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16・5-30 私の天使とルイ (マァサ side)

本日もお邪魔いたしますすすー(´・ω・`)















「エヴァッ  なんで居るんだよ!!」








荷馬車での潜伏(せんぷく)がバレ すごすごと馬車から下りる私達に





レイル様が 青ざめながら叫ぶ。









怒られる覚悟で 私達は乗り込んではいるが




それでも レイル様の後ろから 





怒りのオーラと共に近づいてくる公爵様に 身が(すく)む。












「お父様 勝手についてきてごめんなさい。」





「お止めしませんでした。 公爵様 申し訳ありません。」














私達が 無茶をしている自覚はあるが





私はエルヴァラ様を 止めたいとは思わなかった。





なのでエルヴァラ様がここにいる罪は 私にある。













重々しい空気が流れ





怒りのためか 公爵様の(まがまが)々しい魔力が漏れ出した場に





公爵様とエルヴァラ様が 向かい合う。











緊張しながら 見守っていると









「お父様 お(やしき)では私の行動はいつも制限されています。




なので お(やしき)を出てみる事にしました。







色々な事に 挑戦したいと思います。




これからの時代 前向きで面白みのある女性が




必要になる気がします。






私には そんな予感が! 匂いがプンプンします!




私は その先駆者(せんくしゃ)となります!







経験豊富なマァサと共に 多くを学ぶため




この旅に同行しようと決めました。








…実は 思いついたのは朝なので 相談してしまうと




お父様の出発の邪魔をしてしまうと心配になり





邪魔にならない様に 静かに乗り込みました。








このままなら 休憩を(はさ)んでも予定通りの進行ですよね!




お邪魔はしないので お父様とレイルとミーナは




この先のお仕事に 集中なさってください!







私達は私達で 見聞(けんぶん)を広める旅として




侍従(じじゅう)達と共に 行動しますので!






こちらの事は 気にしないでくださいね!!」










説明を聞きながら 




エルヴァラ様から 笑顔を向けられた公爵様は










「 …







旅行の為の 支度はどうしたんだい?」










ゆらりと 地の底から響く低音声で 質問なさった。












公爵様の漏れ出す魔力により (せま)りくる威圧感の中




エルヴァラ様は ケロリと答えられる。









「はい、しっかりと準備してきました!




この格好の私は どう見てもただの平民です。」









しっかり準備してきた事を 自らバラしてしまったので




朝の思い付き乗車の言い訳が (すで)に苦しい。






いや… 最初から苦しいか。













平民だと言い張る エルヴァラ様の格好は




どう見ても大切に育てられた美しいご令嬢が 




(たわむ)れに 簡素な服を着てみた感じでしかなく 





(にじ)み出る高貴さは 誤魔化(ごまか)せてはいなかった。









しかし 侍女長のサラさんが居ないので 




ツッコミ… んんっ、勘違いを正す人は ここには居ない。










私としては 勘違いしたままの




平民に擬態(ぎたい)しようと努力するエルヴァラ様が




大変に可愛らしいので このまま黙っているつもりだ。












レイル様は 心配顔で





公爵様とエルヴァラ様の顔を 交互に見ていた。







もちろん私や侍従(じじゅう)達 護衛達も心配顔になっている。











緊張感の高まる中 公爵様が口を開きかけた その時





王都の方向から 一頭の馬が駆け込んできた。














「ああっ 良かった! エルヴァラ様がいらっしゃった!」














馬と共に駆け込んで来たのは 護衛のルイだった。






ルイはすかさず エルヴァラ様を(かば)うように




公爵様の前に出て 報告を始めた。













(やしき)では お二人が居なくて大騒ぎでした。







書き置きは読みましたが だからと言って本当に




ここまでされるとは 皆 思っていませんので。






なので 誘拐を視野に入れた捜索を始めようと




準備を初めていました。






ですが私だけは 書き置きの真意を確かめようと




後を追ってきました。







お二人が無事で 本当に良かったです!




無事な姿を確認しましたので これから連絡を入れます。







邸の者達が 心配していますからね。」









最後の部分だけ 私達にウィンクを飛ばす彼は




時々お茶目な姿を見せる 親しみやすい人物だった。











ルイは公爵家から渡された魔道具を使い




私達の無事を エルディン様に伝えていた。













(そうぞう)々しい状況が収まると 







公爵様の顔は (ますます)(けわ)しくなり




公爵様から漏れてくる魔力が強くなっていった。










それを感じ 流石(さすが)(あわ)てたエルヴァラ様は 




必死に懇願(こんがん)を始められた。







自分の事は自分でするから、仕事の邪魔はしないからと




何度も。












眉間に(しわ)を作り じっと聞いていた公爵様は





私達に 強めの口調で話しかけられた。











「エルヴァラ 勝手をした罰は帰ってからだ。





マァサ嬢 貴女は帰った後に伯爵から話があるだろう。





ルイ エルヴァラを(おさ)えられなかった君の処遇(しょぐう)もだ。」










ルイの処遇の話を聞き 青くなった私達とは違い




ルイ自身は 「わかりました」と素直に受け入れていた。











「我々は これからエルヴァラ、マァサ嬢を連れ





護衛にルイを増やし この先を進む。」










公爵様は 決定事項として皆に告げ




先頭の荷馬車に戻って行かれた。










同行を許された嬉しさよりも







今まで味方になってくれ 手助けしてくれていたルイに




自分達のせいで 処罰が与えられたというショックに




固まってしまった。









するとルイは 青ざめ放心している私達に




なんて事ないですよ、とでも言う様に笑顔を向け




手を振ってくれた。










それを見て意識を取り戻した私達は 何度もルイに謝った。







迷惑をかけた事に青くなり 必死に謝る私達にルイは







「気にしないで下さいよ。




エルヴァラ様の気持ちは 俺でもわかりますし 




時には突っ走っても良いと思うんですよ。






それに今は 




お二人が無事であれば それで良いんですよ。」







最後にニカッと 気安い態度で笑顔を向けてくれた。











その明るく元気な笑顔を見て 気持ちが軽くなり 





そして心が満たされたように 温かくなった。











初めに出会った時の印象より ルイは 




(ふところ)が広く 情に熱く 勤勉で 頭の回転も良く 




お茶目で 優しく誠実で 好ましい人に感じた。

















…なぜだろう。





彼の良いところは まだ出てきそうな気がする。













お読みいただき


ありがとうございましたぁぁりんこ10匹(´・ω・`)♡アリガト




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