14. スキル発現者の それぞれの立場
長く… なりました…(汗)
ご迷惑をおかけ致しますーー(ぺこぺこ)
お邪魔致しますすすー(´・ω・`)ぺこり
「お父様、大変 申し訳ありませんでした。」
お父様に みっともない姿を見せてしまったから
これからは 淑女らしく 優雅に振る舞ってみせるわ!
「こちらこそ 悪かったね。
エヴァの状態が そこまでとは 考えていなかった。」
「お父様は 悪くありません。
お父様は 私の話を聞いてくださった上で
あのお話をして下さったのですよね?
私が 過剰に反応してしまい 申し訳ありませんでした。」
淑女の微笑みを ここで発揮する。
穏やかに 優雅に ニッコリと。
まぁ… 今更感は あるけども ハハ、ハハ… はぁ…
「そうか。 …体調の方は どうなのだ?」
「はい、マァサのおかげで 問題は ありません。」
「そうだな、マァサの存在は心強いな。」
お父様も 笑顔を見せてくださる。
あら、お父様 ずっと笑っていらっしゃれば良いのに。
素敵な笑顔ですのに、と思いながら
でも それだと…
お父様の笑顔を 独り占めしているお母様が
ヤキモチを焼いて 色々と 被害が出そうだわ。
なんて、仲の良い両親の姿を思い浮かべて
ふふふ…と笑む。
先程とは打って変わって 穏やかな雰囲気が流れる。
リンデルは 溢れた飲み物を片付けた後
静かに 部屋の外へ出る。
マァサは そのまま 壁と一体化している。
先程は ありがとう、マァサ。
リンデルも いつも ありがとう。
巻き込んでしまった二人への、お礼の言葉が 頭に浮かぶ。
それぞれが それぞれの立場に戻ったところで
…では、改めて。
「お父様
先程は 貴重なお話を ありがとうございました。
考えさせられるべき点も 興味深い点もあり
とても勉強になりましたわ。
ですが… 気になっている事が有りますの。
何故お父様は 私に… 秘匿情報を…」
お話ししたのですか? と 言いかけて…
はたと気付いた。 …要するに。 …要するに、だ。
血色の戻っていた顔色が 再び 青くなる。
お父様が 目を細めながら 話し出す。
「エヴァの夢と
落ち人の特異性が 同じだとは断言できないが
もしかしたら
遠からず 近からず というスキルかもしれない。
もしそうなら 驚く事だ。」
眉間に力が入っているので 厳しい顔つきだけれど
瞳に嬉しさを 滲ませているお父様。
「そ、そうですわね… ふ、ふふふ… 」
私は 引き攣った笑顔で答える。
お父様の 過大な、期待のこもった視線が痛い…
自業自得とは、この事か… (涙目)
思わぬ方向に流れた 私のスキル発現報告。
可能性の話だから、と濁しながら伝えたが
もし 落ち人のような特異性を 発現していた場合
お父様は それを 国に伝えるのか…
スキル情報は 神殿が管理をするが 個人の物でもある。
家族への報告や、職探しに活用する人もいるが
神殿以外には、誰にも 伝えない人も多い。
だが それは非難される事では無い。
もし、スキル持ちの個人情報が広まれば
スキル対策を取られた上で 人攫いに狙われる可能性が
ぐんと跳ね上がる。
中には 大切な人の命を盾に 脅された結果
人攫いに捕まる事も あると言う。
とても酷い話だ。
スキル情報の管理は その人を守る為でもあるのだ。
そしてそれは 公爵令嬢である私とて 同じなのだ。
公爵という権力を盾にしても
政敵に 同じく権力で攻められれば 防壁は脆く崩れ去る。
この世界では そんな危険が 常にそばにある。
人間が 商品となる。
悲しいが そのような世界なのだ。
だからこそ
心の正しき者達が 互いに助け合い身を寄せ合い
命を守りあって 生きている。
だが… それとは違う生き方も 存在する。
貴族の生き方は 立場に縛られる生き方だ。
国にとって 有益なスキルが発現した場合
立場を得るために
身内を 国に売る貴族も 存在してしまう。
国の為に 能力を使役する事で
国政で当主の立場が強くなり
王から 褒賞や 上の爵位を賜る可能性も手に入るのだ。
身内を犠牲にして得た立場だが
貴族達には それを良しとする意識がある。
王家への忠誠の在り方として 周りが
スキル持ち、報告者、血縁者達を 褒めそやすのだ。
私は この国の 貴族の在り方を思い出す。
そしてお父様の考え方を 確認できる機会だから、と
心を強く持って 聞いてみる。
「おとう、さま…
…お聞きして おきたいのですが…
スキルが発現した場合 国へは 報告するのでしょうか。」
無意識に ゴクリと 喉が鳴る。
この人は 娘を 国に売るか、どうか…
お父様は 静かに グラスの中の お酒を回す。
視線は グラスから 私へ移る。
その探る視線に 緊張が走るが 私は目を逸らさない。
「…エルヴァラは どうしたいかな?
希望に添えるとは思えないが 一応は 聞いておこう。」
為政者の 圧を飛ばされ ヒュッ、と 喉が鳴る。
遠回しに 国に報告する、と 告げられている。
スキルは 個人の物だから、と 主張したところで
神殿に 多額の寄付金を渡せば
保護者であるお父様は スキルを知る事が出来る。
例え スキルの発現が 無かったとしても
膨大な魔力を持ち 見目の良い 高位貴族の令嬢が
王妃教育を終え 諸国の言葉と知識を蓄えた令嬢が
国や 公爵家にとって
どんなに 都合の良い駒になるのか、、、
考えただけでも 恐ろしい。
…今でこの状態。 婚約解消の話では どうなるのだろう。
円満な婚約解消が 夢のような話に思える。
よし! 国を出ようか 私!!
読んでいただけてー
幸せでございますすすー(´・ω・`)人♡