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16・5-26 私の天使と許し (マァサ side)

本日もお目汚し 失礼致しますすすー(´・ω・`)












解散していた私達は 再びお父様の執務室に集まった。






お父様の様子は落ち着いており 私達は安堵(あんど)した。










あのあと 






お父様を傷付けてしまったと 私達が反省していると





エルヴァラ様も 落ち込んでいる事に気付いた。





ペルー伯爵の気持ちを考えていなかったと。









私達は 入室してすぐにお父様に謝罪したが





エルディン様やレイル様まで謝罪されていて 驚いた。










私達の謝罪に対し お父様からも






「君達を前に 




格好悪い姿を見せた私こそ 申し訳なかった。」






と謝られてしまった。








そして 





「私の気持ちは変わらないが 




君達の気持ちを尊重したいと思う。






三人がミーナの解放が必要だと言うなら




その為の協力は惜しまないよ。」






少しだけ悲しいような でもいつもの優しい笑顔で





私達の提案を受け入れてくれた。









お母様は 私達の様子を 





少しだけ離れたところから 優しく見守ってくれていた。


















二人の承諾(しょうだく)を得 お礼を伝えたあとは





そのまま 公爵様へ報告する流れとなった。










私達は応接室に通され ミーナから聞いた話を報告した。







公爵様からも報告があり






毒薬を渡してきた医師は 伯爵邸を出てからすぐ




証拠も残さず 姿を消した事。







ボンバの息子の件は不審な点が多く 調べた結果




物取りに見せかけた 計画的な犯行だった事。







親であるボンバは 未だに消息不明である事と







ボンバが馬車で逃げようと 門前に並んでいた時




身なりの良い男が迎えに来たが その男の様相(ようそう)が 




毒を渡した医者と 酷似(こくじ)していた事など






幾つかわかった事を 私達に教えてくださった。









そしてボンバは 身を隠しているか拘束(こうそく)されているか 




もしくは息子のように 




口封じをされているだろうとも 仰っていた。











公爵様は 少し考えられた後






ボンバと医師は 貴族と繋がりがあった為





相手を特定する情報を得たかったが





その前に 二人には逃げられてしまったので





そのミーナという娘は 





貴族に繋がる情報を持っていないかと 聞かれた。











ミーナの話になったので こちらからも




ミーナの望みと解放を 改めてお願いしようとした瞬間




エルディン様が 私の言葉を制し








ミーナの希望を 自分達の希望として公爵様に伝え 





お願いではなく交渉として 話を推し進めはじめた。










彼女を解放し 彼女の弟達を助けに行く手助けを求め





それにより公爵様の欲しい情報が手に入るのではないかと。







話の流れを作るエルディン様の姿は 実に頼もしく




いつもの エルヴァラ様に振り回されている




気の良い兄の姿ではなかった。







同じ嫡男(ちゃくなん)であるヨルドは エルディン様に




憧れの視線を向け 見ていて微笑ましいものだった。










公爵様は エルディン様の言葉に耳を傾けながら





その姿を凝視(ぎょうし)した後





最後には短く 「わかった」 と答えられた。









そして(おもむろ)に お父様やお母様に向き 






「これから ミーナという娘をここに呼び 





話を聞こうと思いますが お二人はどうされますか?






退室されても 内容はお伝えするので 





無理をなさらなくても よろしいと思いますよ。」








二人に(たず)ね 判断を(ゆだ)ねてくださった。









「公爵様 お気遣いをありがとうございます。」








お父様とお母様はお礼を伝え 顔を見合わせてから








「娘達から話を聞き (すで)に覚悟を決めております。





私どもは 皆の決定に従うつもりでございます。」







落ち着いた迷いの無い声で お父様は答えていた。

















地下牢から 足を引きずりながら 




護衛達に連れてこられたミーナは





公爵様の鋭い眼光に射すくめられ 身体を震わせていた。









先程まで地下牢に力無く(うずくま)っていた娘が





公爵家の豪華な応接室で 多くの貴族に囲まれ震える姿は





(あわ)れにも見えるが 今はまだ罪人でもあるのだ。










公爵様は眉間(みけん)(しわ)を寄せ 震えるミーナを





じっと観察しながら (いく)つか言葉のやりとりをした。









「目的地に着き 彼らの様子を知った後 





君は 自死しないと誓えるか?」









その言葉を聞いて 私はハッとした。





その目的を考えていなかった。









弟達の命が奪われていた場合 自暴自棄(じぼうじき)なのか 





それとも 同じ場所で命を終えたいのかわからないが 





彼らの元へ向かう一つの理由として 考えられる事だ。












皆んなの視線が集まる中 ミーナは 






公爵様の威圧が理由だけで無い震えを 見せだした。












「君の死に場所を探すために 君に協力する事は出来ない。







その行為は 君のために心の痛みに(ふた)をして 




君の罪を許した伯爵家の思いを 踏み(にじ)る行為だ。








君の話を聞いたが 




君はあまりにも (ひと)りよがりな人間のようだ。






失った両親や 弟達の件は同情を感じ得るが 




後の問題の幾つかは 君自身から来るものではないのか?







簡単に自死に向かう軽い命をかけられては 




弟達も (むく)われないだろう。」








その言葉にカッときたのか ミーナは公爵様を(にら)みつける。








私は 公爵様らしく無い 相手を(なじ)る言葉選びに気付き




私と同じく ミーナを(ふる)い立たせる為なのだと感じた。





周りの人達も気付いたようで 様子を見守っている。











「死ななきゃいいのね! それで良いんでしょう!





それで 連れて行ってくれるんでしょう!!」








ミーナの本来の気質は 短気な激情型なのかもしれない。












公爵様に対しての不敬な態度に





護衛達は万が一を考え 公爵様の前に進み出ようとする。






それを手で制し 公爵様は









「思い違いをしているようだが





私は 君の命に興味を持っていない。







君や弟達の命を救おうと 動いているのは






君が目的が叶わないと知るや ぞんざいに扱った




その命達と交換条件にされた 伯爵家の彼らなのだよ。








もう一度 言おう。








今の君の立場を守り 君や 君の弟達の命に重きを置くのは






私では無く






君に騙され 裏切られ 家族を奪われかけた彼らだ。







君が 自分の家族を得るために壊そうとした 彼らだ。







自分の欲望のために 他人を巻き込んだなら 





最後までその行動に 責任を持つべきではないかな。」









公爵様は ミーナの視線を誘導するように




ゆっくりと ペルー家の私達に視線を向ける。










ミーナに視線を向けられ 






お父様はこめかみに力を入れ 青白い顔だが




不快な感情を表に出さいないよう 努力してくれている。








お母様はミーナに 悲しそうに微笑みかける。








「ミーナ 貴女の裏切りにはとても心を痛めているわ。





だけど 私を救ってくれたのも貴女なのでしょう?







毒だけでなく




ボンバの手の者が 私を連れ去ろうとした時




身体を張って止めてくれたのでしょう?






足の怪我は そのせいなのかしら?







貴女も苦しんでいたのよね。






私を守ってくれてありがとう。」









お母様の言葉を聞いて ミーナの眼に涙が(あふ)れた。









「かあさ… いえ、伯爵夫人… すみませんでした。






 …






ペルー家の皆さん 本当に… 本当にすみませんでした… 」









席から立ち 頭を深く下げたミーナの目元から床に





大粒の涙がボタボタと 続けざまに落ちた。











「私は家族を守るものとして 君を許すことはないが





それでも君に 感謝を述べたい。







私の妻を 三人の子供達の母を守ってくれてありがとう。」








戸惑(とまど)いの色も見えるが 





慈愛を(にじ)ませた瞳で お父様はミーナに声をかけた。










「伯爵様 申し訳ありませんでした… 」









嗚咽(おえつ)に混じりながらも ミーナの声は皆んなに届いた。












公爵様に着席を(うなが)され ミーナが席に戻った後









応接室の 豪華なテーブルに広げられた地図を前に 




改めて 弟達の居場所を聞かれたミーナは




















「弟達の気配は感じられません。」





苦悶(くもん)の表情で告白した。











読んでいただきまして


ありがとうございますすすイス(´・ω・`)♡ ホイ!


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