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ドリームキャッチャー  作者: 埼玉の玉子
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最首駆男

愚か者。


この言葉が自分を表す最適の言葉かもしれない。


全身の痺れと、眩暈、気だるさを感じながら、駆男は、そんなことを考えていた。


オンラインカジノ、夢と欲望が渦巻く落とし穴。それに見入られた駆男は、今年いっぱいで辞めた仕事の退職金を使い果たし、はたまた転職中金欠のためにと在職中に作ったクレジットカードのキャッシング枠をも使い果たし、呆然とベッドに横たわっていた。


もともと、ギャンブルが大好きだっだ駆男がオンラインカジノで夢と絶望を味わったのは、ここほんの数日の出来事だった。


仕事をやめて、就活前にと家でだらだらしていたとき見つけてしまったのが運の尽きだった。


24時間遊べて、日本からでもできる。

1ドルからベットできて、ジャックポットまである。

日本人の高額ジャックポット当選インタビュー。


そんな甘いうたい文句に暇をもてあましていた駆男は、まんまと罠にはまってしまったのだ。


すべての財産がふっとぶのに時間はかからなかった。


最初は100ドル。日本のクレジットカードから入金できるということで、早速入金した駆男は、スロットで勝負にでることにした。

そしてほんの数分で消滅してしまった。

普通の人ならここでやめるところ。しかし、駆男はそうではなかった。

当たるまでやる。


そうしてもぬけの殻となった。


一時的には3000ドルまで増えた。しかし、あたると共に際限のない欲望が全身からわきだし、増えたお金を失うどころかクレジット枠すべてを使い果たし、口座にあったお金をネットバンキングを利用して送金し、退職金もまるまる消えてしまうという、大災害に見舞われたのである。


そんなことあるまい。と善良な市民は思うだろう。

しかし、ギャンブラー達は知っている。減れば減るほど取り返すという思いがわき出て、いつのまにか取り返せない額に至る、そしてその額に至った時、正常な判断能力を失う。最後もうこれ以上賭けるお金がなくなったときに訪れる、虚無感と絶望感。これが大きいほど次に当たった時の喜びも大きくなり、

ギャンブルという魔物に虜になり、最後には食いつくされてしまうのである。



全身の血肉を食いつくされたかのように、痺れを感じていた駆男は、

やがて考えることから逃げ出すかのように深い眠りに落ちていった。




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