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世界は俺だけのものじゃない

  城の屋上から自分だけの楽園を見渡し俺は呟く。


「ふぅ…。この国も様になってきたな」


  別に生まれつき王族だったわけではない。いわゆる「転生」を経て俺はこの世界に辿り着いた。クソみたいな人生を終わらせた俺が魂の状態として漂ってるいると女神様とやらの声が頭の内に…いや魂の内に響いてきたのだ。曰く、


「貴方のような捻くれた悪霊が最近増えてて…。これ以上増えても処理に困りますから…」


  とのこと。もうちょっとオブラートに包めや。魂を浄化するためには不満を取り除く必要があるらしい。そのためのガス抜きとして自分好みの一国を別世界に建国させてくれるそうだ。「転生」の理由がしょうもない気もしたが、こんな幸運に飛びつかない理由もない。大まかな設定を決め、俺はこの世界へとやって来た。


「今日もみんな元気にやってるな…」

 

 設定、と言っても決めたものは単純だ。自分を取り巻く人々の容姿、好感度。思う存分好き放題にやらせていただいた。


  町を往来するのは全員がどこか幼い印象を持つ可愛い者達ばかり。ふふふ…。ここまで俺の思い通りにいくとはな…。


  物思いに耽っていると眠そうな顔をした一際幼さを感じさせる子が背後の階段を上がって来た。遅れてつり目のキツそうな印象を持たせる子もやって来る。


「おうさま〜。もう会議始まるよ〜」


「ああ、悪い悪い。」


  このほわほわした印象を持たせる子はサラ。こう見えても俺の右腕だ。統治に関する様々な指南を行ってくれる。これまで何度も助けてくれた頼れる奴だ。そしてその隣が、


「もう!またサボる気!?革命起こして私が王様になっちゃうよ!」


「はは…。お手柔らかに頼むよ、ムゥ」


  こいつがムゥ。性格は一見キツそうだが、何だかんだ素直で可愛い奴だ。腕っぷしがとても強く、本当に革命でも起こされたら俺は為すすべなくボコボコにされるだろう。


「ごめんな」

 

 ムゥの頭の上にポンと手を置き謝罪すると彼の顔がみるみる紅く染まっていく。


「ちょ、調子のんな変態!もう!許してあげるのはこれっきりなんだからね!」


  このやり取りも何回目だろうな…。ムゥが乗せられた手を払うためにブンブンと頭を振るたびに、伸ばしたロングヘアが風を起こし、柑橘系の香りが辺りに振りまかれる。


「はいは〜い。ラブラブアピールはそこまで〜。今日は周辺地理の調査報告会をするよ〜」


「な、何がラブラブアピールよ!」


  元の世界では安らぎなんて感じられたものではなかった。この世界こそが俺の楽園だ。しっかり守っていかねば。俺は決意を新たにする。


「さて…じゃあ行くか」


「れっつご〜」


「あっ…待ちなさいよ!」


  ムゥはまだ顔を紅くしたままだ。ひょこひょことおかしな歩調で俺たちの後に続く。見れば股間がスカートの上からでも分かるほど盛り上がっている。






 …俺はこの国を守る。この「男の娘王国」を!











「どうだ?何か見つかったか?」


「はい、それが…」


  報告会に参加した俺は気楽な気分でいた。基本的に今までの会議では、いい知らせしか聞いたことがなかったからだ。しかし調査隊の顔は曇り気味だ。何か悪いことでもあったのだろうか?


「どうしたの?顔色が悪いよ?」


「…私達以外の新たな国を発見しました」


「…!?な、なんだって!?」


  ば、馬鹿な!前回までの調査では俺たち以外の国どころか人間すら発見できなかったのに!どういうことだ?まるで天から降ってきたかのように…。


「…まさか俺以外の転生者が!?」


「そのまさかだぜ!」


  会議室の扉が大きな音と共に開かれる。そこには一人の全く可愛さのカケラも持たない普通の男が突っ立っていた。そうだ前の世界ではこういう奴に世界が埋め尽くされていて…ってそれどころじゃない!こいつ一体何者だ!


「その調査隊とやらについて行かせてもらったぜ。俺がてめぇらが発見した国の王だ。見たところ事情は同じようだなぁ?王様よぉ〜」


  なんて粗野な喋り方だ。少しは俺の王国民を見習いやがれ。…面倒なことになった。口調からして相手は明らかにこちらに悪意を持っている。攻めてくるなんて馬鹿なこと言いださなければいいが…。


「攻めさせてもらうぜぇ。この国」


「な、何故だ!俺たちはお前の国に極力干渉しないことを約束する!」


  無用な争いなど出来るものか!皆が傷つく姿は見たくないし、俺だって痛い思いはしたくない!


「…主義思想が相容れねーんだよ」


「俺は平和主義だ!決してそちらの王国の不利益になるようなことは…!」


「俺の王国の名前は…「TS国」だ」


「…」


「…」


「「戦争だ」」









 


  それから俺の異世界生活は一変した。「TS国」だけではなく様々な王国がこの世界に乱立するようになったのだ。「ふたなり連合国」の陰謀、「女装共和国」との共闘、そして裏切り。全ての国家の仲を取り持とうとする「メスショタ民主国」の尽力と崩壊。


  そして全てを破壊する「結局のところ全部ホモでは帝国」。


 この物語の結末は…いずれ記すこととしよう。

 

俺はts派。何でもしますので誰か続き書いて下さい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 自分も続きが読みたいです。 是非お願いします。
2018/10/27 05:17 退会済み
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