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16・5-28 私の天使とデェトの約束 (マァサ side)

本日も皆様のお目汚し 失礼致しますすー(´・ω・`)













公爵様の説明により 目当ての場所が






(いわ)く付きの廃村だと知り 室内にいる皆んなは息を()んだ。










情報を求めた結果 何か大きなものを探り当ててしまった






そんな空気が流れ 私達の間に緊張が走った。












公爵様は 眉間に(しわ)を寄せたまま眼を(つむ)り 





(しばら)く考え込んだあと (つぶや)かれた。










「仕事の名目で 大国に入ろうと考えていたが






(やぶ)(つつ)き蛇が出た場合 外交問題になるだろう。







…忍んで行くしかないな。」













公爵様は 改めてミーナに視線を向け










「私は 君を死地に向かわせるつもりはない。








先程は君に 伯爵の気持ちを理解してもらう為





あえて厳しい言葉を選んだが 本音の部分もある。







私は 命を軽んじる者は好きでは無い。









君個人に 特別な感情を持ってはいないが





今のまま 命を軽んじ続けるのか





それとも覚悟と責任を持ち 生き続ける事を選ぶのか。








それによって私の 君を見る目も定まるだろう。






もちろん選ぶのは君だ。










だが もし何があっても生きる続けると約束できるのなら 






私は 君の同行を認めよう。」












ミーナは神妙な顔つきで 公爵様の話を聞き












「…はい、わかりました。








弟達に何があったのか 少しでも知るために





同行させていただけるなら 生きる覚悟を選びます。」











生きる事を 選んだ。











「…わかった。








今回は 調査目的だが





他国への侵入という とてもデリケートな問題のため





商人に(ふん)し 入国する事になるだろう。










…レイル 君に同行を頼みたいのだが どうだろうか。






オレージンの許可は 取っておく。








お礼は いつも通りだが…






私としては同行してもらえると とても助かる。」










公爵様とレイル様は お互いを見やり





そして チラリとエルヴァラ様に視線を向けた。










エルヴァラ様はその視線を受け キョトンとするが





少しして思い付いた様で 嬉しそうな声を上げられた。







「レイルが お父様のお手伝いをした後 必ず一緒に




城下町に連れていってくれるものね!




あのお出かけは とっても楽しいの!






レイルとまた お邸を抜け出せるなんて




すっごくすっごく嬉しい! レイル ありがとう!!









…あっ そうよ! 次は皆んなでお出かけしましょう!」








良い事を思いついた! というように 





両手をパチンと鳴らし はしゃぐエルヴァラ様に








「エヴァ! それだと俺のご褒美にならないっ!」





(あわ)て出したレイル様。








「エヴァ! 城下町へは俺と二人きりで行こうっ!





あ、いや… もちろん皆んなと出かける時も呼んでくれ!






だけど ご褒美の時は俺と二人きりでデ、デ…





 …





いや、何でも無いっ!」







皆んなの視線が 自分に集まっている事に気付き 





真っ赤になったレイル様は これ以上は続けなかった。











「 …?  デ?  何かしら?」






エルヴァラ様が 小さな声で不思議そうに(つぶや)いた後






うしろからコッソリ エルディン様が(ささや)く。









「男の子と女の子が遊ぶ時は デェトと呼ぶんだよ」








エルディン様の小声に合わせて エルヴァラ様も








「まぁ! デェトと言うのね! 





さすがお兄様だわ! 物知りだわ!」







小声で 嬉しそうに答えられている。









この声に反応したのは ヨルドとナイドだった。







ナイドは あれほど兄の様に(した)っていたのに





レイル様に威嚇(いかく)を始めてしまい









ヨルドは レイル様に聞こえないように小声で





「エルヴァラ様 僕達ともデェトしよう!」





と ちゃっかりお誘いをかけている。










「そうね、皆んなと一緒にデェトしたら楽しそうだわ!」









エルヴァラ様は 少しズレた答えを小声で返し





私にも笑顔で 







「マァサ! 男の子と女の子で遊ぶとデェトですって! 





私達は男の子と女の子だから デェトよね!





だからマァサも! 皆んなと一緒にデェト出来るわね!」









両手で私の手を(つか)み ブンブン振りながら 





楽し気に声をかけてくださった。









私は デェトはちょっと違う気がします、と思いながらも






また皆んなと遊べる事が とても嬉しかった。













ナイドから向けられる 不躾(ぶしつけ)な視線に





レイル様は不思議顔で 手を振ったあと








目の前にある テーブル上の地図に向き直った。








そしてそのまま 公爵様とリンデル様とレイル様の三人は 





真剣に 話し合いを始められてしまった。













彼の姿を見て 





レイル様は何者なのだろうか、と考えてしまった。







先程エルヴァラ様が(おっしゃ)っていた 公爵様のお手伝いなど






公爵様に頼られるレイル様の存在が 不思議だった。
















私達は 三人のお邪魔にならないよう解散する事にした。












応接室を後にし 廊下に出ると





先に出ていたミーナが待っており 私達に頭を下げた。











「皆様 本当に申し訳ありませんでした。」











ミーナと何度か会った私達とは違い お父様やお母様は





先程の謝罪があったからと言って 





何事も無かった様に振る舞える訳ではなかった。










お父様とお母様は ミーナを見て身体が強張(こわば)り 





その場で固まってしまった。









少しの沈黙の後 お父様が








「ミーナ 君の行いを 私は正しいとは思えない。






だが… 君より年上である私も 間違いに気付かず





大切な人達を傷つけた事がある。」









お父様は 片方の手を私の肩に置き 





もう片方の手を 弟達二人を抱きしめる様に回した。







お母様はそれを見て微笑み 私達の心も温かくなった。










「そんな私を 大切な人達は許してくれ





やり直しのチャンスを与えてくれた。」









お父様が私達を見て 微笑んだあと











「そして 私が一番苦しかった時





エルヴァラ嬢と公爵様に出会い 救っていただいたんだ。







私は皆んなに そしてお二人に





感謝しても しきれないない程の恩を感じているよ。







これから私は 出来る限り皆に





恩を返していきたいと 思っているんだ。」











お父様はミーナを(さと)す様に 優しく声をかけた。











「公爵様に恩を受けた君も そうであってほしいと願う。








ミーナ 私には君に裏切られた記憶もあるが





苦しい中 助けられ支えられた記憶もある。







あの時の君に 改めて言いたい。






どんな理由であれ 





苦しい時に支えてくれた君に 心からの感謝を。






そして私は 君に生きて欲しいと望む一人だよ。」









お父様は ミーナに優しく微笑んだ。








「私もよ。」 「私も。」 「僕も。」 「僕だって。」









ペルー家の皆んなは お父様の言葉に賛同した。
















私達の言葉を聞いて涙ぐんだミーナは 小さく呟いた。








「本当に人が良すぎて困るのよ… ペルー家は。」








私達まで届かなかった言葉の後









「伯爵家の皆様 ありがとうございます!







皆さんのおかげで 私は外に出る事が出来ました。







そして 何度も嘘を()いてすみませんでした。








弟達を想うと心が痛みます、が それでも生きていきます。







それが私の罰であり チャンスだと思っています。








公爵様や伯爵様からいただいたチャンスを無駄にしない為






私はこれから生きる事を 頑張ります。」










少し個性的な内容ではあるが





ミーナは ハッキリとした口調で宣言(せんげん)をし








私達の顔をしっかり見てから 再び深くお辞儀をした。











「私達と共に前に進み 共に公爵様へ恩を返していこう。」








「はい。」









ボンバに支配された お互いの関係を清算し 





共に前に向かって生きていこうと 





まるで同志の様な面持ちで 見つめ合った後





最後は 穏やかな気持ちで微笑みあった。











ミーナは怪我を治す為 





使用人専用の部屋を 使わせてもらえる事になった。








侍女長であるサラさんに案内され 





部屋へ向かうミーナを 私達は見送った。









私があの時 エルヴァラ様に出逢っていなければ






私達がこの様に 言葉を交わす事は無かっただろう。






ここまで来れたのは エルヴァラ様と公爵様のおかげだ。











素晴らしい方々に出逢えた喜びを 私達は噛み締めながら





貸していただいている客室へ向かうと









私の部屋である客室の前で エルディン様が立っており





私を眼にすると「大丈夫か?」と声をかけてきた。









初めは何の事かわからなく 戸惑(とまど)っていたが





どうやらスキルで嘘を()かれた事を





心配しているようだった。








私は大丈夫だと答え 心配してもらったお礼を伝えた。











地下牢の時も ミーナと私のやり取りだけで





私の言わんとした事を理解し 後押ししてくれた方だ。






周りをよく見て 色々な事によく気が付く人なのだろう。









周囲への気遣いが出来 女性に親切なのだから





エルディン様が嫡男(ちゃくなん)であるバーシル家は安泰(あんたい)だと思った。




















それから数日かけ 





公爵様達は 大国へ向かう準備を終えた。











この国に(たくら)みを持つ 貴族の情報を探すための公爵様と 




能力を高く評価されているレイル様




弟達の情報を探す為のミーナが 向かう事になった。












商人として 荷馬車を三台用意し





世話係の侍女達や侍従達を 商人に(ふん)させ 





多くの護衛達も連れて行くようだった。










間者(スパイ)の目を(あざむ)くために 見送りを禁じ





朝靄(あさもや)(まぎ)れるように 静かに出発した。











その日 一行(いっこう)は 問題なく進んだ。












昼の休憩を取るため 路傍(ろぼう)に止めた荷馬車から





12歳と8歳の少女が 出てくるまでは。











今日も読んでいただけて


嬉しいですすすトレッチ(´・ω・`)♡伸び〜

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