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♢♢♢童話集♢♢♢

サイレント・ミュージック

作者: 犀月靖緒

あるところに、詩と音楽が大好きな鳥がいた。

その鳥は、人々の語る詩や歌声を聴いては、自分もそんなふうに誰かに想いを届けたいと願っていた。


でも鳥は人間のように詩を語ることも、言葉を旋律にのせて歌うこともできない。

それでも鳥は語り、歌いたいと願った。



♢♢♢


ある日その鳥は、いつものように人々の集まる広場の木の上で、誰かが歌うメロディーを聴いていた。

でも不思議なことに、その広場にいる人は、誰も歌をうたっていない。


その広場の中には、ひとりの少女が立っていた。

少女は、音を聞くことも、言葉を話すこともできなかった。

でもその少女は木の上の鳥のように、自分の想いを歌にして、誰かに届けたいと願っていた。


少女は広場の真ん中に立ち、大好きな海の景色と、伝えたい言葉を詩にして、頭の中に思い描いた。

そしてそれを、いろいろな身振り手振りで表した。


少女の手の動きは、はやかったり、ゆっくりだったり、とまったりして、海の青さやそこに浮かぶ船の景色を、時間の流れを伴って、さまざまに表した。


それは誰にも聞こえない言葉と、誰にも聴こえないメロディーだったが、少女は歌っていた。


でも少女と同じ願いを持っていた木の上の鳥は、その歌を聴くことができた。



♢♢♢


それから鳥と少女はいつも一緒に、広場で語り、歌をうたうようになった。

人々も少女の手や体の動きに合わせて歌ったり、踊ったりするようになった。


それはのちに手話と呼ばれ、その音楽はサイレント・ミュージックと呼ばれるようになった。


少女は鳥と世界中を歩いて、音のない人たちにもその音楽を届けたという。

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