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ドリームキャッチャー  作者: 埼玉の玉子
3/22

最首駆男3

いっぱい寝たのに眠たい。

昨日オンラインカジノで負けて寝たのが夜中2時くらい。

12時間ほど寝ただろうか。


現実逃避なのかもしれないが、駆男は寝ることに関しては

誰にも負けなかった。

一度寝れば、10時間は全く目が覚めず、一度起きてもまた眠れる。

二度寝しても3時間はまた目が覚めない。

働いているときは、目覚ましをスヌーズ機能を使い、なんとか起きていた。

高校生の時、病気ではないかと思い、一度病院に行こうかと思ったことがあったが、結局めんどくさくなりいかなかった。


そしてそれ以降、駆男の睡眠テクニックはさらに向上した。

自由に見たい夢を見ることができるようになったのである。


方法は簡単で、眠る10分前までに見たい夢を頭で想像して、

コーヒー牛乳をのんでから寝る。

これだけである。

馬鹿にされるかもしれないが、これを極めてからは100発100中で、

見たい夢を見れるようになった。

友達には言ったことがあるが、普段からお調子者で、適当なことを

いう駆男の話は常に風に巻かれた。


この能力に気づいたのは大学生の時、独り暮らしをしている時で、

当時人気だったアイドルクラブの優子ちゃんを想像しながらマスターベーションをしたのがきっかけだった。


昔から想像力豊かな、駆男は基本的にマスターベーションをするとき、想像力を働かせる。終わったあと、すぐ寝た駆男の夢のなかにも、優子ちゃんはでてきたというわけだ。


史上最高の目覚めだった、その日の夜に、またでてきてくれないかなーと、思いながら寝たら、その日の夢にも訪れた。


能力の覚醒である。


その後もしやと思い試行錯誤試した結果、

想像してから10分以内に寝なければいけない。

最後にコーヒー牛乳を飲まなければいけない。

という結果にたどり着いた。


コーヒー牛乳はどうかわからないのだが、駆男はコーヒー牛乳が大好きで、ほぼコーヒー牛乳しか飲まない。しかも雪印のやつだ。

雪印のコーヒー牛乳は、コーヒー牛乳の原点であり、至極である。


駆男の言葉である。


そんなこんなで、この夢自由操作を身に付けた駆男は、ありとあらゆる夢を楽しんだ。

テレビに出ているタイプのコはすべて抱かせていただいたし、

社員1000人の社長にもなった。

夢の中でゾンビを、狩るリアルゲームをしたこともある。


オンラインカジノで負けた前日、オンラインカジノで大勝する夢を

選んだ。ジャックポットを当てて、1億円獲得。

夢の中では雑誌の取材も受けた。

「ずっと努力しているものには神が降り立つんですかね」


そのふざけたインタビューを聞く雑誌記者は、なぜか豊田アナだった。

よく想像して寝ないと自分の知っている適当な人がでてくるのは、夢の特徴である。


しかし、現実は残酷であり、オンラインカジノで消しさったお金が

戻ってくるということはない。

まだぼーっとしている頭で昨日のことを思いだし、目覚めのマルボロライトをすっていると、また考えることがいやになり、

ベッドに、潜り込んだ駆男は、

スマートフォンで、最近天使のアイドルと言われて大流行中の

カナちゃんの写真を見た。

そして枕元のテーブルの上においてあったコーヒー牛乳に手をやり、

一気に飲み干した。


「おやすみ現実。いってきます夢。」


声にもならないような声でそう呟き、駆男はまた楽しい夢の世界に

出発した。


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