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16・5-14 私の天使と私の涙 (マァサ side)


皆様 お邪魔いたしますすすー(´・ω・`)












「…ねぇ ミーナ。 ボンバの話、信用できると思う?





ボンバの契約書類を信じて 私のお父様がどうなったのか



貴女(あなた)だって 身近で見てきたじゃ無い。






私達は あの男のせいで負債(ふさい)を抱えて 



ずっと苦しんできたわ。」







相手を()めるような 厳しい視線をミーナに向ける。









私はミーナの話を聞き 同情してしまった。






でも私達を裏切り 




弟達を傷付けたミーナを許す事は出来ない。







…そう思っているはずなのに それとは別に



ミーナの 弟達を想う気持ちが理解できた。






出来てしまった。







でも この感情に(ふた)をしなければならない。



私には私の立場がある。











心を(くだ)きながらも 言わなければならない言葉。




この問題は ペルー家の問題。






エルヴァラ様や 大勢の人達に何度も助けて頂いたけど




弟達を守る姉として 



ミーナと向き合うのは 同じ立場である私の役目だ。







そして私は 彼女に憎まれるのだろう。











現実を見せる言葉と 詰める様な視線を向けられて






もともと何も映していないミーナの瞳が、表情が、



ストン、と落ちた。






先程まで何かに(あらが)おうと 




(わず)かに残っていた生気(せいき)ある顔色は消え





今は世界の全てを拒絶し 何も映さない顔となった。





そこにあるのは 生きる事を放棄した(うつ)ろな顔だった。







それが彼女の 返事なのだろうか。







もう(なに)にも反応しなくなったミーナの身体は




()ちた(しかばね)の様に 力無くその場に(くず)れ落ちた。






生きながらに自死する人間を見た。




そんな光景だった。









私の出した言葉は 




事情を知っている人間なら 誰しもが思いついた言葉だろう







ボンバとの契約書類など 無意味だからだ。





ボンバに契約書類で(だま)され 詐欺にあったから 



今の私たちがいるのだ。







ただ、この言葉で ミーナがここまで追い詰められるとは



ここにいる全員が考えていなかっただろう。






切迫(せっぱく)した状況なのは 彼女の様子から伝わってきた。






それでもまだ彼女の方から




何とかしてくれと 要求があると思った。



自分のスキルを交渉に 減刑(げんけい)を求めると思った。



自由となれば スキルを使って探す方法を(さぐ)ると思った。








なのになぜ 全てを投げ出したのか。








彼女が 唯一として(すが)っていた契約書類の現実を 



見せてしまったからだろうか。







彼女も気付いていたのではないのか。




(だま)されている事



利用されている事






それでも (わず)かな希望に(すが)り付きたかったのだろうか。




知りたくなかったのか。



気付きたくなかったのか。







それを同じ立場の私によって突きつけられ





それでも知りたくなくて 考えたくなくて



全てを拒絶したのだろうか。 …したのかもしれない。







でもなぜ ここまで…







何も映さなくなった (うつ)ろに開かれた眼と



呼吸すら放棄しかねないほどに 脱力した口元。






地面に 物のように自らを投げ出してしまった彼女を前に




私の意識も止まっていたようだった。










気がついたら ミーナを叩いた手を 




エルヴァラ様が 優しく両手で包んで下さっていた。








…マァサのせいじゃ無いわ。





悲しそうな顔で 私の顔を(のぞ)き込んでこられる。








ハンカチを取り出し 手を伸ばして 




優しく丁寧(ていねい)に 私の頬を拭いて下さる。








ここで私は 自分が涙を流している事に気が付いた。







左右の手をヨルドとナイドが包むように(つな)




とめどなく落ちる涙を エルヴァラ様が拭いて下さる。








…ありがとう、ございます。






ミーナに向けた視線を移す事なく 



静かにお礼をお伝えした。






ヨルドとナイドには 



ありがとうの気持ちを込めて 優しく握り返した。








二人からは先程とは違う 柔らかい視線が感じられた。






彼らは彼らなりに 心の整理が付いたようだった。




それに気付けて 私の心も安堵(あんど)する。









彼女に(ひど)い現実を突きつけ 




後悔の念に(さいな)まれる私の姿を




いつまで 弟達の前に(さら)すべきではないと思った。






私だって 弟達を守りたい一人の姉なのだ。












気持ちを切り替えようと 冷静さを取り戻す努力をするが





弟達二人とエルヴァラ様の温かさに



心の柔らかい部分が刺激され 涙が止まらない。











生きる(すべ)を失ったかのように




地面に身を投げ出しているミーナを見て思う。







彼女は もう一人の私なのだ。






あのまま二人が(さら)われていれば 




私はミーナと同じ事をしていただろう。






…犯罪に加担するかは別にしても




苦しむ弟達を助けだす為 必死になっていたはずだ。








だけど 私の涙は 





ミーナを不憫(ふびん)に思う涙だけじゃない。




胸を打たれた涙でもある。








両手に感じる 二人から与えられた(ぬく)もりと





心配そうに涙を拭いて下さる 優しい想い。






寄り添ってくれる三人に視線を移して 思う。









私は私だから 私の立場で生きていくしかない。





貴女(あなた)の気持ちも 今なら理解できる。





でも私は 自分の大切な物を手放さない。








ミーナ ごめんなさい。





貴女がどれだけ辛くても 貴女(あなた)に弟達は渡さない。









本日も お読みいただきまして


ありがとうございますすクワット(´・ω・`)♡明日筋肉痛ー!

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