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スケルトンの冒険者 異世界生活記 ~人化の術で冒険者やってます~  作者: 肉巻きおにぎり
1章 スケルトンとゴブリン
7/60

6 スカルウォーカーの力と新たなる武器

7/10 誤字修正&加筆修正。 エンチャントの説明を一部変更

 自分の体の一部分。

 主に眼に対する突っ込みが追いつかなくなりそうなので、他にも気になってることを調べてみようと思う。

 そう。

 スキルやステータスだ。

 恐らく、上位種族なら何らかのスキルが増えているのではと、期待しているんだが実際どうだ?


 ステータスオープン。



[種族] スカルウォーカー

[状態]  通常

[ランク]  D

[Lv]   1/20

[HP]   70/70

[MP]   45/45

[攻撃]   43

[防御]   53

[魔法攻撃] 26

[魔法防御] 26

[素早さ]  51

[所持スキル] 

 剣術Lv1 短剣術Lv1 忍び足 生命探知

 夜目 投擲Lv1 毒無効 ステータス閲覧



 Lvは1にも戻ってるからまた上げ直しか。

 だがステータスは、スケルトンの時に比べて伸びているし、スキルも思ったより増えている。

 Lv1でこの能力って事はかなり強いのではいなだろうか?


 ふむ。

 新たに獲得したスキルについても、少し考えてみるか。

 短剣術は、剣術を使ってたからもう効果が分かる。

 

 他には忍び足、生命探知、投擲か。

 

 忍び足か。恐らくこれは敵に気づかれずに移動できるとかかな?

 

 生命探知は……これどうやんだろ……?

 集中して気配を探ってみるとか?


 ……ああ。これか。

 成程。

 なんとなくだけど、このスキルの能力が分かったぞ。

 こいつは発動させると、脳内にレーダーの様な物が表示される。

 一定の範囲を探知する事が可能で、何か反応があると赤く光る丸で表示されているようだ。

 スキルの名前から考えると、何かの生き物かな?

 反応によると、この先の場所にちょうど4匹の生き物が居るようだが……。

 これは、またゴブリンでもいるのかな?


 探知距離の把握も出来てないし、これは後に検証だな。


 しかしこれなんだか無性に疲れるな……。

 進化した後だからってよは、このスキルを使ったのが原因みたいだが、ひょっとして俺のMPを消費してるのか?

 


[種族] スカルウォーカー

[状態]  通常

[ランク]  D

[Lv]   1/20

[HP]   70/70

[MP]   40/45

[攻撃]   43

[防御]   53

[魔法攻撃] 26

[魔法防御] 26

[素早さ]  51

[所持スキル] 

 剣術Lv1 短剣術Lv1 忍び足 生命探知

 夜目 投擲Lv1 毒無効 ステータス閲覧

 


 ビンゴか。

 MPが5減っている。

 思ったよりも食うな。

 常時発動してるとすぐにMPが枯渇してしまうだろう。

 使い所を考えないといけないか……。

 しかし便利なスキルには変わりない。

 使う頻度等は、追々決めていけばいいか。

 


 そして残る新スキルは投擲……か。

 これも名前でどんな物かが分かるな。

 投げナイフとか石礫等を使う時の命中率と威力の補正が行われるスキルだろう。

 しかし、これは地味に強力なスキルだと思うんだよな。

 そもそも人間、戦闘中とっさに狙って物を投げ当てるのってのは、かなり難しい。

 というか無理だ。常識的には。

 前に一度、ホブゴブリンから逃げる時にショートソードを投げたが、あれがまっすぐ飛んだのは偶然にすぎない。

 だがこれが、狙って出来るのなら、投げナイフによる攻撃という手札が使えるようになる。

 今までの俺には遠距離攻撃なんてなかったしかなりありがたい。これで戦術の幅も広がるしなにより正面から戦うリスクも減る。



 新スキルに対しての考察はこんな所か。

 次は仮説があっているのか、実践で確認してみようか。


 ちょうど、さっきの生命探知によりこの先に魔物がいるというのが分かっている。

 ならば、こいつらに、実験体になってもらおう。



 そして奥に続く通路を進み続けて、たどり着いたのは生命探知に反応があったあの部屋だ。

 この部屋はやや広い空間で、中にいた魔物は、やはり複数のゴブリンだった。

 部屋の中には大小様々な木箱が有り、見晴らしが非情に悪い。

 雰囲気的に考えると、元は倉庫とかだろうか……?


 そしてそんな無数にある木箱の幾つかに、ゴブリン達は座っている。


 全部で4匹か。

 少し、数が多いな。

 どうやらこの部屋には、1人の人間の死体があるようで、この部屋のゴブリン達は、その死体を貪ってる最中のようだ。

 なんで1人だけこんな離れた場所に?

 俺が目覚めた場所に転がってた死体達の関係者では無いのだろうか?

 それか一人だけ逃げて、ここで力尽きたか……。

 まぉ、死体の出所なんか今はどうでもいいか。


 俺は改めてゴブリン達を観察する。

 死体から引き千切られた手足を、それぞれ少し離れた場所に座ったゴブリン達が、ゴリゴリと骨を噛み砕く音を響かせながら咀嚼している。


 固まって食事をしていないのは、ゴブリンなりの、警戒のつもりだろうか?

 比較的真面に集団行動してるのをみると、恐らくリーダーのゴブリンがいるな。

 見る限りでは上位個体は存在せず、全員ノーマルゴブリンだが。


 しかし、まるでB級ホラー映画みたいな光景だな。

 食われてるアレは、作り物ではなく本物の人間だが。

 死体とはいえ、人が魔物に食われてるのを直に見るのは、やはり気分が悪い。

 生身でこんな物を見たのなら、絶対に吐いてる。


 ふー……。落ち着け。

 死体より今はゴブリンの処理が先だ。


 そう自分に言い聞かせ、俺は改めてゴブリン達を観察する。

 どうやら俺の存在には、まだ気付いてないようだ。

 グギャグギャ何かを話しながら、食事を続けている。


 それを確認すると、俺は改めてゴブリン達を観察。

 どうやらゴブリン達は少しは知恵があるタイプのようで、武器に弓をもってる奴が1匹。

 残りは棍棒を持ってるのが2匹と、ククリナイフを持ってるやつが1匹存在している。

 弓持ちは初めてだな。

 だがあんまり状態はよくなさそうだ。ん? あのククリは鉄製か?

 ひょっとしたら、本来は今食われてるあの人間の持ち物だったのかもしれないな。

 ゴブリン達が殺して装備を奪ったのか。

 奴らが戦利品を漁ると仮定すると、揉めずに分配されとはとても思えない。

 恐らく一番いい物をリーダーが取るだろう。

 ならば、あのククリ持ちがこの集団のリーダーだろうか?

 食っている肉が一番デカいのを見ても、その可能性が高いかもしれないな。



 食事に夢中の今なら、不意打ちで数を減らせるかもしれない。

 距離や、この部屋の地形を見て考えると、見つからずに全員ってのは流石に難しそうだ。

 出来て入り口に一番近い木箱に乗ってるあの弓持ち1匹だろうか。

 

 スカルウォーカーは暗殺や奇襲との相性がいいスキル構成だ。

 一匹でも奇襲で数が減れば、混乱している間に一気に勝負を決められるかもしれない。

 それにもし真っ向から戦闘になっても、進化前ですら正面から戦えたのだ。

 進化した今なら、見つかったとしても特に問題なく戦えるはずだと思いたい。

 要するに今の自分のスキル性能を試すには、もってこいのシチュエーションというわけだ。

 チュートリアルが無いんなら自分でやるしかないからな。



 俺は前方にいるゴブリン達に向かって、身を屈めて早足で接近する。

 不思議な事に、音を立てないようにと意識はしてるが、本当にまったく足音がしなかった。

 これが忍び足のスキルか?

 どうやらこれは、常時発動型のパッシブタイプのようだな。

 随分使えそうなスキルじゃないか。

 流石斥候職のスカルウォーカーだ。


 忍び足スキルのお蔭で、簡単に弓持ちの座っている木箱まで接近する事が出来た。

 俺は背後に立つと、そのゴブリンの心臓に狙いを定める。

 素早くナイフを構え、背後から狙い澄まして一突き。心臓へナイフの刃を突き刺した。

 短剣術の補正なのか、ブレる事もなく、ゴブリンの心臓へすんなり刃が通る感触がする。


「ギィァ…!?」


 苦しそうに僅かに呻いて、弓持ちのゴブリンが息絶える。


【経験値を12獲得しました】


 ゴブリンが息絶えたことにより、いつものアナウンスが経験値の獲得をしらせてくれる。


 しかし、遠距離持ちのゴブリンが一番近くに居て、ある意味助かったな。

 命中精度がどの程度かはわからないが、戦ってる時に遠距離からの攻撃が加われば、かなり鬱陶しかった事だろう。


 仲間が突然苦しみの声を上げた為か、他の3匹がこちらの方に視線を向けた。

 どうやら何か違和感に気付いたようだな。

 

 ……行くか。


 俺は次の獲物を見定め、ナイフを引き抜き回収すると木箱の裏から飛び出し、全速力でゴブリン達へと駆ける。


 ゴブリン達は、そこで初めて俺の存在に気づいたのか、慌てた様子でそれぞれの武器を手にし俺を迎え撃とうとする。


 だが、遅いな。


 俺は腰に吊るした皮袋から、左手でナイフを1本掴み、一番近くの棍棒持ちゴブリン目掛けて投擲を放つ。

 投げられたナイフは、まっすぐに飛び、ゴブリンの右肩に見事命中する。

 ナイフが突き刺さったゴブリンは悲鳴を上げ、たまらず手にしていた棍棒を取り落とした。


 傷を負っているゴブリンへ走って接近し、左手で頭の角を掴むとそのまま勢いを乗せて押し倒す。

 後頭部を地面に打ち付けて、呻くゴブリンの首を目掛けもう片方の手でもったナイフで水平に切り裂いた。


「グ、グガァ!?」


 首を掻き切られたゴブリンが血を撒き散らし、苦しそうにもがいていたが、すぐに動かなくなった。


【経験値を16獲得しました】


 残りは2匹。


 一瞬で仲間がやられた事によって、リーダー格のククリ持ちゴブリンが慎重になったようだ。

 ククリ持ちが喧しく声を張り上げて、もう1匹の棍棒持ちに呼びかけている。

 それを聞くと、突撃しようとしていた棍棒持ちゴブリンが構えを変えて、油断なく俺を睨みながら立ち止まる。


 ふむ。統率がとれてるな。

 やはりククリ持ちが指示を出してると見て間違いないか。


 俺もゴブリン達に合わせて、足を止めると、奴らの出方を伺う。

 俺が止まったのを確認すると、ゴブリン達は左右に分かれ俺を中心に挟み込むように武器を構えた。



 不用意な突撃はやめて同時に攻撃する気か?

 ノーマルゴブリンにしては、なかなかな悪くないじゃないか。


 俺は足元で死んでいるゴブリンの、その肩に刺さったままのナイフを回収すると、両手のナイフを左右の2匹に向かってそれぞれ投げる。


 慌てて地面を転がるように、飛んできたナイフを回避したゴブリン達へ、皮袋から更にナイフを2つ取り出し両手に構え走る。

 狙うは棍棒持ちの方だっ!


 俺が近づいてきて慌てて起き上がり武器を振るおうとするが……

 俺は投擲ではなく、そのまま首を狙い切り付ける。

 

「グッ……ガァ……ッ!」


 元々が軽いナイフなのもあるが自分でも驚くほど早く振る事が出来る。

 短剣術の補正はしっかり乗ってるようだな。

 

 俺は棍棒持ちに切りつけたまま、その足を止めずに奴の体を蹴りつける事により、急ぎ背後へと方向転換する為に飛ぶ。

 逆に蹴りつけられたゴブリンは、血反吐を吐き苦しそうに呻いて地面を転がっている。

 まだ生きてはいるようだが、既に喉の傷は致命傷だ。時期に死ぬので放置。


 我ながら少し無茶な機動だと思ったが、このウォーカーの体は問題なく実行できた。

 これが上位種の力か。ノーマルとはまるで違う。


 

 着地と同時に足を止めることなく、ククリ持ちの方へ走り、ナイフを構える。


 こちらの迎撃ほしようと、雄叫びをあげダガーを闇雲に振り回してくるが、冷静に回避し武器を持っている右腕にナイフを深々と突き刺す。


 「グギャァァッ!」


 悲鳴を上げて武器を取り落すゴブリン。

 俺は止めとばかりに、奴が落としたククリを拾い、素早く喉を切り裂いた。


【経験値を23獲得しました】


 首を深々と切り裂かれたゴブリンは、どさりと地に倒れ、息絶えた。


【経験値を17獲得しました】

【獲得経験値が一定値に達しました。Lvが2に上りました】


 脳内に響く例の声。

 どうやら、棍棒持ちの方も絶命したらしいな。

 俺は辺りを警戒するため、落ち着いて生命探知を一度発動するも、特に反応は無かった。


 片付いたか。どうやら増援も無いようだ。

 時間にして5分弱位かな。

 思ったよりもずっと早く、勝負がついたな。

 

 自分の体を確認してみるが、特に被害は受けていない。

 動いてみて、改めて思ったのは、驚くほど体が軽い事だろうか。

 走る速度がノーマルスケルトンの時に比べ倍近い。

 更に力も前より上がってるようだ。

 まぁ力の強さは、流石に分岐進化先のウォーリアーよりは劣るのだろうが……。

 それでもこの結果を見る限りでは十分過ぎるだろう。


 そしてスキルを使ってみた感想だが。

 強いな。

 特に投擲と短刀術は非常に助かる。

 どちらのスキルも、この体と非常に相性がいい。

 奇襲にしろ正面からの戦闘にしろ、今までより格段に選択肢が増えた。

 しかも投擲したナイフは折れたりしない限りは回収も可能だ。

 遠距離武器にもなるし、また短剣術のおかげで近距離でも戦っていける。

 まぁこのナイフだけでは、あのホブゴブリンには勝てないと思うけどな。

 また叩き折られてピンチになるのが見えている。



 しかし、ゴブリンが奪って使っていたこのククリ。

 こいつはなかなか状態が良い物の様だ。

 どれどれ……。


 俺は落ちているククリを掴むと、軽く振ってみる。

 うん。

 見かけよりも軽いし切れ味も鋭そうだ。

 なにより錆びていない鉄は、この遺跡ではかなりの貴重品だ。

 よく見ると、このククリの柄には緑の宝石が嵌め込まれているのが分かった。

 これってエメラルドか何かか?

 元は、結構高級品だったりするのだろうか? 

 まぁ、失ってしまった俺のショートソードの代わりとして十分過ぎる武器だろう。

 戦利品として、ありがたく頂戴する事にする。


 ちにみに弓の方は、俺には扱えなかった。

 試に撃ってみたのだが、明後日の方へ矢が飛んで行ってしまったのだ。

 残念ながら弓は投擲術の対象外のようだ……。



 そうだ。

 新しい武器を手に入れた事が嬉しくて忘れるていた。

 先ほどの戦闘でレベルが上がったのだ。

 ステータスの上り具合もチェックしとかないとな。


 ステータスオープン。



 

[種族] スカルウォーカー

[状態]  通常

[ランク]  D

[Lv]   2/20

[HP]   75/75

[MP]   45/48

[攻撃]   46

[防御]   54

[魔法攻撃] 28

[魔法防御] 29

[素早さ]  56

[所持スキル] 

 剣術Lv1 短剣術Lv1 忍び足 生命探知 

 夜目 投擲Lv1 毒無効 ステータス閲覧

[付与スキル]

 エンチャント風



 4匹倒してLv2か。

 上位種はレベルアップに必要な経験値が多いと思ったんだが進化したばかりは必要経験値が少ないのかな。

 

 ……んっ!?


 いや待て。なんだこれは?

 

 付与スキルだと?


 一体いつ入手したスキルだ?

 戦闘前に確認した時は、確かに無かったはずだが……。


 もしやさっきのレベルアップで獲得した物だろうか?

 だがそれにしては、通常スキルとは別に分けられてるのが気になるし頭に響く例の声も、何も言っていなかったはずだ。

 他に戦闘前と違うところは……。


 そして思い当たるのが、先ほど手にしたこのククリ。


 改めて奪ったククリを見てみる。

 刃にこれといって特徴はなさそうだ。

 鉄で出来た刃は、無骨ながらも鈍い光を放っている。

 そういえば柄の部分に、小さいが緑の宝石が填められてたな。


 その宝石はエメラルドグリーンの小さな宝石だ。

 しかしよく見ると中央に小さな何かが渦を巻いてるように見える。


 この宝石のような物って、ひょっとすると魔石……という物なんじゃないか?


 じゃあこのククリって……魔法の剣か?


 だが、それだと疑問が残る。

 あのゴブリンがこのククリで切りかかってきた時は、特に危険とは思えなかったが。

 確かに鋭い鉄の刃は、木の棍棒なんかよりも脅威に感じるだろうが、魔法的なものは特に感じなかったはずだ。


 ……もしやステータス閲覧などのスキルと同じか?

 このスキルは使用するのに何か条件があるとか?


 ステータス閲覧の時は念じてみたんだったか。 

 試してみるか。



(エンチャント!)



 どうだ……?


 ……お?

 何かに力が吸われるような感覚が……。


 握っているククリを確認すると柄の宝石が淡く輝いていた。

 やがて、ククリの刀身にうっすらと風が纏わりつくのが見えた。


 なるほど……これがエンチャントか。


 あのゴブリンは、どうやらこのククリの使い方を知らなかったらしい。

 そもそも魔法を発動させられる知恵があったのかすら謎だが。


 俺は試し切りとして近くに落ちていた石に刃を当ててみる。

 特に抵抗を感じず風を纏った刃はその石を切断してみせた。


 す、すげぇ……。

 めっちゃファンタジーっぽいっ!

 

 これずっと発動してれば怖いもの無しじゃね?



 あまりの威力につい興奮してそんな事を思ってたんだが……。

 宝石の輝きが徐々に失われて、ククリの纏っていた風が消失した。



 ……あれ? もう終わり?


 どうやら効果時間が非常に短いようだ。


 体感だが時間にして15秒くらいか。


 風の刃が消失した後に、この体を突如疲労感のようなものが襲った。


 ん? なんだ、これ?


 突然の眩暈に思わず片膝をついてしまう。

 動けないほどではないが、生前の感覚でいうと、思いっ切り坂道を走った後とかに近いだろうか?

 肺があれば過呼吸になってそうだな……。


 だが理由は分かる。

 感覚的に生命探知を使った時に似ている。

 エンチャントを発動した時に、かなりの量のMPを吸われる感覚がした。

 恐らくこれは、魔力を急激に吸われた事による反動だろう。

 俺の体がなんで動いているのかずっと疑問だったのだが、これで一つの仮説が生まれた。

 恐らくそれはMP。つまり魔力だ。

 この体を動かしてるのも魔力だとしたら、エンチャントの発動によりMPが減り、俺の体の動かしている魔力も減少したのではないだろうか?

 この急激な疲労感も、魔力枯渇による反動だと考えれば、一応説明はつくと思う。



 ただMPは、時間経過でちゃんと回復するので、少し休憩すると体の疲労感も消えるだろう。


 俺の体のどこかで、魔力が生成されてるのか、それとも周りから魔力を吸収してるとかだろうか?

 見る事が出来ないので、ただの想像でしかないか。



 しかし約15秒でこの反動か……。

 常に使うなんて戦法は無理だ。

 なにせ非常にコスパが悪い。

 使い終わると途端に反動で動きが鈍くなるし、風の刃で敵を仕留められなければ、鈍くなった体に攻撃を受けて終わりだ。

 1対1ならまだいい。

 しかし、相手が複数いるなら使わないほうが正解だろう。


 ここぞって時に使わないと逆に自分の首を締める諸刃だな。


 だが……。

 俺はさっき切断した石を拾ってみる。

 綺麗に切断された面を見る限り相当な切れ味なんだろう。


 この威力を見るに、今の俺には切り札と成るのは間違いない。

 これなら、あのホブゴブリンとも戦えるんじゃないだろうか?


 いつまでもここで、ゴブリン狩りをする生活を続けるわけにもいかない。

 外に出るためにも奴は越えなければならない壁だ。

 新たな力も手に入った事だし、いよいよ奴にリベンジする時が来たのかもしれないな……。

補足を少し入れると、エンチャントは発動後は、常に魔力(MP)を食い続けます。

主人公の考察通り、体を襲った疲労は、エンチャントによりMPが0になるまで食われたことにより、体内魔力が枯渇した時の現象です。

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