自身を取り込めたら、という下心はある!









三人寄れば文殊(もんじゅ)の知恵、とは どこの言葉だっただろうか。




二人だけれども。 …今後の増員に期待したい。うむ。










少し 逡巡(しゅんじゅん)した後 腹を(くく)って覚悟を決める。









「…座ってもらえる?」





「…かしこまりました。」






向かいのソファに座って貰った。



まぁ わたしは 寝転んだままだけど。














(エルヴァラ)は… いつもと 違ったかしら?」




「お嬢様は 巣穴を作りません。」








ああああぁぁぁぁーーーーーーーっ!!!








頭の中のエルヴァラは ズシャァ、と崩れ落ちた。




 …(かぶ)せ気味に 答えて来たわね、マァサ。










「お嬢様は 涙を流しても 鼻水を()れ流したり



 ハンカチで顔を (こす)り付けません。





 …先ほどは 私の肩で拭いていました、よね…?」






最後は 少しだけ(うら)みがましく聞こえたけど…



 あ、気のせいじゃ無さそう。








またまた エルヴァラが崩れ落ちる。 




もちろん わたしは平気 …最後だけ バレてて焦るけど










「お嬢様は 回復薬を がぶ飲みして



 プハー!とは言いません。」









エルヴァラは 地べたに 身体を投げ出した。






 あーーーー…




アレ美味しかったんだよねー。 ごめん!エルヴァラ!










「お嬢様は 侍医に向かって お腹を出したり


 

 侍医の退出時に 手は振りません!」








そうだった! 衣服で お腹は隠すんだった。






ピクピク痙攣(けいれん)しながら 



脱力しているエルヴァラを観察しておこう。 可哀想に。









「お嬢様は その様な格好で 


 ソファをお使いになりません。」







うん、だよねー! ごめんて、エルヴァラー!




わたしも いっぱいいっぱいだから (くつろ)ぎたいんだよー(汗)





息が絶えてる? エルヴァラの頭を ()でてておく。


 

 よしよし。










実は 自室の侍女問題を、今 吹っ切ろうと思っていた。






自室に 人がいる緊張感。



親しい人と立場の違う 距離感。







何処(どこ)かで 壁を破るなら 今で良いや!




と 問題を投げ出した。






わたしも いっぱいいっぱい、だった。







…それにしても、わたしは 詰めの甘い人間だったらしい…



 




こんなにも



エルヴァラらしくない行動を取っていたなんて…






残念な自分に 泣けるわー くぅぅーー









心の中で わたしも エルヴァラと共に項垂(うなだ)れながら



マァサの言葉を うんうん、と聞き






チラチラと様子を見ながら タオルで目を冷やす。











「…今までのお嬢様なら… 」




マァサの雰囲気が 変わった。










「今までのお嬢様なら



 侍女の私に緊張して 距離を取ったり 



 着席を()う様な話し方は なさいませんでした…」









 ポロリと… マァサの眼から涙が一雫(ひとしずく) 落ちた。










今日も読んで下さり

ありがとうございますすすー(´・ω・`)♡へへ

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