表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秘密基地は大迷宮〈ダンジョン〉に  作者: カイエ
三章「遭遇」
PR
41/64

#14

「ダイチ! 相手は格上だ! 殺すくらいのつもりで本気で行け!」


 オレが声をかけるとダイチは「ヒュッ」と変な息を吐き、カインは「怖いな」と言って笑う。


「でも、そこの彼の言うとおりだ。私は無手でいい。モンスターを倒すつもりで、本気でかかってくるといい」


 そう言って、構えることもなく、ただ「突っ立って」ダイチに笑いかけるカイン。

 ふふふ、カインめ、度肝抜かれるなよ?


「あの、本当に大丈夫ですか? 一応防御用に剣を構えるとか……」

「残念ながら、守るべき対象であるキミに対して、抜く剣は持っていない。それよりもケンゴくん。手を抜かずに本気で来るんだ」

「いいんですね?」

「ああ。万一私がやられたとしても治癒魔術がある。どのみち心配はいらない」


 いたずらっぽいウィンク。


「……分かりました」


 ダイチが木刀を正眼に構える。

 シン、と空気が変わるのを感じ取ってか、カインが「おっ」と小さい声を上げる。

 ケンゴは何度か木刀を軽く動かし、カインを睨み……「ヒュッ」と息を吐いて、右足で地面を蹴り……、ピタ、と止まった。


「どうした?」


 カインが不思議そうに首をかしげる。

 ケンゴはフッと肩の力を抜いて、剣先を下ろす。


「駄目だわ、これ」

「ん? 駄目? 駄目とは?」

「カインさん、突っ立ってるだけなのに、スキがなさすぎ。どこに打ち込んでもやり返されるしかないのがわかる」

「……光栄だね。でも、もし私がモンスターだったとしたらどうする?」

「……打ち込みます」

「じゃあ、かかってきなさい。私は「モンスターを倒すつもりでかかってこい」と言ったはずだ」


 それとも、怖くてできないか?と挑発するようにカインが手をクイと動かす。


「……分かりました」


 そう言って、ケンゴがもう一度木刀を構える。

 ピン、と空気が張り詰める。


「――ほう」


 カインが関心した表情を見せた。


「……行きます」

「キミは、モンスターにもいちいち断りを入れて斬りかかるのかい?」


 カインの挑発を無視して、ケンゴは冷静に相手を見据える。


「……スーーーー…」


 ケンゴの緊張が高まるのがわかる。

 対して、カインは相変わらず突っ立っているだけ。


「ダイチ……アレって本当にスキがないの? あたしにはただ単に突っ立ってるだけに見えるんだけど……」

「突っ立ってるだけだからな」

「ケンゴは『スキがない』って言ってたけど」

「カイン……あの騎士は、完全にスキだらけの状態からでも、いきなりの攻撃に余裕を持って応戦できるだけの実力がある。ケンゴはそれを感じ取っているんだろう」

「……あたしじゃわからない領域の話なのね」


 アリサがため息を付く。

 そんなことを話していると、


「ッリャァアアアアアアアアアアッッッッッッッツ!!!」


 ケンゴが気合を入れ、右足から爆発的な加速を産み、


「ンッ面ェエエエエエエエーーーーーーン!!!!」


 鍛え上げた体に、毎日欠かさず振り続けた竹刀の切れ味。

 加えて、それなりのモンスターを斃して手に入れた位階による力。


「おっ?!」


 驚いたように目を見開くカインに、木刀が振り降ろされる!

 それは地球であれば、よほどの剣の達人でもなければ避けようもない鋭い剣閃。


 しかして。


(まぁ相手は王国騎士だしな)


 木刀の切っ先がカインの額を捉えたと見えたが、その瞬間カインの姿が掻き消え、


「ちょっ……!? 子供だと思って侮ったな……! 驚いたよ」


 焦り混じりの苦笑で、カインがケンゴの後ろから、木刀をつかんでいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ