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1 社畜な毎日

社畜喪女が異世界に召喚され、聖魔法で魔王と戦わなくてはならない使命を受け、

王様と王子に支えられながらも力を伸ばし、

国を平和に導く話。




―人のために自分にやれることをするのよ

きっといつか自分に帰ってくるわ―





おばあちゃんの優しい教え。

情けは人のためならずいつか自分に帰ってくるんだと信じて働くこと五年目……


 「明日の朝までにこのアンケート結果からターゲットを絞れるようにまとめとけ。昼の会議で使うからな」


ハゲ頭の疲れたスーツを着た部長がドサッと机の上にアンケート結果を載せる。


(………え、今午後三時ですけど、明日朝までって。昼の会議に!?)


「あの……終業時間まで3時間しかないんですけど」


恐る恐る発言する。


「はあぁぁ!?こんなのも3時間でできないのか?斉藤はプランナーとしてやってく気あるのか!?」


眼光鋭く睨まれ、大きな雷が落ちる。


「す、すみません!今すぐ取りかかります!」


(うーん、今日も残業決定かな……。何日続いているんだろう。も……疲れた)




 がっくりしながら、いつ終わるともしれない仕事に取り掛かるのは、斉藤幸子。26歳。背は160cmで、メガネをかけ、いつもひっつめのポニテ。童顔で自分でも色気ないと思いつつ、化粧も薄い。そして働き始めてこの五年社畜生活を送っている。


 大学から夢だった広告代理店のマーケットリサーチ部に所属している。クライアントの商品を必要としている人に届けるのが一番の仕事。そのためにはクライアントの課題に対して、市場調査等を通じてターゲットを分析・選定するのが一番なんだけど、これがなかなかうまくいかない。


 でも、一生懸命調べたことがクライアントの願いと消費者の気持ちとうまく繋がったときの嬉しさはやりがいにつながっている。だから、頑張れる。やりがい詐欺とも言えるのだが。


 「斉藤、お疲れ様」


隣の席の同期、橋本くんが机の上に一口サイズのチョコを置いてくれる。


「橋本くん〜ありがと!わ、イチゴ味だ! 」


「斉藤イチゴ派でしょ。今日は俺も残業〜お互い頑張ろうな」


にかっと笑う笑顔が癒やされる。その輝きに消えてしまいそうな気分になる。大学までサッカー部に所属していたとかで体育会系のガッツもあるし、周りをよく見てるイマドキイケメンだ。最近普通にやっと話せるようになったけれど、周りにはいないタイプだ。




 そんなこんなしていたら、あっという間に夜になった。橋本くんも21時まで残業してたけど、彼女との約束があるとかで帰っていった。23時になったので、幸子も帰る準備をする。周りを見るとチラホラ社畜達の明かりが見える。


「あー、帰ってゲームしながらご飯食べよ……」


幸子は疲れた首をパキポキやりながら、エレベーターを待つ。昼間はなかなか来ないエレベーターも、すぐオフィスのある23階まで来てくれる。こんな時間まで残業しているのは少ないからだ。


亡霊のようにハーッとため息をついて、エレベーターに乗る。


1階のボタンを押すやいなや、エレベーターが普段より早く動き出した。



「え!!」


気づけばエレベーターが光に包まれている。




「ええええええ!!!

ダイ・ハードみたいになるのは勘弁! や、やだぁぁぁぁーーー!!死にたくないぃぃーーー!!!」 


ブゥォンブゥォンブゥォン

と謎の音が響く。



キィィィィンと

落下のスピードが早くなり、幸子の気が遠のく。




(あぁ、短い人生だったなぁ~仕事ばかりやってないで恋愛とかも楽しみたかった……。)


走馬灯のように自分の人生が浮かぶ。




そして、真っ白な光に包み込まれた……





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