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スケルトンの冒険者 異世界生活記 ~人化の術で冒険者やってます~  作者: 肉巻きおにぎり
1章 スケルトンとゴブリン
3/60

2 武器も防具もアイテムも全品100%OFF

7/9 加筆修正及び誤字修正。

拾得物からランタンを削除。

 この場所から動く前に、準備する事がある。

 

 まず、この世界は俺の住んでいた平和の日本じゃない。

 だってこの辺の仏さんがゲームとかでよく見る武具装備してたしな。


 武器を持ってるって事は、それを使う必要のある相手がいるって考えた方が良い。

 つまり魔物だ。

 そもそも、俺がその魔物の姿をしてるんだがな。

 あ。でも中身は一応人間だし……。たぶんセーフだよね?

 いや、見つかったら確実に武器を向けられるだろうな。


 分かってるよ。

 俺だって逆にこんな動く骨の化け物が、いきなり目の前に出て来たら逃げるか、武器を手に取ると思うからな。

 


 もし俺以外の魔物と出会ったらどうしよう。

 戦うのか? それとも逃げるか?

 前世では喧嘩すらした事なかったんだが、俺に戦う事なんで出来るのだろうか……?

 

 どちらにしても、準備もせずに進むのは無いな。


 だが、俺はこんな姿をしてるのだし、もしかしたら、他の魔物からは襲われない可能性もあるんじゃないだろうか?

 

 ……いや。

 あまり希望的な観測はしないほうがいいか。

 ここに死体が転がってるのを見ると、とても友好な魔物がいるとは思えないしな。


 やはり、もし襲われた時の為に何か身を守れるものが欲しい。

 そしてちょうどいい物が、この場所には落ちている。

 そう。周りにある武器を装備している死体達だ。


 正直触りたくもないが、背に腹は代えられないだろう。


 俺は近くの死体の傍に落ちている、剣を掴んでみる事にした。


 刀身がやや小ぶりな片手剣だ。

 軽くて振りやすい。

 刀身の長さから多分ショートソードと呼ばれる物だったはずだ。昔遊んだゲームで見たことがある。

 こいつの持ち主は、既に死んでるんだし、これを頂いて行こう。 


 どうせ1つ取ったら2つも3つも変わらないよな。

 ついでに何か他にも使えるものがないか辺りの死体からも物色するか。

 

 ……これって追剥か?

 いや。非常事態だしそんな事気にしてる場合じゃないよな。

 そもそもこんな場所を己の身一つで探索とか、俺には無理だ。

 もう死人には必要ないだろうし俺が使わせて貰おうか。

 

 あ……。

 その観点から言うと、俺はスケルトンだし一般的にはやっぱり死んでるのか?

 

 ま、まぁとりあえず使えるものはなんでも使え精神で行こう。



 ちなみに、装備を剥いてる時に、その死体が起き上がるなんて事も特に無かった。

 俺以外のアンデットはここには存在してないようだが、これも何か理由があるのだろうかね。

 まぁ、もしここで起き上がってきたら、そのまま全力で逃げる自信があるけどな。


 そして俺は全ての死体を漁り終わり、集めた物資を部屋の中央に下ろす。

 内容は以下の通りだ。


 鉄のナイフが4本。

 紐付きの皮袋1つ。

 ガラスの小さな薬瓶4つ。(おそらくポーション。その内2つが空)

 財布3つ。(全部合わせて銀貨10枚と銅貨が20枚程)

 灰色の襤褸切れみたいなフード付きローブが1つ


 予想より物資が少ないな。

 防具と呼べるかはわからないが、このローブ以外に着れるものもない。

 他の防具はサイズが合わなかったり、そもそも破損が激しかったりで使えそうもなかった。

 別に痛みも感じないようだし、肉も無いので無理に衣服を着なくてもいいのだが、元日本人の感覚からすると、裸のまま移動するのはやっぱり抵抗があった。


 他にも一応、水や保存食なんかも、少しあるのだが、今の俺は物が食べられない体なので、これは放置する事にした。

 さっき試に口に含んで飲み込んでみても、肋骨あたりからぜんぶ外に出てしまったしな。

 まぁ普通に考えたら当たり前だろうな。

 そもそも、物を食う骸骨ってなんだよって話だ。



 しかし、つくづく自分の存在が不思議だ。

 物も食べられないのに、この体を動かしているエネルギーはなんなのだろうか?

 ファンタジー世界だし、ここはやっぱり呪いの力とか、魔力とかだろうか?

 

 自分の体なのに、全く分からないな。

 もし、今ここに生物学者がいたら、こぞって研究したいと言いそうだよ。


 さて。下らない事考えてないで、そろそろ行くか。


 俺は襤褸切れのローブを羽織り、皮袋の内にナイフと薬瓶、財布を詰めて腰に紐で括り付けた。

 まぁ今はこんなものだろう。


 しかし、こうしてみると、まるで小説に出てくる冒険者みたいだな。

 見かけは完全にモンスターだけどな。

 


 ちなみに、死体から物資を這いでる時に、この部屋から出られる通路のような物を見つけた。

 その通路以外には、月明かりが差し込んでいた天井の穴くらいしか、外に出られる場所が無いみたいだ。

 だが、天井の穴まで軽く10メートルはありそうで、周りの岩壁も掴んで昇には無理がある。

 あの穴からの脱出は正直難しいか。

 

 なので、先ずはあの通路を進んでみる事にしよう。


 さてさて一体この先には何が待っているのだろうか。

 俺は、気分を落ち着けるために、大きく深呼吸をしてみる。

 もっとも肺がないから空気は吸えないし吐けないが、これは気分の問題だ。


 よし。準備完了。

 俺は慎重に、先の見えない暗い通路を歩み始めた。


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