プロローグ
すみません。初投稿なのでちゃんと出来ているか分かりません。
生暖かい目線で見守ってくれればと思います。
「ふおぉ~。凄い景色!!」
私は今、目の前いっぱいに広がる大自然に目を奪われていた。鬱蒼と広がる大森林、緑の匂いに吹き付ける風、まるで現実のようなリアリティに私は年甲斐も無くはしゃいでいた。
「これがゲームの世界なんてちょっと信じられないなぁ……」
そう、ここは先日発売されたVRゲーム『THE SPREAD WORLD』の世界だ。美しい世界観と自由度、そして独自性のあるシステムで話題になった作品だ。連日ニュースなどで紹介されていたが、あまりゲームに興味の無い私はそんなのがあるのか、ぐらいに思っていた。そんな私がこのゲームを始めたのは、単に友達が誘ってくれたからだ。大学入試も早々に推薦で決めた私達は、未だ受験モードにある他の友人を誘って遊ぶのも気が引けたので、随分退屈にしていたのだ。
友人の誘いに二つ返事で返した私は、早速発売日にこのゲームを購入し、この世界に降り立ったわけだ。
「実はあんまり期待してなかったんだけどなぁ……。期待以上にもほどがあるよ」
正直な所、これだけの壮大な眺めを見ることができただけでも、このゲームを買って良かったと思えるぐらいだ。しかし、折角買ったのだから、骨の髄まで楽しみたいと思う。私は球体状の身体をぴょんぴょんと跳ねさせて身体を反転させ、後ろにあった洞窟へと歩みを進めた。
そう、球体状。私は今人間の姿をしていない。そして、それこそが『THE SPREAD WORLD』の一番の特徴だった。
『THE SPREAD WORLD』では、人間という種族はNPCでしか存在しない。プレイヤーは全て『創造主』という魔物になる。そして、自分だけのダンジョンを持ち、配下を従え、自身の領土を広げていくのだ。
領土を広げるにはDPと呼ばれるポイントを使って誰も支配してない土地を取得するか、その領土を支配する魔物を倒すことでその領地の支配権を全て取得することが出来る。
その為、プレイヤーとプレイヤーが顔を合わせると相手の領地を求めて戦いになることが多い。ただし、このプレイヤーとの戦いは設定である程度避けることができる。例えば、『再戦禁止』『一定以上の戦力さを持つ相手は近づけない』などの設定が出来る。私はこの世界をじっくり見て回りたいので、戦闘は出来るだけ避ける設定にしてある。
では、プレイヤーとの戦闘をしないとなると他に何が出来るのか。心配はご無用である。この世界は非常に大きくまた、NPCが運営している町や国なども沢山ある。別に自分のダンジョンを無視して世界を回っても十分色々と楽しめるのである。
ただし、ダンジョンの外には野生の魔物や冒険者と呼ばれる魔物を狩ることを生業にしている人間、また他のプレイヤーがうろついているので注意が必要である。
暫くの間、多少の敵は倒せるようになるまでは、ダンジョン内で強化を行うのが賢明だろう。
そういうわけで私ことオリジン・スライム・セレナディーネは自身のダンジョンである洞窟へと足(?)を進めた。