57 眠れる王発見…!!
「シャイニング・クリフ!!」
と必死に叫びつつ、もうどこを歩いているか分からなくなったその時、広い部屋の隅に更にドアを発見した。
「……これ?エリックが言ってた……秘密の部屋……」
カチャっと開けると、
そこはパンパンの茨だったが、魔法をかけると地面が見えてきた。
「うぅ……確かに……男の秘密の部屋かも……」
あまり弟の部屋にズカズカ入ったことはないが、よく見ると服が脱ぎ捨てられている。多分、王としての服ではなく、平民として村に出かける時の服だろう。
「こ、これは……。ちゃんと洗ってんのかな。フフフ」
アレクが王として正装する姿を思い出し、裏ではこのような平民の暮らしを愛していたというところが親しみ深く、ちょっと笑ってしまった。
隅の方に、ベッドを発見した。
「ここに、アレク様が……!?」
「シャイニング・クリフ!!」
と、再び魔法を掛けて、ベッドの全貌が見えてきた。
「ア、アレク様!!!」
幸子はスヤスヤ眠るアレクを発見して、迷わず枕元に走った。
美しい青い瞳は閉じられ、スウスウと呼吸をしている。アレクの顔を見て、一瞬止まり、幸子は泣きそうになった。
「……アレク様。
アレク様!!!起きてください!!」
意を決して大きな声で話しかけるが、反応は無い。
やっぱり魔王の魔法で眠らされているのだ……。
「………どうしよう」
どうやって起こすかは分からなかった。
こうしている間にも茨が再びアレクと幸子を覆おうとするので、魔法をかけつつ、揺すったり、声をかけたり色々してみる。
「はぁ……なにも反応ない。
ねぇ、アレク様、どうやったら、起きるの?」
金髪の髪をさらっと撫でながら、呟く。
「起きてるときにはこんなイケオジ撫でられないなぁ……って変態か!」
自分で突っ込みを入れて、アレクが起きない寂しさを紛らわす。
「もしかして……!!」
幸子は一つのアイディアを思いついた。
そう。
童話の眠れる森の美女はどうやって起きたか……。
「王子様のキッス………!!!」
急に真っ赤になって幸子は頬に顔を当て、一人ごとを早口でまくし立てる。
「い、いや、私は聖女だけども、そんなことしていいのか!?寝てる間にそんなことされたらキモいでしょ!?」
幸子は喪女である。男性経験など無い!
しかも、相手は美しいイケオジ……オタオタしてしばらく悶えていた。
「……いや、ここはファンタジーの世界……やってみる価値はあるはず……じゅる」
唇を拭うと変な音が出た。
「や、やばい。緊張してきた。これでだめでもアレク様!私のこと怒らないでね!」
ドドドドドドッ……
幸子は自分の心臓の音だけが激しく鳴っているのを聞いた。
ゆっくりと眠るアレクに顔を近づける。
「ぎゃっ!!!」
変な体勢だったものだから、幸子はバランスを崩し、アレクの顔にダイブした。
アレクの美しい唇がスローモーションでアップになってくる……
「あ、あわわ……!!!」
「ぶっちゅーーーーーー」
確かにキスはした………が………。
その瞬間、激しく光が輝いた。
「えっ、正解!?」
と、幸子は呟いたが、それも一瞬のことだった。
………幸子とアレクは光に飲み込まれていった。




