16・5-32 私の天使と罪作りな少年 (マァサ side)
サイドストーリー?え?何それ?
…嘘です、ご迷惑をおかけして申し訳ありません
気が付いたら こんな事に…泣
本日もお目汚し失礼致しますすすー(´・ω・`)
エルヴァラ様のために 強くなりたいと望み
その為には どうしたら良いのか考え…
魔術の強さで レイル様を思い出し
エルヴァラ様を挟んだ反対側に 視線を向けると
愛おしく想う気持ちを隠さないレイル様が
エルヴァラ様の話に 幸せそうに相槌を打ちながら
熱い視線を送り続けていた。
…なんだか エルヴァラ様のそばにいるとワンコ…
んんっ、ポンコッ… んんっ、私には残念な美形に見える。
私は レイル様の熱い眼差しをエルヴァラ様越しに見て
普通の女性なら 美形のとろける様な熱い視線に
顔を赤らめるのだろうなと思い エルヴァラ様を窺うと
エルヴァラ様は 全く気にも留めていない。
流石です! 格好良いです 私の天使 エルヴァラ様!
ドンマイです! 残念美形のレイル様。 ふっ
長い旅程途中 4人の追いかけっこを経て
お互いに気安くなったレイル様への軽口を
心の中で呟いた後 ふと周りを見渡すと
ミーナや同乗している侍女達が
レイル様から溢れ出る色香に当てられ
彼を見る度に 頬を染め照れていた。
12歳であっても 身長はミーナ達より高く
スラリと伸びた手足は
10代前半の中性的な美しさを際立たせ
高い魔力を纏う髪や肌は 輝きと透明感があり
そのうえ整った顔立ちは 愛を囁くように柔らかく笑み
虹色に煌めく形の良い瞳は 強く熱い想いを滲ませている
そんな恋色に染まったレイル様の
妖艶に艶めく姿を見せられれば
彼が 年相応に見えなくても仕方がないなと思った。
まぁ 恋とかよくわからないけれど。 本当は。
…と言うか なぜ12歳で あれ程に色香が漂うのか。
本当に同い年? と思いながら
顔を赤らめ 俯いているミーナを見て思った。
たくさんお喋りをしていたミーナは
もしかして 色香に惑う気持ちを
紛らわせていたのかもしれない。
なるほど それはそれで大変だ。
彼女達は 誘惑に抗うように最初は眼を背けるが
油断すると 視線はレイル様を追い
虹色に彩られる瞳に目を奪われ 惚けている。
レイル様はレイル様で エルヴァラ様の気が引きたくて
雄の孔雀の如く 美しい羽の代わりに
美しい笑顔でアピール全開なのだが
レイル様の 全力全開美形アピールは
エルヴァラ様を悉く素通りし
スリングショットの流れ弾の如く
周りの女性達の胸を打ち抜いている。
そのため 魅惑的な笑顔に心を奪われる彼女達は
頬を染めては我に返り 慌てて目を逸らすという繰り返しで
忙しない状況に陥っていた。
大国に着くまで
彼女達の心臓は 無事でいられるだろうか。
心配になってくる。
…
あぁ なるほど。
私も最初の挨拶で 虹色の瞳に惹き込まれた事を思い出し
レイル様が挨拶の時
瞳を隠した理由はこうゆう事かと 妙に納得した。
…罪作りな人ですね、レイル様は。
苦労している ミーナや侍女達に同情しながら
私が平気なのは 私の中でエルヴァラ様が常に優先で
レイル様はむしろ好敵手として見ているからだろうと
感じた。
そして 今までの様子を思い出し
美形は美形で 私の知らない所で苦労をしていそうだなと
残念美形のレイル様にも こっそりと同情した。
そう言えば エルヴァラ様が仰っていた。
「気が付いた時から レイルはずっとそばに居るの。
お母様の話では お腹にいる時からそばにいたのですって。
レイルはね 私のお世話が好きみたい!
いつも私の後を追いかけてくるのよ。
それでね 小さい頃にお兄様が
レイルはエヴァにべったりだから
まるでエヴァの弟みたいだなって 笑ったのだけれど
レイルは 弟じゃないってお兄様とケンカしてたの。
でも怒るのも無理はないわ。
レイルは私を守ってくれるから 弟でなくて
お兄様になりたかったのよ。
だからレイルは 私のお兄様になるのよ。」
その時のエルヴァラ様は 昔を思い出したのか
楽しそうにクスクスと笑い出し とても可愛らしかった。
私としては エルヴァラ様を独り占めされるのは嫌なので
このままレイル様は 兄枠で収まっていて欲しい。
…とは思うけれど。
なんと言うか あまりにも報われなさ過ぎて…
…
いやいや、油断してはいけない!
私がエルヴァラ様の一番になる為に油断せず
これからも しっかりレイル様を見張っていこうと思う。
そんな感じで私達は
のんびり過ごしたり 楽しく話したり
ミーナと侍女達が レイル様の色香に当てられたりと
かなり平和に 荷馬車に揺られていた。
このまま 平和に国境に向かえると思ったその時
馬が急停止し 荷馬車が大きく揺れ
私達は 荷台や荷物に身体を打ち付けた。
咄嗟に エルヴァラ様の姿を確認すると
レイル様に守られていて 心から安堵した。
と同時に 自分の無力さにチクリと胸が痛んだ。
馬のいななき音と共に 外から聞こえる護衛達の声や
ぶつかり合う剣の音 野太い怒声から
盗賊の襲撃だと理解した。
恐怖から 私達が身を竦めていると…
「オレのエヴァを怖がらせるなぁぁーーー!」
と 叫びながら飛び出したレイル様に
瞬殺 いや、あっという間に気絶させられていた。
こちらに被害が一切なく 瞬時に盗賊を倒したので
弱小の盗賊団かと思いきや かなり名の売れた盗賊だった為
公爵様は近くの街に寄り 盗賊達を引き渡す事にした。
立ち寄った街で知る事になる 盗賊達の悪事の数々。
王都にも名が知られる程の大悪党どもだった。
私兵を持たない領主様は
冒険者ギルドに高額依頼を出していたが 長い間討伐できず
冒険者でダメなら 王都から兵を貸してもらえないかと
嘆願書の準備をしていたらしい。
そこまで追い詰められ 盗賊の被害が続く中
長い間苦しめられてきた奴等が捕まったと聞いて
町人達からは 街をあげての歓迎をされ
領主様からは 直々に感謝を述べられた後
歓待のため 屋敷へ招待をされた。
だが 素性が知られる事を恐れた私達は
逃げるように 街を後にした。
街を出る時 門番にはかなり引き留められたが。
そんな経験をしながら その後も色々な事を乗り越え
私達は無事 大国に入る事が出来た。
お読みいただきまして
ありがとうございますすトロー(´・ω・`)♡チューゴクリ