MOON&STARと雪
「ねぇ、STAR。」
「MOONどうしたの?」
ある村に住んでいるうさぎのMOONとねこのSTARは、家の中の木の椅子に座ってお話していました。
二人の近くには、レンガで出来た暖炉があり、暖かそうです。
机の上には、お揃いのマグカップに甘いココアが入っていました。
「今年は、雪降るのかな…と思って。」
MOONは、STARがプレゼントにくれたピンク色のマフラーと手袋を触りながら、そう言いました。
「そうだねぇ。この村は、暖かい場所だからどうかなぁ…。だけど、今年はすごく寒いよね。」
二人が住んでいる村では、雪が一度も降った事がありません。
MOONは、絵本で雪が降る場面を見て、雪を見てみたいなぁ…と思うようになりました。
「今年こそは、雪を見たいなぁ。雪が降ったら、雪だるまをつくりたいの。」
ニコニコしながら話すMOONを見て、STARまで笑顔になりました。
「そしたら、神様にお願いをしよう。」
「うん!!」
二人で窓の傍に行き、手を合わせてお願いをしました。
「「雪が見られますように!!」」
その3日後の朝、STARが慌ててMOONを起こしに来ました。
「MOON、起きて!!」
ベッドに寝ていたMOONは、眠い目をこすりながら、STARに聞きました。
「…STAR、どうしたの…?」
「雪が降っているんだよ!!神様が叶えてくれたんだよ!!」
それを聞いたMOONは、慌てて飛び起きました。
「雪が降っているの!?」
「そうだよ!!神様に、お礼を言って雪遊びをしようよ!!」
「うん!!」
MOONの部屋を出て、また二人で、窓の傍に行き手を合わせました。
「「神様、お願い事を聞いてくれて、ありがとうございます!!」」
窓から外を見ると、真っ白な雪が降っていました。
「MOON、行こう。マフラーと手袋、着けてね。」
「ありがとう。」
MOONは、STARから貰ったピンク色のマフラーを首に巻き、お揃いの手袋をはめ、長靴を履いて外へ出ました。
一歩外に出たら、雪をサクッと踏む音がしました。
家の前の木は、雪で真っ白になっていました。
「たくさん降っているみたいだね。」
後ろからSTARの声が聞こえました。
「うん。雪って、きれい…。」
MOONは、絵本で見た雪と同じで感動しました。
「MOONと同じ色で、何だか嬉しいな。」
MOONは、真っ白なうさぎで、STARはMOONと同じ色の雪を見て嬉しかったみたいです。
「ありがとう。雪だるまつくるね。」
「分かった。何の形をつくるの?」
MOONには、前からつくりたい形がありました。
「それは、内緒。STARは、何をつくるの?」
「僕も内緒。」
それから二人は雪だるまつくりを始めました。
初めての雪だるまつくりは、難しかったですが二人は楽しそうです。
「出来たよ。」
「僕も、出来たよ!!」
二人は、顔を見合わせて微笑みました。
その形は、お互いの姿だったのです。
「STAR、ありがとう。」
「MOON、僕こそありがとう!!」
二人は、お礼を言い合いました。
その後、せっかく雪が降っているので、次は何をしようか…相談を始めました。
「STARは、何かしたい事ある?」
「僕は、雪合戦をしたいなぁ。」
MOONは、雪合戦を知らないのでSTARに聞いてみました。
「雪合戦って、何?」
「雪合戦は、雪を丸めて、投げ合う遊びなんだよ。お互い、それに当たらないように避けるんだ。」
「へぇ。楽しそう!!」
MOONは、座って雪を丸め始めました。
「こんな感じ?」
雪を丸めて、STARに確認するMOONのほっぺたは、少し赤くなっています。
「うん。そのぐらいかな。僕も、つくらなくちゃ…。」
STARも座って、雪を丸め始めました。
二人でたくさんつくり、いよいよ雪合戦の始まりです。
「よし、行くよ!!」
「うん!!」
お互い、離れた場所に行き、雪を投げ始めました。
雪に当たらないように、避けながら雪を投げます。
「MOON、速いなぁ…。」
MOONは、うさぎだからなのか動きが速くてSTARには追いつけません。
「僕だって、頑張るぞ。」
ねこのSTARも負けないように、避けながら雪を投げました。
「わぁ、冷たい!!」
MOONのびっくりしたような声が、聞こえました。
STARが投げた雪が、MOONに当たったようです。
「STAR、すごいね!!私も、頑張るよ!!」
MOONの大きな声が聞こえて、STARは焦りました。
MOONが本気モードになったら、大変だ…と思ったSTARは、雪に当たらないように頑張ります。
パシャ…とSTARに、雪が当たりました。
「冷たい!!」
雪って、こんなに冷たいんだ…とSTARが関心していると、MOONが心配そうに声をかけてきました。
「STAR、どうしたの…?」
「ううん、雪に感動したんだ。」
「良かった。急に、どうしたのかな…って思っちゃった。」
悲しそうな顔をしているMOONを見て、STARは木の後ろから顔を出し、走りました。
「STAR…?」
そして、冷え切ったMOONをぎゅっと抱きしめてこう言いました。
「MOON、心配させてごめんね。雪って、冷たいんだな…と思ってたんだ。」
「STAR…。初めて雪を見れたのが、STARと一緒で良かった。」
「MOON…。」
二人の上に、雪が降り積もってきました。
「STAR、このままじゃ私達、雪だるまになっちゃうよ!!」
「あっ、それは駄目だよ。早く、家に帰ろう!!」
二人は、手を繋いで家までの道を走りました。
真っ白な雪の絨毯の上には、二人の小さな足跡がついていきます。
「着いたぁ…。」
木で出来た家に、水色のドアを見つけた時に、STARはほっとしました。
「STAR、さすがだね。」
MOONは、方向音痴なので家の場所を覚えているSTARを見て、関心しました。
「家の場所ぐらいは、覚えておかないとね。MOONが迷った時に、迎えに行けるようにしておきたいし。」
そんな事をさらっと言う灰色にしまが入っているSTARを見て、MOONの顔は赤くなりました。
「…STAR、ありがとう。早く、家に入ろう?」
赤くなった顔を見られたくないので、家に入る事を提案しました。
「そうだったね。先に入って、良いよ。」
ドアを開けて、MOONを中へ入れてSTARも入りました。
暖炉の傍にある木を暖炉へ入れて、火をつけました。
この木は、冬に入る前にSTARが切った物でした。
少し時間が経ち、暖かくなってきました。
「暖かいね。」
「うん、暖かくなったね。」
二人は、ソファーに座って体を暖めました。
「私、ココアでも入れてくるね。」
「ありがとう。MOONのココアは、一番美味しいよ。」
MOONは、キッチンへ向かいながら、お礼を言いました。
「ありがとう。STARにそう言ってもらえて、嬉しいな。」
二人分のココアをつくり、STARの元へ行き、渡しました。
「STAR、ココア出来たよ。」
「ありがとう。MOONも一緒に飲もうよ。」
そう言って、自分の隣を手でポンポンと叩いて案内しました。
「うん!!」
STARの隣に座り、熱いココアをフーフーと冷ましながら、飲みました。
「MOONのお陰で、心まで暖かくなったよ。」
MOONを見つめながら、そう言うSTARにMOONはこう言いました。
「私は、STARといられるだけで、いつも暖かいよ。どんなに寒くても、平気だよ。」
STARは、MOONの言葉を聞いて嬉しくなりました。
「ありがとう。僕も、MOONといられるだけで良いんだ。」
今年の冬は、いつもより寒かったですが、二人の間には暖かい空気が流れていたのでした。