束の間の平穏
ミミズの数字が見つかってから1週間程たった。
未だ、アキ隊長からは連絡がかかっていなく、ミミズについては、まだ科学班で解明中だと考えられる。
とりあえずトレーニングしに行こうかな。
<トレーニング室>
1、2、1、2
「あっ!ノラ先輩!」
腕立て伏せをしていると、後ろから可愛らしい声が聞こえてきた。
「お久しぶりです!」
「あぁ、久しぶり。カナリア」
彼女はカナリア。昨年、清掃員になったばかりの新米隊員だ。
「もう清掃員の仕事には慣れた?」
「はいっ!バッチリですよ!」
あたしはカナリアの教育係で、その関係で今も先輩後輩として仲が良い。
さらに、カナリアは元々私と同じ孤児院の出身で、よく食事にも行く仲だ。
「それより先輩ー!1級ミミズが出て、しかもそいつが喋ったってホントですか!?」
、、、喋った、、?
「、、、いや、1級は出たけど、喋ってはいないかな。」
「えぇ!?私達C級隊員の間では喋って歩いて帰ったって聞きましたけど!?」
喋った上に歩いて、帰った、、、
「そうなんだ、、、( ˊᵕˋ ;)。多分、噂に尾ヒレが着いたんだろうね、、、。」
「なるほどぉ〜」
この広い組織の中では噂に尾ヒレが着くことなんてザラにある。
つい先日なんて、タイガ兄弟が盗みを働いた、なんて噂も広がっていたくらいだ。
「じゃあ先輩!この後私用事があって、、、。また今度ゆっくりお茶しましょうねー!」
「うん。じゃあね。これからもガンバ!」
駆け足で去って行くカナリアを見送りながらトレーニングへ戻る。
あっ!シロの朝ごはん忘れてた、、、。
急いで部屋に戻る。
シロに餌をやると、朝食の時間になったので食堂へ向かう。
すると、食堂で何やら皿洗いをさせられているタイガ兄弟を見つけた。
(まさか、、本当に盗みを犯したのか、、?)
ジッと眺めていると、タイガがこちらに気づいた。
「おぉい!野良犬!いるなら手伝ってくれよー!」
、、、とりあえず、食堂へ入り話を聞こう、、。
<食堂・家事室>
ガチャリ
「野良犬ぅー!よく来てくれた!これですぐに終わるな!」
「、、、」
「ほら!ライガもお礼を言え!」
「、、、あざす。」
「いや、まだ手伝うとは一言も言ってないんだけど、、、。」
手伝う前提で話せれても困る。
「いやぁ。ちょっとやらかしちまって(汗)」
!?あの噂は本当だったのか、、、。
「、、まさか本当に盗みを、、、(泣)」
「はぁ!?いやいや、俺達はただ食堂のおばちゃんにぶつかって、料理をダメにしちまって、、、。」
タイガが目をかっぴらげて弁明する。
盗みよりは良いが、、、それもそれで迷惑を掛けているな、、、。
「、、、なるほど、それで皿洗いをさせられていると。」
「そうなんだよぉ〜!ここにあるの全部洗わなくちゃいけなくてさぁ〜。」
「頼む!手伝ってくれ!」
「どうしよっかな〜。」
からかうように言ったが、実際本当に手伝うか迷っている。
なぜなら、皿が山のように積み重なっており、少なくとも2人では一日では終わらないだろう。
私が手伝えば今日中に終わるだろうが、、、。
面倒くさい、、、。
「頼むよぉ〜ノラ様ぁ〜!」
「、、、(¯―¯٥)うーん、、、」
「手伝ってくれたら俺のデザート1ヶ月間やるから!!」
デザート1ヶ月分!!!
「乗った!手伝ってあげる。」
「よっしゃぁ!あざっす!」
「、、、ざす。」
「しょうがないな( ˘ᵔ˘)」
仕方ない、デザート1ヶ月分ならば手を打ってやろう。面倒くさいけど、、、
「よぉし!そうと決まったらやるぞ〜⤴︎︎︎!」
「イエッサー。」
カチャカチャ
ワシャワシャ
夕方になり、やっと皿洗いが終わった。
「いやぁ本当にありがとうな!野良犬!」
「、、、ペコリ」
「どういたしまして。」
「明日は訓練多めだから早めに寝よ。」
「だな!じゃ、おやすみぃ!」
「おー。じゃあね。」
クタクタになりながら部屋に戻る。
<部屋>
シュッシュッ キラン
〈消灯ー!〉
包丁の手入れをしていると消灯の時間になった。
(そろそろあのミミズについて、分かることがあればいいな)
パチッ




