#9
「面んっ!」
「ホームランッ!」
一応「鎧男」のことが頭にあるのだろう、ケンゴとアリサは少し声を抑えつつ、敵を倒す。
大量のツノコウモリと、蜘蛛を数種類。
どれも危なげなく斃していく。
ぼくもシャベルで蜘蛛を叩き潰しながら、魔術組を援護。
「「Ignis!(火よ)!」」
コータとカナちゃんが火の魔術でコウモリを焼く。
カナちゃんの火魔術は、コータよりも威力が小さい分、同時に三つ発動させることができる。
撃ち漏らしたモンスターを、ケンゴとアリサが気負いなく倒す。
二十匹以上居たモンスターは、ものの数分で十五個の魔石に変わった。
減った分は、コータとカナちゃんが戦いながら消費した分だ。
「まだ『魔石戦』と言えるレベルじゃないけどね」
カナちゃんがそう言ってはにかむ。
なんでも、大人ダイチがたまに見せてくれる「魔石戦」……モンスターを斃しながら、生まれる魔石を利用しながら次の魔術攻撃につなげる戦闘法に強い憧れがあるらしい。
確かに、バラバラと魔石が降り注ぐ中、次々と新しい魔術を繰り出す姿は、傍から見るとカッコイイのかもしれないね。
ぼくは自分じゃ見られないけどね!
「あっ、黄色発見!」
アリサが黄色の魔石を拾い上げる。
「マジ?」
「え、もう? 幸先いいね!」
「どうする? まだ1時間ほどしか経ってないけど」
「う、うーん……まだ戦い足りない気も……」
うん、ぼくもちょっと物足りない。
「駄目だよ」
と、コータが言う。
「こういうのは最初に決めたルールをちゃんと守らないと、ズルズルいい加減になっちゃう」
「ま、そうだよな。コータの言う通りだと思うぜ」
まだ戦いたいらしいケンゴだけど、コータの言葉に賛同する。
コータに対する信頼感もそうだけど、なかなかリーダーっぽいと思う。
「まぁ帰りにもモンスターは現れるだろうし、今日のところはここまでにしとくか」
「だね」
「帰るか」
そう言って、ケンゴは周りを見回した。
そして、ちょっと首を傾げる。
「どうしたの?」
コータが怪訝そうに尋ねるも、
「うーん」
ケンゴは困ったような顔のまま、周りを見回すばかりだ。
「ちょっと、ケンゴどうしたのよ」
「いや、ちょっとな」
……あ。ひょっとして。
「ケンゴ、もしかして、蛍光石が見えないんじゃない?」
ぼくが気づいて言うと、ケンゴは「そう!」といって、指をパチンと鳴らした。
いや、パチンじゃねぇだろ。
「え、どういうこと?!」
コータが慌てて詰め寄る。
「いやー、それがさ……まいったね」
ケンゴは頭を掻きながら困ったように笑った。
「「Nocturnality(夜目)」使ってると、蛍光石、うっすら過ぎて読めねぇわ」
「と、いうことは……?」
「帰り道、わかんねぇわ」




