16・5-⑩ 私の天使と機密 (マァサ side)
誤字脱字のお礼を後書きでさせて頂きました♡m(_ _)m
本日も皆様のお目汚し 失礼いたしますすすー(´・ω・`)
ヨルドから明かされた内容と
傷付いた二人の痛ましい姿に 場が沈む中
エルヴァラ様の声が響いた。
「お父様 お母様 お兄様!
皆んなで悪者をやっつけましょう!!
そして ペルー家の皆んなに泊まってもらいましょう!」
そして 弟達へ優しい声音で話しかけられる。
「今日は ヨルドとナイドに
たくさん "良い子良い子" するわ。
だって 元気になってもらいたいもの…」
公爵夫人も そうね、と優しい視線を向けてくださる。
「あ、でも!
悪者に知恵があって 人質を取られた場合
どうやって退治したら良いのかしら?」
うーーん、と 悩み始め
ソファに ポスンと座るエルヴァラ様。
思考が止まり 追い詰められていた中
エルヴァラ様の言葉は いつも私を奮い立たせてくれる。
お父様も エルヴァラ様の声で意識が戻ったのだろう。
ハッと顔を上げ 失った酸素を取り戻すように吸い込み
身体から搾り出すよう言葉にする。
「公爵家の皆様方
本日は大変お世話になり ありがとうございました。
私共は これ以上公爵家の皆さまに
ご迷惑をおかけする事は出来ません。
今日はこれで失礼させて…」
「ペルー伯爵。」
公爵様が お父様の言葉に被せるよう声をかけられた。
「エルヴァラもこのように言っていますし
迷惑ではありませんので
夫人にも こちらに来ていただきましょう。」
公爵様が 善意の提案を示してくださった。
「い、いえ、公爵様のお手を煩わせる事も
これ以上のご厚意に甘える事も出来ません。
本日は我が家の問題に 皆様を巻き込んでしまって
申し訳なく思っています。」
引き止められると思っていなかったお父様は
慌てながらも 静かな声で遠慮する。
一刻でも早く お母様のそばに行きたいのだろう。
私もそうだから。
公爵様が ふぅ、と小さく息を吐いた。
「ペルー伯爵を騙した商会は ボンバ商会でしたね?
失礼かとは思いましたが
マァサ嬢がこちらに来られた時に
ペルー家について調べさせていただきました。」
「そんな! 失礼などとは思いません。
素性のわからない娘を
なんの忌避もなく助けていただき 感謝しております。
商会については 仰る通りで
ボンバ商会に騙されました。」
「そうですか。
先程 エルヴァラから聞いた魔術防御の話が事実なら
話の流れから
ボンバ商会が関与している可能性があります。
今 国政に携わる一部の者は
極秘で 国に起きている幾つかの問題を調査をしています。
その中に ペルー伯爵が関わったと思われる
幾つかの案件が出て来ました。
調査の結果 今のところ
ペルー伯爵自身の関与は 見受けられませんでしたが
思わぬところで利用され兼ねません。
実際
不正が無くともペルー伯爵の名が上がったのは
彼らの隠れ蓑として利用されたからでしょう。
こちらとしましても 捜査状況が落ち着くまで
伯爵家の皆さまには
外部と接する事なく過ごして頂けると助かります。
なので 邸に滞在していただくことは
こちらとしても利があるのですよ。
尚… 捜査については機密情報のため
この部屋に居る者全てに箝口令が敷かれます。」
よろしいですね?と 念を押してくる公爵様。
事の大きさに愕然とする私達は
ただただ頷くしかなかった。
公爵様は そのまま淡々と続けられる。
「今回 話に出てきた鉱山ですが
こちらも調査により 気になる点がありましたので
視察を終えてから お声を掛ける予定でした。
政局に関わる為 秘密裏に進めていたので
ペルー伯爵にはお伝え出来ず 申し訳なく思っています。
またボンバ商会には
気掛かりな点がありますので 夫人の件も合わせて
このまま こちらに一任させていただけないでしょうか。」
「あ、いや、しかし…」
「ペルー伯爵。
エルヴァラの言う通り ペルー夫人が人質に
あるいは命を狙われる可能性も考えなければならず
一刻の猶予も無いと思われます。
先ほど バーシル公爵家として執事のリンベルに
王都の閉門 それに伴う王家への通達を頼んでいます。」
確かにリンベル様の姿が見えない。
「まずは夫人の安全を優先いたしましょう。
ボンバ商会に先手を打たれる可能性もありますから
ペルー伯爵家と同時に ボンバ商会に向けて
リンデルが私兵を送っている事でしょう。
なので ペルー伯爵、ここは協力された方が
無事に夫人を迎えられると思ってください。」
お父様が 公爵様の勢いに気圧され
白い顔で コクコクと頷いている。
「それでは行きましょうか。」
するりと 美しい所作で立ち上がる公爵様に続き
お父様も慌てて 後に着いて行こうと立ち上がる。
「お父様 私達も行きたいです!」
「エヴァッ!!」
エルヴァラ様の提案に エルディン様が慌てて嗜める。
「エヴァ… なんて事を… 」
公爵夫人が卒倒しそうなほどの青い顔で 弱々しく呟く。
公爵様はエルヴァラ様を見やると
「エヴァ これは子供の遊びと違うのだよ?」
と 優しく諭される。
もちろん心配して下さっての言葉だとは わかっている。
それでも 私も弟達も子供だけど 他人事では無い。
それに エルヴァラ様がいらっしゃらなければ
エルヴァラ様の言葉が無ければ
私たちの置かれた状況は ここまで周りに理解されず
安全に話が進む流れでは無かったはずだ。
「公爵様、御無礼を承知で申し上げます。
私達は子供ではありますが 当事者でもあります。
なので 同行を許可願えませんでしょうか。
もちろん 邪魔は致しません。」
私は チラリとエルヴァラ様に視線を向けてから
公爵様と向き合い 視線を留める。
公爵様は眉間に強く皺を寄せ 再び小さな溜息を吐くと
「時間が惜しい。
エルディン、付いて来たい者達を纏め
安全を確保した上で ペルー家に向かって来なさい。」
「…はいっ お父様!」
子供達を纏める 責任ある立場を与えられ
エルディン様の頬が 高揚している。
「では 私達は先に行く。 ペルー伯爵 行きましょう。
馬車の用意や
何か困ったことがあれば リンデルから聞くように。」
エルディン様に軽く指示を与えた上で
公爵様とお父様は 我が家に急いで向かわれた。
「お兄様! 早く行きましょう!
何があるかわかりませんから!!」
「…何があるかわからないから
本当は邸に居るべきなんだよ、エルヴァラ…」
エルディン様のぼやきは エルヴァラ様には届かない。
※ 1週間ほど前にいただいた
誤字脱字機能に始めて気付きました(;ω;)
機能が使いこなせず お恥ずかしいです… (汗)
16部をお世話いただいた漢字の神様!
改めてお礼申し上げますすすーーm(_ _)m♡♡
本日も読んでいただき
ありがとうございますすすキップ(´・ω・`)♡るんたった♪