一日目-三 これはマズイ
尻かぁ……。どうしてそうなったかなぁ。
確かに二週間前、兄の部屋からしばらくぶりに音が聞こえていた。
「妹よ。俺はご飯が来たとき以外、ほとんどずっとこの格好だったのだぞ? 何故早くに来てくれない」
何で怒られてるんだろう、私。
そうだ、私は革命をおこしに来たんだ。
私は笑顔をつくり、
「兄さん……。まず服を着て」
雅司は少々戸惑いながら、服を着た。
「うん。じゃあそこに正座して」
指定した瑞の目の前に座る。
「ご飯はちゃんと食べてたみたいだけど、何で服を着てないの?」
「そ、それはだな、尻が好きだと気づいたとき、気分が高揚してつい、服を脱いでしまってな? そして全裸の方が気持ちいいと分かったんだ」
雅司は思った。瑞は怒っているなと。
「変態か!」
やっぱり怒ってた。
「はぁ、私はこんな兄を持ちたくはなかった……。ああ、でもそうだよね、あの二人の長男だもんね」
あの二人とは、もちろん父と母のことである。
父と母は、子供のたちが部屋にいるにも構わずに、エッチなことを毎日しているような人たちだ。
「じゃあ、兄さん」
怖い笑顔のままだったのが、ふと、やわらかい笑顔になった。
「買い物に付き合って」
「えっ……」
以外で、雅司は声を漏らした。てっきり平手打ちの三つくらいくらうのかと。
「じゃあお風呂入って来て、私は着替えて来るから」
そう言って瑞は、雅司の部屋を出た。