11. お父様の背中
未熟で恥ずかしいのですが
またまた 皆様のお時間に
お邪魔致しますすすー(´・ω・`)ぺこり
その日の 夕食の席での事ーー
外交官を務めているお父様と
近衛騎士のエルディンお兄様が
王宮から戻り
久しぶりに家族4人が揃った。
お兄様は お母様に似て甘めなお顔立ちで
プラチナブロンドの長髪を纏めた
金眼の美男子。
私も同じ色を持ち 華はあるのだが
顔立ちがお父様に似て キツめなので
昔から お兄様の優しい顔立ちに憧れていた。
お父様が傷付くので 言わないけれど。
プラチナとゴールドの色彩を持つ キラキラしい私達は
美しく 煌びやかなものを好む貴族達に好かれており
社交界では
『バーシル家の 宝石貴公子 宝石令嬢』
と呼ばれ人気があった。
他家より我が家に 侍女の希望者が集まるのは
きっとお兄様のせいだろう。
バーシル家には
代々 プラチナブロンドの髪色の子供が生まれてくる。
家名を名乗る前に
髪色でバーシル家だと認識される程に 知られている話だ
お父様は プラチナブロンドの髪で 瞳は濃紺の美丈夫。
お母様は 薄赤色の髪で 瞳は金色の美婦人。
そんな私も 見目が良いので
4人の優雅な晩餐は
はたから見れば まるで絵画の様だろう。
だが…
私には 優雅に晩餐を楽しんでいる余裕など無い。
おNewなエルヴァラの中に生まれた
玲奈の豪胆な気質も
鳴りを潜めている。
淑女として 美しい所作で食事を進めるが
緊張で 食事が喉を通らない。
部屋で誓った決意に 嘘はないが
誓ったからといって 上手くいく訳では無いのだ。
人生を賭けた大勝負が この後に 待っている。
早々に 食事を諦めた私は
使っていたナフキンを置いて 徐に話を切り出す。
「お父様、この後 お時間をいただけますでしょうか。」
食後の 談話室へのお誘いをする。
お父様は こちらを窺った後
「エルヴァラ、今日は 倒れたそうだね。
体調は どうなんだい?」
と 気遣って下さる。
「はい、リンデルのおかげで 大事には至りませんでした。
侍医にも診てもらいましたので 大丈夫です。」
そうか、と返事を貰い
「この後の話は それに関係している事かい?」
と 聞かれる。
「…はい、私は そのように思っております。」
「なるほど わかった。 時間を取ろう」
約束を取り付け、ひとまず 肩の力を抜く。
「二人が 良いか?」
と お父様はチラリと お母様とお兄様に視線を向ける。
「はい。
まずは お父様に 聞いていただきたいお話です。」
私以外の三人が 顔を見合わせて頷いた。
食事を終え 二人で談話室へ向かう途中
お父様の広い背中を見ながら 考える。
公爵家領主という、大きな重圧を背負っているお父様。
高位貴族らしい 威圧的な容貌をしている お父様。
無駄に怖がられてしまうから
もう少し にこやかにされた方が良いと思うわ お父様。
まぁ…
眉間を強く寄せる癖で キツめな美形は凄みが増し
尚更 威圧感が増すのでしょうけれど。
私も お父様に似て 損をする顔立ちだしね。
他人事ではないわね、と
自分の 整っているけれど キツめの顔に 思考が流れる。
そして お母様との会話も 思い出す。
「あの方は 可愛らしい方よ。」と お母様は
お父様を思い出して ふふふ、と愛らしく笑う。
そんなお母様を 私は微笑ましく思い 憧れている。
たとえ 始まりは政略結婚であっても
お母様の様に
私も 愛のある結婚生活を送りたいと思っていた。
だけど…
思考が 学園の中庭へ流れそうになるのを
かぶりを振って 止める。
今は そうじゃない。
思考を お父様へ戻す。
お母様にとっては、可愛らしい男性でも
私にとっては 権力を持った魔王的存在なのだ。
彼が 「否」と言えば 否に。
「肯」と言えば 肯に。
王家ほどでは無くても それに準ずるだけの力はある。
自由を求めるなら 油断の出来ない
乗り越えるべき大きな壁のなのだ、お父様は。
…でも。
私達に大きな背中を見せ 安心感を与えてくれるのも
お父様なのだ。
政治的な駒である以上に
お父様に守られている事を 私は 知っている。
お父様への想いに 考えを巡らせながら、それでも。
私は 自由を得たいと願う。
ただ…
お父様の手の中から 抜け出そうと 奮起する自分は
ただの、我儘な親不孝娘なのだろうか
と悲しくも なる。
…心が沈みかけるが グッとお腹に力を入れる。
違う、そうじゃない。
考え方が違うのだ、と自らを叱責する。
私の幸せは 私が望まなければ 手に入らない。
私の幸せは 私が掴まなければ 手に入らない。
だけど… それだけが 私の幸せでは無い。
周りの大切な人達の顔を 思い浮かべる。
私の幸せは…
自分だけが掴んでも 幸せを感じられない。
私の大切な人達が 幸せでなければ感じられない。
今 自分の我儘を憂うくらいなら
私自身の幸せも
周りの人達の幸せもまとめて望むくらいに
もっと強く 我儘になればいい。
我儘な親不孝娘になるか どうかは
最後まで やってみなければ分からない事なのだ、と。
私を信じて良かった、と思ってもらえる様に
私は 努力をしよう。
その一歩が 今だ。
その為には この交渉が 大切になってくるのだ。
王子の婚約者の私と 決別する為に!
自分の人生と幸せを 自分で掴む為に!
私は改めて お父様と向き合うべく 腹を括った。
「お父様、お話は 二つございます。」
公爵家の魔王 vs 公爵家の美少女
本日も 読んでいただけてっ!
嬉しいでございますすす昆布(´・ω・`)♡すっぱー