16・5-12 私の天使と罵詈雑言 (マァサ side)
再びお邪魔いたしますすすー
読んでいただける事が 正直 夢のようですすー(´・ω・`)
参考までに:
エルディン、レイル、マァサ… 12歳
エルヴァラ、ヨルド、ナイド…8歳 ですm(__)m
怒声の響く中 人攫いの男達を
力技で勝る屈強な兵士達が 縛っていく。
縛られていく人攫いの中に ミーナもいる。
なんで… こんなに頑張ったのに何で…
早く助けないと… 早く…
繰り返し呟きながら
茫然自失の中 無抵抗で縛られていく。
涙も鼻水も流し続け 目は焦点が合っていない
私達はお母様が心配で 急いで現状を知りたかったが
憎しみを感じるはずの彼女の 今の姿を見ていると
なぜだか聞くことが出来なかった。
弟達は
自分達を攫おうとした男の顔を見て 怯えていた。
弟達を庇うように前へ出て
捕縛され床に転がされている男達に向かって 話しかける。
「私は マァサ・ペルー。 ペルー伯爵家の長女よ。
私のお母様は今 どこにいるのかしら。」
弱みを見せないように
貴族としての威厳を持って 居丈高に男達を見下ろした。
「ははっ! あぁ、あの女なっ! …邸にいるよ。」
ニヤリと下卑た笑いを見せ 品定めするかのように
上から下まで舐めるように視線を這わせてくる。
その視線に鳥肌が立つも 負けじと睨みつける。
「全くやってらんねぇよっ!
最後に貴族の女を攫って売るつもりが
この女に邪魔されてよぉ。
挙げ句が このザマだ、割に合わねぇ。
…今頃 お前達を売ってよぉ。
その金で 美味いものを食ってるはずだったのによぉぉ。」
男は 瞳孔の開いた目を剥き出し
弟を凝視しながら 舌舐めずりをする。
それを見て 弟達は身をすくめ小さく震え出す。
「悪者って ほんと 悪者らしいセリフを吐くのねぇ。」
人攫いに向かって
腰に手を置き 仁王立ちのエルヴァラ様が
呆れたように ため息を吐く。
「これって 三文芝居って言うのかしら?
自分達は 悪事がバレて捕縛され
これから罰を受けるのでしょう?
ふふっ。
自分が怖いからって
自分より身体の小さな子供を虐めるのだもの。
大人に見える貴方って 本当は大きいのは身体だけで
中身は 器のちっちゃなお子ちゃまだったのねー!」
ふふんっ、と 鼻を鳴らし
貴方って カッコ悪いわ!と 吐き捨てるエルヴァラ様。
「こ、このガキィーーー! なんだテメェ!!
オレらの後ろには 大きな貴族様が付いてるんだよっ!
貴重な魔道具を渡す程の価値が オレ様にはある!
いいか、クソガキッ! 顔を覚えておくからなっ!
お偉い貴族様に助けてもらった後
お前をぜってぇ なぶり殺してやるっ!
泣こうが喚こうがズッタズッタにしてやらぁぁ!!」
唾を飛ばし 大声で喚き
エルヴァラ様に罵詈雑言を浴びせ続ける。
エルヴァラ様は 全く気にもされず
涼しいお顔で 腕を組みながら男の顔を見下ろしている。
レイルと呼ばれる少年がやってきて
エルヴァラ様と人攫いの間に入り 男を睨む。
捕縛されている者以外の
怒気を孕んだ全員の視線が その男に向かう。
暫くの間 男は喚き散らしていたが
リンデル様が近づき そっと何かを囁くと
みるみる顔が青くなり ガタガタと震え始めた。
「あら、急に大人しくなって どうしたの?
まぁいいわ。
私ね、私のお友達をいじめる奴は 許さないのよ。
貴方達が ヨルドとナイドを虐めた人攫いなら
私が 貴方達を 退治するわっ!!」
現に捕まえたでしょう、私は!と
指をビシッと 人攫いに指して満足気なエルヴァラ様。
あまりのカッコ良さに 私は見惚れてしまった。
ねっ!と 私と弟達に ニカッと笑顔を向けてくださる。
天使の強さに魅せられ 私の胸は熱くなる。
「それに 貴方達がどんなに頑張っても
私に 酷い事は出来ないのよ!
だって レイルが守ってくれるものーーっ!」
鼻息荒く物凄い自信を持って
エルヴァラ様は言い切られた。
ねぇーーー と レイルという少年に満面の笑顔を向け
歌うように 同意を求められている。
「あぁ、オレが絶対 エヴァを護るからな!」
顔を赤らめながら 胸に拳を当て
愛らしい少女に誓う 類稀な美貌を持つ少年。
魔術防御の魔道具が効かないほどの 攻撃力。
彼がエルヴァラ様の 本当の騎士なのだろう
そんな思考が過った。
何も出来なかった自分が
悔しさを感じるなんて烏滸がましい。
胸に湧いた負の感情を 拳で握り潰し 隠した。
「外から見ると
可憐な姫と美しい少年兵の誓い、て感じだけど
実際は違うからなぁ〜〜 」
お転婆姫と忠犬の誓い…て感じかなー と呟き
人攫いの投獄を命じた後に溜息を吐きながら
エルディン様が割って入ってくる。
「ところで この女はどうしたい?」
この女、と呼ばれるミーナの方に 視線を向ける。
ミーナは俯きながら一点を見つめ
繰り返し呟き続けている。
「今回の重要参考人として 連れていくけど…
一応 聞いておくよ。 君達はどうしたい?」
エルディン様が 私達に向き直る。
特に視線は 弟達に向かっている。
弟二人は顔を見合わせ 弱々しい声で呟く。
「僕達は なぜこんな事をしたのか知りたいです… 」
エルディン様は ふむ… と思案顔になって
女の顔を覗き込む。
「会話が出来るとは思えないが… 聞いてみるか?」
はい、と返事をして おずおずとミーナに近づく。
ミーナ、と 二人が名前を呼んだ途端 バッと顔を上げ
「ヨルド様、ナイド様! お助けくださいっ!
お二人なら助けられるんです。
ボンバが約束してくれたんです。
お二人を代わりに差し出せば 私の弟達は戻してくれると。
お二人は何でも持っていますよね?
優しいお父様やお母様、お姉様もいらっしゃいますよね?
私には 弟達しか居ないんですよ。
お願いします、お願いします!
弟達の代わりに売られて下さい!!
早くしないと弟達の気配が消えちゃうんです!
そしたら 私は追跡出来なくなるんです。
だからお願いします、私の弟達を助けてくだ… 」
バチンッと 頬を強く 叩く音がした。
本日も 読んでいただき
感謝申し上げまするするすー(´・ω・`)するるん♪