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-☆-

 お母さんが、笑っている。

 わたしのほうを見て、笑っている。


「この子にも、将来は恋人ができたりするんでしょうね~」


 ちょんちょんと、わたしの鼻の頭を人差し指で軽くつつきながら、「ね~」と、笑いかけるお母さん。


「あははは、そうだね」


 お父さんも、笑っていた。

 忙しくて家にいないことも多いけど、いつも優しくわたしを包み込んでくれる。


 お母さんの匂い。

 お父さんの匂い。

 ふたりの匂いに包まれて、わたしも満面の笑みをこぼしていた。


「あなた、娘はやらん! とか言って怒鳴ったりしないでくださいよ?」

「う~ん、約束はできないかな~……」

「もう、あなたったら」


 お母さんは、うふふ、と笑い声を空気に乗せて響かせる。

 手入れの行き届いた綺麗なリビングルームは、幸せいっぱいの空気で隅々まで満たされていた。


 お父さんとお母さんが仲よくお喋りしているのを、わたしはうっとりとした瞳で見つめる。

 わたしはふたりの笑顔が、とっても大好きだった。


 今では記憶の中でしか見ることのできない、ふたりの笑顔が。

 本当に本当に、大好きだった――。


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