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秘密基地は大迷宮〈ダンジョン〉に  作者: カイエ
三章「遭遇」
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#17

「塞がない、というわけには行かないからね」

「「「「!!!!」」」」


 カインの言葉に、皆はゴクリと喉を鳴らす。


 ――ダンジョンを塞ぐ?

 ――ということは、もうこの場所へは来られなくなるということ?

 ――そんなのは嫌だ!


 それが、皆の偽らざる思いだったろう。

 しかし騎士カインが自分たちのために動いてくれていることは、全員が理解している。

 ここに至っては選択肢はなかった。


「分かりました」


 オレはそう言ってケンゴに言う。


「ケンゴ、帰り道は任せた」

「ダイチ……」


 ケンゴは縋るような目でオレを見て……結局「わかった」と言って、目を伏せた。


「こっちです」


 ケンゴはそう言って、皆を促す。

 ひょっとするとわざと違う道を選ぶかもしれないと思って見ていたが、ケンゴはそんなことはしなかった。


(ケンゴは人の親切を無下にしたりはしないからな。……あるいは、何も考えてないだけかもしれないが)


 ちなみにケンゴだけはすでに「Nocturnality(夜目)」を切っている。

 すいすいと危なげなくダンジョンを歩くケンゴを見て、カインは驚いているようだ。


「ケンゴ。この先、蜘蛛3匹、サソリ1匹。あとコウモリが5匹ほど」

「……すごいね。数どころか種類までわかるのかい?」

「カインさんはわからないんですか?」

「気をつければわかるけれど、ボクの場合基本的に行き当たりばったりかな」

「……どんな敵でも出会い頭に倒せるってことですね」

「そのくらいでないと騎士団には入れないさ」


 カインが胸を張るが、オレはカインがはるか前方で索敵が完了していたことを知っている。

 昔から如才ないのだ、この男は。


「では、お手並み拝見」


 カインが言うと、ちょうどモンスターと視線が通る。

 モンスターは相手を選ばない。視線が通れば、すぐに攻撃を仕掛けてくる。


「コータ、カナ、援護頼む。ダイチ、二人を守ってくれ。アリサ、蜘蛛は任せた。オレはサソリを倒す」

「おう!」「任せて」「行くよ!」


 ケンゴとアリサが走り出す。


「Ventus(風よ)!」


 カナの風魔術が、サソリを地面から引き剥がす。が、ひっくり返るまではいかない。


「りゃあっ!」


 ケンゴは宙に浮いたサソリの横っ腹を下から掬い上げる。

 サソリはぐるんと回転して、背中から落ちるが、やられてなるものかとハサミでケンゴを攻撃。


「ホォーーームラン!」


 パキャ、と音がして、蜘蛛が一匹天井にぶち当たり、魔石となって落下する。黄色だ。


「ラッキー、黄色いただき!」


 軽くジャンプしてパシッとそれをつかむアリサ。そのままもう一匹の蜘蛛へ躍りかかり、ゴルフのようなスイング。しかし、もう一匹が苦戦するケンゴへ向かう。


「Ignis(火よ)!」


 コータが蜘蛛とケンゴの間に牽制の火球を打ち込む。ケンゴはそれで蜘蛛の存在に気づき、


「サンキュ!」


 小さく叫んで、サソリのハサミを思い切りぶちのめすと、サソリの片腕がちぎれ飛ぶ。しかし、サソリは強敵だ。決定打にはならない。

 そうこうしているうちに、オレとコータとカナで、飛び回るコウモリを撃ち落としていく。位階の上がったコータやアリサには、傷一つつけられない雑魚ではあるが、視界を奪われるなどのリスクもある。

 本当は「Flamma(炎よ)」を使って一網打尽にしたいが、ここは他の皆に見せ場を作るところだろう。

 バラバラと降り注ぐ魔石の中に、青い光を見つける!


「「Stiria(氷の槍よ)ッ!!」」


 コータとカナの声が重なると一瞬にして魔石が消費され、巨大な槍が二本、空中に浮かぶ。


「おいおいおい……」


 流石にオーバーキルじゃないか?


「「いっけぇーーーーッ!!」」


 二本の槍はサソリの腹を貫く。サラサラと解けていくサソリ。あとには緑色の魔石。見ると、アリサも三匹目の蜘蛛を斃したところ。


 ここまで、攻撃開始から時間にして1分ほど。

 パン、パン、パン、と大げさなほどの拍手とともに、感嘆の声が上がる。


「すごいね、キミたち!見事な連携プレイだ!」


 カインが心底驚いたという顔で、


「正直、まだまだ侮っていたと言わざるをえないね! 子供とは思えない! それどころか大人だって、駆け出しの冒険者チーム程度じゃなかなかこうは行かないだろう!」

「そ、それって、俺たちが強いってこと、ですか?」

「強いさ!」


 カインは心の底から関心しているのだろう、興奮した様子で賞賛する。


「これは将来が楽しみだ! その年で中堅どころの冒険者に手が届きそうだよ! 索敵の正確さも、補助の的確さも、攻撃力、スピード、どれをとっても申し分ない!」

「あ、ありがとうございます!」


 褒められなれていないのか、皆顔が紅潮している。

 まぁ、実際これだけ戦える子供は、なかなか居ないだろう。


「これは、私も格好悪いところは見せられないね」


 カインは得意げな顔で


「では、次にモンスターと遭遇したら、私に任せてもらおう」


 そう言ってウィンクした。

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