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地氷花

変身したら女の子になる体だったんですが成長してるって、え、嘘でしょ!?

作者: 三島屋水那



女装注意。



ある日、いつも通りに魔法で変身してバトルに出ようとしたとき。

なんか、胸の辺りでなにか擦れて痛い気がした。


「うおーい、卯夜君。どったのー?」

「な、何でもないっ。今行くっ」


と、ひとまずごまかして、改めて銃を構えた。




「へぇ……にゃるほろ。それはずばり……成長だね」

「…………マジかよ」


幼馴染みで、俺が魔法を使える『Magicer』であることを知っている少女、甲賀信楽に聞いてみたところ、そんな返事が返ってきた。


「私も最初そんな感じだったよー。確かしばらくは我慢してたけど、結局買ってもらったのよね、ブラ」

「……つまり、買えと」

「そ」

「え、ええー……、俺、一応男だよ?見つかったりしたらどう言い訳すりゃいいの」

「『女装男子デビューしましたっ(キラッ☆)』とか?」

「………………。」


完全に、どうしろと、という感じだった。

何としてもバレてしまうのは回避したい。何故ならバレてしまったらこれからどう生きていけばいいのか分からないからだ。

考えたあげく、気づく。そういえばうちの三階はほこりをかぶったままどの部屋も一切使っていない。そのうちの一部屋をこっそり使える状態にして、服だけに限らず隠したいもののすべてを仕舞えば良いのではないだろうか。


「なるるー。よーっし、先ずは部屋の掃除からだね?任せといてよっ」




とりあえず、それから昼食を挟んで4時間ほどかけて部屋を綺麗にした。

今はちょうど午後2時。買い物をする時間はある。しょうがないので変身した上で服を脱ぎ、信楽に採寸を頼む。


「まだまだ発展途上って感じだけど、んー、こんなものかなあ。ええと、Aカップの、アンダーは60くらい、かなあ……」

「ん。……この辺でいいかなあ……」

「だーめ。初めてなんだから、ちゃんとお店で試着して買おう?ねっ?」


ネット通販で済ませようとしたらダメと言われた。しょうがないのはしょうがないのだが、変身時の衣装だと派手すぎて悪目立ちするし、かといって普段の男物を着る訳にもいかない。

悩んだあげく、蒼京の姉が置いていったロリィタ服を着ることに。これもこれで目立つが、一応その辺にいるレベルではある。


「やっぱCocoaRabbitのブランドショップ行くの?」

「だってあそこのブランドが一番着慣れてるし」




というわけで、星陽駅前のブランドショップへ。普段は郊外の方のショップに行くのだが、そちらは申し訳程度のスペースを除いてすべて男物である。女物ならこっちだ。

「……さ、流石に今は女の子の姿とはいえ、その、女の子空間の圧が……」

「あはは……。でもしょうがないよ。さ、行こ」


店に入ると下着コーナーをフロアマップで探し、直行する。

このブランドらしい茶色系をメインにした落ち着いた印象の下着が並ぶ。


「んー、やっぱこの辺が似合うかなあ。どお?試着してみる?」

「う、うん」


試着ブースに入ると、服を脱いでいく。苦労しつつもホックをどうにか留めると、信楽に見てもらう。


「お、ぴったりじゃん。どうする?買う?」

「よくわからないし、任せる」




というわけで、いくつか下着を購入すると、今度は服の方を見に行く。


「あっ、これかわいい!似合うんじゃない、これ?」

「うん、あとこれとかもいいかも」

「んー、靴下とか髪留めもほしいよね。あと、これからの季節はコートも」


最終的に思った以上の大荷物になったので信楽の自転車のかごにも載せる。スカートがモコモコ過ぎてちょっと乗りづらい……。

帰ってくると、早速掃除した部屋のクローゼットに服を仕舞った。


「ねーねー卯夜君、せっかくだし今着替えてみてよ!」

「えっ、しょ、しょうがないなあ……」


成り行きで買ったばかりの服に腕を通す。やっぱりホックを留めるのに苦労したが、たぶんそのうち慣れるだろう。

と、ちょうど下着を着てブラウスに手を伸ばしたタイミングで、外に出ていた信楽が入ってきやがった。


「ちょっ、し、しぃ!?」

「うんうん、ブラのホックを留めるのに苦労してるんじゃないかと思ったけど大丈夫そうでよかった。でも着るの手伝いたかったなぁ」

「う、うぅ」


改めて買ったスカートにブラウス、靴下を履いてカチューシャをつけて、信楽に見せてみる。


「うんうん、可愛い!」

「ちょ、写真とらないでっ」


よって。

俺はMagicerとして、女装をするしかなくなったのであった。

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