16・5-20 私の天使と懇願 (マァサ side)
※ 皆様 申し訳ありません。
長時間 レイリルをリンデルと表記していました泣
ちょっと切腹してきま… いや、その前に努力します。
まず ややこしいので
レイリル君は レイル君に改名いたしましたm(_ _)m
皆様 ずびばぜんでじだぁぁ〜〜泣 (鼻水きちゃない…)
「やっと 皆んなとお泊まり会が出来るのね!
先ずはカードゲームが良いかしら? ワクワクしちゃう!
私の部屋はこっちにあるのよ!」
お泊まり宣言のあと にこにこしながら
私達を部屋へ案内しようとした エルヴァラ様の前に
仁王立ちの公爵夫人と
同じく隣に 仁王立ちのサラさんが現れた。
今日 何度か見た形である。 エルヴァラ様のお姿で。
既視感が凄い。
「エヴァ まさかお部屋だとは思わなかったわ。」
「エルヴァラ様 男女が同室で寝るなどあり得ません。」
公爵夫人も侍女のサラさんも 笑顔が怖い。
…要するに 怒っていらっしゃる。
エルヴァラ様のお泊まり会を大人達は
一緒にお邸に泊まること、だと思っており
エルヴァラ様は サラさんから聞いたように
一緒のベッドで手を繋いで寝ること、だと考えていた。
公爵夫人もサラさんも 焦りながら説得をしている。
「エヴァ 聞いて欲しいの。
6歳以上は 男女で必要以上に触れ合ってはいけないのよ。
婚約者でなければ 手を繋ぐ事も憚られるわ。」
「なぜ? レイルとはいつも手を繋いでいるわ。」
「あら… レイル様? そのお話はまた後で… 」
「はい… 」
「ねぇ お母様、6歳も8歳も変わらないですわ。
ついでに12歳も 6歳と同じですわ。」
…え、 エルヴァラ様… ?
思わず 12歳の私は固まる。
聞いていたレイル様は ガックリと肩を落とし
エルディン様は 嫌ぁーーなお顔をされている。
被弾した三人に気付かず エルヴァラ様は必死に続ける。
「皆んなで仲良く過ごす事に 年齢なんて関係ないわ!」
説得に一生懸命で 深く考えていない事が伝わる。
「お母様だって
お友達をたくさん作って 社交界を上手に渡り歩きなさいと
よく仰ってるじゃないですか。」
ここで夫人は 微笑みのまま
扇子を すい、と広げ お顔を隠されるが
少し見えている目元は赤く 視線は逸らされている。
そばに居たので聞こえたが 小さな声で
「それは女同士の内緒話なのよ、エヴァ… 」
と恥ずかしそうに エルヴァラ様だけに溢されていた。
エルヴァラ様のお母様だけあって
可愛らしい方だな、と生意気にも感じ入ってしまった。
「サラだって
お泊まりできるお友達が出来るとよろしいですね
て 優しく声を掛けてくれるじゃない。
皆んなお友達なのよ?
それに
お友達の仲を深めるには お泊まり会がオススメですよ
て 教えてくれたのはサラでしょ?」
サラさんの喉元が うぐ、と詰まる。
「…サラ? 貴女ともお話があります。」
「…はい …奥様… 」
「お母様だって 私が
たくさんのお友達と仲良くしていたら 嬉しいでしょ?」
「…エヴァ それとは違う問題なの。
貴女の評判に関わる事なのよ。
例えお友達になれて嬉しくても
男の子と同室のお泊まりは出来ないのよ?
公爵令嬢として
良い縁談を得るためには評判を落とすような
男女の共寝は出来ないの。」
「なぜですか!
皆んなで楽しく泊まるのに 男の子も女の子も
関係ないですわ!
同じお友達なら 同等に仲良くするべきですわっ!」
頬を膨らませて 一生懸命に言い募る。
「そうでは無くて お嬢様の評判に傷が付くんです。」
「サラだって
楽しそうにお泊まりのお話を聞かせてくれたじゃ無い… 」
エルヴァラ様の声が上擦り 震えてくる。
「エヴァ、サラのお泊まりは 女の子同士の話ではなくて?
もう貴女は8歳の 淑女でしょう?」
「でもお母様! 私は今日 頑張ったんです!
ご褒美が欲しいんです。
噂や評判なんて 私は気にしません!
それに大きくなる頃には 皆んなも忘れてしまいます!
噂にならないように 小さな声でお喋りします!!」
「あのねエヴァ 声の大きさが問題では無くて… 」
公爵夫人が ふぅ… とため息を吐く。
「貴女が 噂や評判を気にしなくても
周りが忘れないし 貴女を気にし続けるのものなのよ。 」
貴女が 公爵令嬢という立場だからよ…
と夫人は続けられた。
……
…お母様…
…お母様ぁぁーー! うわぁぁーーーーーんっ!!
エルヴァラ様は とうとう涙を流してしまわれた。
すうぃっと 公爵夫人とエルヴァラ様の間に
身体を滑り込ませる人がいた。
「お母様 監督者として未熟かもしれないけれど
僕が一緒に付いているので 許してやってくれませんか。
部屋の問題だって エヴァの部屋を使わず
使っていない大客室を使い
簡易ベッドを用意すれば 何とかなると思います。」
エルディン様が見かねて
エルヴァラ様を庇うように 前に出られた。
「エヴァは この為に頑張っていたようだし
実際に 色々と役に立っていたんです。
…お父様の情報収集にも 役に立ったと思いますよ。」
エルディン様は 夫人の瞳を覗かれる。
「ご褒美として
今回だけは 叶えてあげても良いんじゃないかと。」
夫人を籠絡するために公爵様を使うとは…
私はエルヴァラ様の味方なため
同じ味方である策士の登場に 心沸く。
お兄様っ!! と感激したエルヴァラ様が
エルディン様の腕にしがみつく。
…視界の端に 凄い形相をしたレイル様がいる。
美しい兄妹愛にまで 嫉妬するんですか… そうですか…
レイル様の
エルヴァラ様に向けるお気持ちは 既に理解しているが
私の中で 残念な美形代表になりつつあるレイル様を
私は 半目で見てしまう。
まぁ
残念な美形具合は エルヴァラ様に限りかもしれないけれど
きっと私も似たようなものだし。
「エディまでそんな…
でも そうなのね… 旦那様のお役に立てたのね。
エヴァは頑張ったのね。」
にこりと微笑み 涙の跡の付いたエルヴァラ様の
柔らかい頬を撫でられた。
「でもね エヴァの評判を落としたく無いのよ… 」
困ったように話される夫人の言葉に
エルディン様は思案される。
仰られる内容は その通りの話ばかりだった。
ペルー家の私達は
社交場から長い間拒絶されていた為に 噂や評判に疎く
言われるまで それらを思い付く事も無かった。
目尻を下げ 瞳を潤ませながら
いまだに懇願の顔を崩さないエルヴァラ様の横で
エルディン様は
「お母様が気にしている評判だけど なんとか出来るよ。
噂好きな下女達や 信の薄い侍従達は下がらせて
信の厚い者達だけを使ったらどうかな?」
…出来るよね? リンデル。
エルディン様が ちらりとリンデル様を見やる。
リンデル様は当たり前のように 涼しい顔で
はい 可能です、と答えられる。
「うん、ありがとう。
今いるメンバーなら 誰が使えるかな。」
「まずは 私もお手伝いしましょう。
今いる者で 他には
サラ、ルイ、アディ、ジオル …でしょうか。」
ルイの他に ジオルと呼ばれていた護衛の名前も上がる。
話を聞くと アディと言うのは
リンデル様と 侍女のサラさんとの間に生まれた長男で
今は執事見習いで働きながら
公爵家にお世話になっているらしい。
エルディン様とは乳兄弟だと聞いた。
…えっ! お二人はご夫婦なの?
さらりと入ってくる情報に 驚きが隠せない。
目を見開きながら 固まっていると
護衛のルイに呼ばれたらしい
私達と同じ年頃の少年が入ってきた。
顔立ちが リンデル様を幼くした感じなので
直ぐにアディだと気付く。
切れ長の瞳の 涼やかで知的な顔立ちだ。
呼ばれたアディと 扉の外で護衛をしていたジオルは
サラさんから事情を聞いた後 頷いている。
そこからは 早かった。
リンデル様の指示が的確なので あっという間に
人数分のベッドが 大客室に用意された。
主寝台は 女性の私とエルヴァラ様が使う事になった。
手を繋いで寝ようね!と はしゃいでしまった。
侍従達の動きを見ながら 公爵夫人は諦めたように息を吐き
そして
はしゃいでいるエルヴァラ様や私 ヨルドとナイドの姿に
優しい眼差しを向けてくださった。
マァサ達が頑張っているので 途中で切れず
まだ続きます…(汗)
ほんとーに申し訳ありませんっっ!!
本日もありがとうございましたたヌキ(´・ω・`)♡ぽんぽこ