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イノセント・アライブ ~命の選択と荒ぶる息吹~  作者: 沙φ亜竜
第4章 そよぐ風に耳を傾けて
29/42

-☆-

 わたしはお母さんに手を引かれながら、通りを歩いていた。

 行き交う人々に、お母さんはなぜだか冷たい視線を向ける。


「息吹ちゃん、あなたは頑張らなくてはなりません」

「え? な~に?」


 お母さんがなにを言っているのか、わたしにはよくわからなかった。


「あなたは……神様だから」

「え~?」


 お母さんはそのとき、確かにそう言った。

 幼いわたしには、なにを言っているか、いまいち理解できなかったけど。


「うふふ、今はわからなくてもいいわ」


 ふわりとした温かな笑顔を送ってくれるお母さん。

 理解はできなくても、お母さんの笑顔が大好きだったわたしは、精いっぱいの笑顔で応える。

 それを見て、お母さんは満足そうに頷いた。

 そして笑顔を崩さずに、こう続けた。


「でもね、いざというときには一生懸命、それこそ死ぬ気で頑張らなくてはなりませんよ?」

「……うん!」


 お母さんがなにを言いたいのか、よくわかってはいなかったけど。

 だけど、お母さんが笑顔になってくれるならと、わたしは肯定の言葉を元気よく返す。


「すべてがあなたの肩にかかってくることもあるでしょう。でも負けちゃダメ。勝つんですよ! 未来のために!」

「うん、わたし、まけない! ぜったい、かつ!」


 絶対、勝つ。

 それはお母さんとの約束。


 ……そっか、お母さんはずっと昔から、わたしに訪れる苦難を予見していたんだ。

 お母さん、わたし、頑張るよ!


 記憶の中のお母さんが、わたしの声を聞いて微笑んでくれたような、そんな気がした。


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