ミミズと数字
〈起きろ!朝だ!〉
朝の放送が鳴り、起こされる。
「野良犬!食堂行こうぜ!」
「はや、、、眠ぃ」
いつものようにタイガが迎えに来る。
朝食を食べたあとはトレーニングをし、その後はミミズの警報がならない限りは、自由に生活出来る。
<訓練室>
1、2、1、2
「次!腕立て伏せ!」
訓練中、偶然タイガが隣になった。
「野良犬、今日はどっか行くのか?」
「あー、風鈴町で洋服買おうかな。」
「ふーん。」
訓練服しか服を持っていなかったので、外行き用の服を買おうと思っていたのだ。
「タイガは?」
「俺は花街に用事があって。」
「へぇ。お楽しみのようで」
「違う!!上官の付き添いで行くだけだ。」
花街とは言わば夜の店が多くある夜の街。上官の付き添いで行かされることはしばしばある。
「訓練終了!これにて解散!」
「応!」
訓練が終わったので、風鈴町の洋服屋さんへと向かう。
<風鈴町>
「ヒソヒソ」「あれってさぁ、清掃員の野犬だよね?」「こわぁ〜」
この独特の髪色と目の色で、外へ出ると必ず目立つ。
レベッカの流した噂で、清掃員の野犬、だなんて立派な二つ名も付いてしまっている。
<服屋>
カランコロン
「いらっしゃいませー!っ!野犬、、、」
うわーここでも。
「本日はどのようなご用件でしょうか?」
「えっと、レストラン等に行く洋服を買いたくて。」
「っ!そうですか、、、。」
店員の顔が曇る。
レベッカは一体どんな噂を流したのか、、、。
「では、貴方様にはこちらの薄水色のドレスなどがお似合いだと、、、。」
言われるがままに着させられる。
「とてもお似合いです!」
店員はいつの間にか噂の事など忘れてファッションショーを楽しんでいた。
「ありがとうございます。」
この服はあたしらしくはないが、レストランなどに行くにはいいだろう。
「購入されますか?」「はい。」
今日はこのままレストランへ行ってみようと、服を着たまま、会計をする。
「お代金はこちらになりま...〈ウーウーウー〉キャッ!」
っ警報アラーム!?
「ジジッ野良犬!また花街でミミズが現れた!しかも今回は1級レベルが一体いる!」
「1級!?」
「あぁ。休暇中悪いがすぐに来てくれ!」
「俺と上司は通信班だから戦えねーんだ!」
「っ、了解!」
1級はミミズの中でも最上位に危険な存在。見つかったら即刻駆除しなければ多数の犠牲が出るだろう。
「店員さんすみません。とりあえず連絡先渡しておくので後で必ず払いに来ます。」
「はっ、はい!」
リモコンで飛行バイクを呼ぶ。
「それにしても、なんで花街ばかり、、、。」
なにか、ミミズの出現条件が分かればいいのに、、、。
シュイーン
飛行バイクで花街の方向へ向かう。
しばらくすると、瓦礫にまみれた地帯が見えてきた。
〈グオォォォー〉
ミミズの唸り声が鳴り響く。
「ジジッ野良犬!着いたか?」
「うん。」
「ナイス!右側に見えるのが1級だ。」
右側に目を向けると、そこに居たのはとてつもなく大きいミミズだった。
少し動いただけで花街がどんどん破壊されていく。
「タイガ、住民の避難は?」
「もう済んでいる。だから暴れていいぞ!」
「了解。」
包丁を両手に持ち、1級に接近する。
〈グァァァー!ガァーー!〉
キーン
「くっ!」
ミミズの声が頭に鳴り響く。
グラり プス、プスプス、プス
「あっ!」
しまった!ミミズの出した超音波で飛行バイクの内部エンジンがイカれてしまい、操作が出来ない。
「っ!こちらS級ノラ!飛行バイクの制御が不可能!応答願う!」
急いで通信班へ伝達する。
「ジジッこちらS級タイガ!飛行バイクから、ミミズの上へ飛び降りれるか!?ミミズだったら柔らかいから怪我しないで済む!」
「了解」
ぽふっとミミズの上へ飛び降りる。
暴れるミミズにピックを刺し、落ちないように体を固定する。
「こちらS級隊員ノラ。これより、一級ミミズの駆除を開始する。」
シューー、シューー
ミミズの動きをガスで鈍らせる。
〈グ、グァァ〜、、、〉
「よし、動きが止まった。あとは、、、」
「思いっきり腹に刺す!!」
グサッ! ブシャッ!
〈グギャァー!グオォォォー!〉
キーン
(うっ、耳栓しててもこれか。)
ミミズの腹に包丁が刺さったのを確認し、そこから頭まで一気に切り裂いていく。
その過程で、返り血をベッタリと浴びてしまった。
ギギギ グサリ サー ブシャッ
っ!?
首までいったところで、あたしは手を止めてしまった。
「?どうした野良犬!なにか異変か!?」
「、、、」
「、、、、数字が、書いてある。」
「数字!?」
「うん。3012て書いてある。」
そのミミズには、首に当たる部分に、3012と焼印を押されていた。
「、、なるほど、、、。そこの部分だけ切り取って、駆除できるか?」
「了解。」
グサッ スッスッスッ グサリッ!
数字の書いてある部分を切り取ったら、また、頭まで切り裂く作業を開始する。
「よし、もう一息。」
やっとのことで頭まで辿り着き、いつものように頭を切り落とす。
「っんし!」
グザァ!
〈アァァァァーーーァァ....。〉
今回は大きいため、勢いを付けて一気に切り落とした。
ミミズの頭がズシンと落ちる。
ミミズに手を手向けると、近くには、もう解体班が集まっていた。
「ふぅ、駆除完了。ほかのミミズは?」
「ナイス。ほかのミミズはA級隊員らが倒し終わったところ。とりあえず施設に戻ってきて。数字を隊長に渡すから。」
「応。」




