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秘密基地は大迷宮〈ダンジョン〉に  作者: カイエ
プロローグ
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プロローグ

「コータ! そっち! そっち行った!」

「わ、わ、わ!? え、えい!」

「ヘッタクソね! こう、やんの、よ!」


 今日は水曜日。恒例のモンスター狩りの日だ。

 魔石を使えば自分たちも『魔法』を使えるらしいと知ったぼくたちは、こうして週に一度ダンジョンに潜ることにした。

 始めはなかなか見つからなかったモンスターも、探索を続けるうちに遭遇率が上がってきた。

 

 ちなみに、今は角の生えたコウモリと戦っている。


 今のところ、一番モンスターを倒しているのがケンゴ、次にアリサ、ぼく、コータと続いて、ビリはカナちゃんだ。

 

 カナちゃんは魔石のためとはいえ、モンスターを「殺す」という行為に、抵抗があるんだそうだ。

 みんなが言うところの「大人(おとな)ダイチ」が言うには、モンスターは生き物ではなく、魔法で作られた疑似生命体らしい。

 だから殺すことを嫌悪する必要はないとのことだけど、ゲームのキャラクターにだって感情移入することはある。

 生き物じゃないといっても、見た目は動物(凶悪だけど)なので、そう簡単に割り切れるものでもない。


 アリサの持つ金属バットが、コウモリを粉砕した。

 ギャッと悲鳴が上がって壁に激突して、すぐに溶け始めるコウモリ。哀れ。

 カツン、と床に転がる魔石。色は赤だ。


「やった! これであと1匹でケンゴに追いつく」


 アリサが飛び跳ねて喜ぶ。

 後ろで、カナちゃんがちょっと困ったような顔をしている。可愛い。


「雑魚は良いんだよ、オレは大物狙いだから」


 ケンゴがそう言って、魔石を拾い上げる。


「あら、負け惜しみ?」

「うるせーな。それでもまだオレのほうが勝ってるんだからな。偉そうにすんなっての」


 そう言って、魔石を袋にしまう。


「うー」


 悔しそうに唸っているのはコータだ。

 手に持つ武器は、鉄パイプである。

 コータは運動神経があまり良くない。それに、弱い敵でもビビってしまい、動作がワンテンポ遅れるのだ。

 そのため、今のところ勝ち星は1。カナちゃんのゼロと大差ない。

 カナちゃんは、護身用だといって、包丁を持ち歩いているけれど、今のところ出番はない。


 ちなみに、ぼくの勝ち星はいまのところ3つだけ。

 武器はシャベルだ。

 勝ち星が少ないのは、思い切りのないぼくの性格では、ノリノリでモンスターを狩りまくるケンゴ・アリサ組にはどうしても遅れを取ってしまうからだ。

 途中までいい感じで戦えていても、殺すのが怖くて、ついトドメを周りに譲ってしまう。

 ケンゴとアリサは、それぞれ10匹以上倒している。ジェノサイドだ。


「そろそろ戻ろうか」


 ケンゴが言う。

 

「もう2時間くらいやってるだろ。疲れて動けなくなってからジャイアントナンタラとかと出会ったらまずいしな」

「そうね」

「賛成」


 ちなみに、ダンジョンから出ると、入った時から時間がほとんど過ぎてないので、体力が持つなら一晩中でも大丈夫なんだけど。


 さて――そろそろ元の世界に戻るとしよう。

 運動してお腹がぺこぺこだ。


 今日の晩ごはんはなんだろう?

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