56 進むしかない
次の日、幸子はしっかり寝て体力を回復させ、
茨…そして魔王との対決に挑むことにした。
眠れないかもと思ったが、疲れていたのか久しぶりの自分のベッドで眠れてぐっすりだった。
「おはよ〜」
幸子は寝ぼけ眼で大広間にいるエリックに挨拶をした。
「幸子、大丈夫か?」
とエリックは心配そうだ。
「眠いだけ〜たくさん眠れたから元気モリモリよ!」
とモリモリと動くと、エリックはちょっと馬鹿にしたような顔をした。
キュッとエリックは顔を引き締めた。
「……。ま、とりあえず、今日は頼む。俺も外で待機しているから!
……何もできなくて悪い……」
心配と悔しさが入り交じった表情だ。
「せっかくアレク様が頑張って召喚してくれたんだもん!聖女に任せとき!!」
と極めて明るく言う。
幸子だって不安なのだ。自分に全てかかっていると思うと怖い……幸子次第でアレクに再び会えないかもしれない。エリックが無力感を感じているのも分かる。だからこそ、明るくちょっとふざけていた。
茨の門の前に二人は立った。
その後ろにはジャクソンを中心とした騎士団が控え、万が一の事態に備える。
「じゃあ、行くね……!」
「幸子……!頼む……!」
エリックと言葉を交わして、幸子は詠唱を開始する。
『聖なるかな聖なるかな
闇なるもの全てかき消せ
悪しき心を赦します
悪しき行い正します
聖なるかな聖なるかな』
「シャイニング・クリフ!!!」
モゾモゾと茨が後退する。
後ろの観客からおぉ!と感嘆の声があがる。
まず、第一関門の扉についていた茨が取り払われた。10秒くらいしか保たないので、幸子は慌てて扉を開ける。エリックも来て、扉を持ってくれた。
扉を開けると、部屋は茨でパンパンだった。
「やっぱり……茨凄いね」
「シャイニング・クリフ!!」
エリックの返事も待てない。次の魔法に取り掛かる。
モゾモゾと茨は後退し、幸子は一歩ずつ入っていく。
進めば進む。
しかし、退路はどんどん茨が復活し、幸子が立っているわずかな隙間しかなくなっていく。
「シャイニング・クリフ!!」
ひたすら結界魔法を唱え、進んでいく。
エリックの姿ももう見えない。
(めっちゃ怖い……でも、止まったら、私も茨に飲み込まれてしまう………止まっちゃだめ!!
……大丈夫、大丈夫!!
アレク様を助けるんだ……!!)




