第一章:黒羽 隼
白い壁、勉強机とベッドが一つ。暖房カーペットが敷かれた部屋の中、ベッドに倒れこむ一人の少年がいた。
「あーあ、暇だなぁ……」
彼の名は黒羽 隼。声変わりをやっと終えた、十五歳の少年である。髪は茶髪で、ツンツンと尖っているのが特徴的。長さは耳が隠れるくらいだ。顔はちょっぴり格好良い系で、唇の真横の頬にあるほくろがよく目立っていた。身長はこの年頃には相応しい170センチ。服装は一見ぱっとしないシャツとズボンで、見るからに生活態度が悪いということがわかる。
彼は今何か刺激を求めていた。休日というものは平凡すぎてうずうずする。彼はベッドに大の字に寝転がり、何か面白いものはないかと考えた。
「やばい、暇死してしまいそうだ」
結局思いつかないため、すぐに起き上がり、カーテンを開けて外を眺めた。
窓の外には大きな建物がずらりと並んでいて、すぐ手前は並木道が続く噴水広場、ちょっと先には隼が毎日通っている桜ヶ丘中学校、そのとなりには大きな美術館があった。一見欧米諸国風な雰囲気の町並みだが、ここは一応日本である。
天気は快晴で、雲ひとつ見受けられない。出かけるには絶好の日であった。隼は外を一通り見渡した後、はっとため息をついてから呟いた。
「暇だし、ちょっと散歩にでもいくか」
この何気ない気分転換が、壮大な物語の幕開けになるとは誰も知る由も無かった。