表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ブックシェルフ

αとΩの間


僕の性別?妙なことを気にするんだね。ああいや、そうか。君は旧人類なんだっけ。肉体性別という意味なら、僕たちにはそんなものはない、というのが一番正確かな。みんな旧人類のいうところの、男性器と女性器、両方備えているから。だから…そうだね、強いて言えば、α性とΩ性が君の言う性別に近いのかも。

このαとΩはギリシャ文字のそれと取ってもらって構わない。流動的なものだから実際自分がαだとかΩとかっていう人は少なくて、α寄りのμ(ミュー)とかΩ寄りのν(ニュー)とかって言い方をすることの方が多い。まあほぼ真ん中のμやνって人もやっぱり少なくて、θ(シータ)とかπ(パイ)とかくらいにいう人の方が多いかな。

そもそもαとΩが何かっていうと…まああけすけな言い方になってしまうんだけど、相手を孕ませたいのがαで、自分が孕みたいのがΩってことになるかな。えっと、旧人類でいうところの男性、女性にも近いかも。ただ、実際に自然妊娠をするものはあんまりいないかな。子供が欲しいなら人工子宮で育てた方が安全だし負担も少ないし。

そもそも、管理AI(マザー)による計画生産(プロダクト)ベビーの方が多いんだよね。誰それが愛し合った結果生まれた子供じゃなくて、人口調整のために遺伝子プールから優秀な子供が生まれるように計算して受精卵を作られた子供っていうの?遺伝子上の両親を知らない人間の方が多いというか。遺伝上の兄弟も…まあ計画生産ベビーでは考慮しない方が多いかな。異母兄弟、異父兄弟が多くなっちゃうから。

なんならそもそも生殖機能は休眠状態で過ごす人の方が多いんだよね。生殖にエネルギーを使わない分、運動機能やら頭脳やらに使えるでしょ。体調も崩れにくくなるし。更にいえば休眠状態なら性欲も生じないから性犯罪が発生しづらい。

性欲を自制できなくて犯罪を起こす場合、二度目で去勢されるけどね。今時、赤ん坊を製造す(つく)るのに必ずしも生殖器は必要ないし、自制のできない猿を野放しにすると市民の安寧が脅かされるから。セックスって本質的には余分だしね。

旧人類のいう心身の性別の不一致って実際のところ本質的には心の性別の話じゃない場合も結構あったと思うんだよね。ジェンダー…社会性別ってやつ?要は、身体性別を理由に周囲から押し付けられるあるべき姿と自分の嗜好が一致しないって話でしょ。

性嗜好関連のやつもさ…それこそα性とΩ性ってことでしょ。異性愛も同性愛も好みの問題でしょ。胸が大きい方がいいとか背が高い方がいいとかイケメンの方がいいとかと同じで。それを性別として扱うのは旧人類が生殖性別を気軽にスイッチできないからであって。

ドレスが着たい男がいてもそれはドレスが着たいのであって女になりたいとは限らないし、タキシードが着たい女はタキシードが着たい女であって男になりたいとは限らないわけ。ただまあ異性として扱われたいのであればそれは異性になりたいのかもしれない。知らんけど。

まあともかく、僕らにとって性別ってあんまり気にするものじゃないし、意識する機会もあんまりないんだよね。なんならホルモン剤とかフェロモンとか使われれば生殖性は強制スイッチされるわけだし。まあホルモン剤でΩ性を励起しても子宮が問題なく機能するようになるまで大体短くても一週間はかかるんだけどね。フェロモンによるα性の励起は栄養が足りてれば一時間で万全になるけど。その非対称性はほぼほぼ妊娠時の身体負担と比例してるよね。

妊娠って病気じゃないからさ、薬を投与したらよくなります、とはいかないんだよね。出産ないし胎児の摘出以外に根治っていう言い方も変か、まあ元の体調に戻す方法がないわけ。なんなら出産しても暫くは体調崩したままだし。

ああ、胎児の摘出は必ずしも堕胎じゃないよ。今は人工子宮への途中移行が可能だから。簡単な手術ではないんだけど。子宮から摘出した胎児と胎盤を人工子宮に移植して産み月まで育成するって選択肢もあるにはあrつ。あんまり使われないけど。

で、僕の性別だっけ。まあ、うん…Ω寄りのνかな。性欲感じたことないから正直どっち寄りかは自分でもよくわからないんだけど。恋愛感情を抱いたこともないから、性嗜好的な観点で見ても不明という他ないからな…。しいて言えばΩ寄りかな、多分。位の話。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ