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1.見たくなかった

初挑戦です。

お目汚し 失礼致しますすすー (´・ω・`;)







私は アルーン王国の公爵家の長女、エルヴァラ、17歳。






学園の中庭で 私の婚約者である王子が



私以外の女性と見つめ合い …微笑みあっている。








周りの友人達から 聞いていた。




ある男爵令嬢が 



婚約者であるアルバレッド王子に付き(まと)




側近(そっきん)である他の男性方にも 色目(いろめ)を使っていると。











最初は信じていなかった。








婚約者である王子は 王子教育の中で 



異性問題について学ばれているはずだから。






異性に(すき)を突かれ 




他国からの間者(スパイ)や王の継承(けいしょう)問題



傀儡(かいらい)政権(せいけん)や 



傾国(けいこく)の美女による王家の崩壊(ほうかい)など





(いく)らでも 問題が起きるのだから。










王家の色事(いろごと)での不祥事(ふしょうじ)は 





後に民心(みんしん)を王家から離し 



唯一であるはずの 王家の立場を揺らすのだから。










だから、そう、思っていたのに…




婚約者の彼を 信じていたのに…











暖かい陽射しの中 



穏やかに微笑み合う男女の姿は



まるで恋人同士の様で、お似合いで… 










   … お似合いで (ギリッ)









偶然 支柱(しちゅう)の影から 2人の姿を見つけてしまった。









(くや)しさなのか、怒りなのか、情けなさなのか。






(にがにが)々しい気持ちで 手を強く握りしめ



手のひらに爪が食い込む痛みで (われ)に返る。









我に返ったところで 胸中(きょうちゅう)の苦しさは続く。










このまま授業に出て いつも通りに過ごせる自信が無い。



王妃教育で手に入れた 微笑みの仮面を使える自信が無い。









体調不良を理由に早退を伝え 




気力を振り(しぼ)り 公爵家の馬車に乗り込む。









馬車の中で 背筋を伸ばし 




(うつむ)かないよう意識を保つのに 必死だった。





(うつむ)けば 涙が(あふ)れるから。







人目につく場所で泣けば 



負けた様な もっと(みじ)めな自分になるから。














9歳の時 お父様に連れられて 王城に向かった。





今日は アルバレッド王子とお茶をしてくるんだよ。



粗相(そそう)をしちゃぁいけないよ。








いつもより着飾ったあの日、馬車の中で 告げられた。









初めてお会いした アルバレッド王子は 



1つ年上の10歳で キラキラしていた。






あどけなさはあるけど 金髪碧眼(きんぱつへきがん)の 美しい王子様だった。







飲み込まれそうな程の 大きなお城の中で 



身体は小さいのに 彼の存在感は全く負けていなかった。





威風堂(いふうどうどう)々とすら見えるその姿に 



目を(うば)われた。









同じ年頃の男の子の見せる 優雅(ゆうが)所作(しょさ)や 



私に向けられた美しい笑みに 心を奪われた。 









きっと 私の初恋だった。





緊張して、何を話したかなんて覚えていないけど 



粗相(そそう)はしなかったと思う。









それから数日後 私は 王子様の婚約者となった。












揺れる馬車の中



背筋を伸ばしながら、真っ直ぐに前を見据(みす)え 



過去を思い出していた。











9歳で王妃教育が始まり 時々…




ご褒美の様に 王子と、お茶の席で会う事が出来た。








王妃教育を習い



楽しくはしゃいだり 大きく笑ったりはしなくなった。



好きな人の前で みっともない姿を(さら)したくはなかった。







王子の様に 



気品があり 優雅に振る舞う私を見て欲しかった。






自分を殺し、作り変えていった 8年間だった。











その8年間を思い出し 胸が詰まり 



込み上げてくるものがあるが ぐっ、と飲み込み前を向く。












シルヴィー、と呼ばれる 見目(みめ)の良い


ストロベリーブロンドの髪色が美しい 男爵令嬢。






アルバレッド王子や 側近達と過ごす様子は何度か見かけ 


周りの友人達からも 色々と聞いていた。









それでも 婚約者を、王子を、信じていた。








ストロウ男爵の庶子(しょし)である彼女、シルヴィーは


少し前まで 庶民だった。









彼女の母が(はかな)くなった為 男爵家に引き取られ


この学園に通う様になったらしい




…と周りの令嬢達から聞いていた。









王子の側近の1人、宰相(さいしょう)の息子であるブライが


遠縁である男爵家の シルヴィーの面倒を見ていた。







王子の側近であるブライが 


学園にいるシルヴィーに声をかけ 




その流れで 近くにいた王子達と言葉を交わす様になり




ブライ以外の側近(そっきん)達とも 親しくなっていったらしい。










月に1回の 婚約者とのお茶会の席で 





王子は



シルヴィーの置かれた状況や ブライ達との関係


そして 「彼女は友人の1人だ」 と話していた。




2人きりになる事は無い、とも話していた。










あの時の 王子の言葉を思い出しながら…





 ……





学園の中庭は 室内とは違う…  違うけど…









2人の様子が 物語っていた。








私には 見せない、アルバレッド王子の表情。




婚約者が見せる、(いと)おしむ様な 甘い表情。




その相手は 友人だと言っていた、男爵令嬢のシルヴィー。














思い出すだけで 奥歯が… 手のひらが… ギリリと鳴る。





情けない、悔しい、悲しい、苦しい、、、、








馬車の中で 止まらない感情を抱え 




身体中に力を込めていた私は








公爵邸に着き 執事のリンデルに出迎えられた途端 安堵(あんど)







 

    (くず)れる様に 意識を失った。








読んでいただけて 嬉しいです‼︎

ありがとうございますすすー(´・ω・`)♡ 

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