39 再び全力魔法
「なるほど〜!だから減らなかったんだね!エリック様、やれます!?」
ハロイドがエリックに叫びながら声をかける。
「もちろん!!」
エリックはジャッカルの後ろにいるケルベロスに焦点を当てて、詠唱を始めた。
しかし、ケルベロスもただ後ろに陣取っているだけではない。
ゴゴゴゴゴ…………
と、不気味な鳴き声を出し始めた。
「毒の火炎を吐きます!!逃げないと!!」
と、サディが叫ぶ。
「な、なんなの!?」
「炎が毒を持ってるんだ。攻撃に当たると強いダメージが……!」
そう言っている途中で、
もぁぁぁぁぁあああ
と生暖かい煙が辺りに立ち込め始めた。
「俺の炎で蹴散らす!!」
と、
エリックが周りの煙を鋭い炎を出して、言葉の通り蹴散らした。
しかし、ケルベロスはそれをものともせず、
ダッと脚を踏み込み、一気にエリックと距離を詰める。
「くっそーーー!!詠唱が間に合わない!!」
エリックが焦ったような声を出す。
「あ、危ない!!!」
幸子は叫び、エリックの前に飛び出した。
「幸子!!!危ない!!」
エリックが叫ぶが、幸子は手をかざして、詠唱しながら、前回のように全ての魔力を手のひらから吐き出した。
「行っけええええぇ!!!!」
ズドーーーーーン!!!
ものすごい爆風と真っ白の光がコーリエ森林をまっすぐに突き刺した。
「うわぁぁぁぁ!!!」
サディが叫ぶ。
幸子もあまりの風に目をつむる。
シーーン
しばらくは鳥の声すら聞こえなかった。
「………幸子!!」
エリックが幸子に呼びかける。
「はっ!エリック様!?ケルベロスは!?」
幸子もあっけにとられていたが、慌てて後ろのエリックを振り返る。
「……いない。浄化されたのか……」
周りのジャッカルも姿を消した。
「エリック様!良かったぁ!やられちゃうかと思った……」
「幸子〜!お前は本当無鉄砲だな!人のことより自分の身を守ってくれ……聖女なんだぞ!?」
と、エリックはケルベロスとの間に入ってきて無茶をする幸子に少し怒っている。
「……ごめん。この世界を救わなきゃいけないのに。で、でもさ!それよりもエリック様を守りたかったんだもん!仕方ないじゃん、身体が動いちゃったんだから……」
幸子が言うと、エリックは少しびっくりした。
「……女性を守ることはあっても、守られるとはな……ハハハッ」
と、急に笑い出した。
「……ねぇ……助かってよかったケド……森の半分消えちゃったよ」
と、サディがポツリと言った。




