仲間も忘れず2
戦うことを強制はできない。
そのために特進クラスを辞めたいというのならアカデミーもそれを受け入れるつもりであった。
ただ特進クラスに空きがあるのももったいないので目ぼしい生徒に特進クラスに編入しないかと声をかけるつもりであった。
実は4班の子の一人がやっぱり怖いということで特進クラスを辞めることをトモナリに相談していた。
これから先の時代、覚醒者としての力があると有利ではあるが無理はいけないと思うので副担任のイリヤマに相談してみるといいと答えていた。
だから一人はいなくなることを知っていたのだ。
また新しく生徒を入れることを知っているのはイリヤマに減った分どうするのかを聞いたからだった。
「南真琴という生徒なんですけど」
「南真琴さんですね」
ミクはマサヨシからタブレットを受け取って今度はマコトの情報を表示する。
「南真琴……入学テストの成績は優秀だがモンスターを攻撃する時にためらいの時間があった。ただ能力や職業的には特進クラスでもおかしくはないな」
モンスターを攻撃するのに多少時間があったので特進クラス入りは見送られたけれど忍者という珍しい職業と素早さが高いステータス、それに加えてインザシャドウというのもかなり良いスキルである。
若干気弱そうな性格をしていたけれどモンスターとの戦いはやれば慣れてくるし、未来の暗王候補ならばモンスターや人と戦えなかったということはないだろう。
「……声をかけてみよう。本人次第だがやる気があるなら特進クラスに入ってもいいだろう」
なかなか面白い能力の生徒を見つけたものだとマサヨシは思った。
「ありがとうございます」
「この子も君のトレーニング仲間に入れるつもりかな?」
「そのつもりです」
「もしついてこられそうなら課外活動部に誘うことも考えよう」
ミクとしては流石にトモナリを中心に考えすぎではないかと感じているが、それだけマサヨシが期待をかけるだけの能力が現段階ではあるとも思う。
ただ最終的な強さは今後得られるスキルにもよるのであまり期待しすぎても危うさがあるのだ。
「最後のはちょっとしたお願いで、用意して欲しいものがあるんです」
「俺に用意できるものならなんでも用意しよう」
「魔力抑制装置が欲しいんです」
「魔力抑制装置だと? 犯罪者を拘束しておく、あの?」
「そうです」
魔力抑制装置とは体内にある魔力を強制的に使えなくしてしまう装置のことで犯罪を犯した覚醒者に着けて拘束する目的で作られた。
魔力は体を強化する以外にも魔法やスキルの発動にも使われる。
純粋な能力値が高いと厄介ではあるけれど魔力による強化やスキルが使えなければ大きく弱体化することができるのだ。
犯罪者の拘束に使われるものが欲しいという理由が分からなくてマサヨシは眉間にシワを寄せた。
誰か拘束したい人でもいるのかと考えている。
「魔力抑制装置と言ってもそのまんま欲しいわけじゃなくて……」
トモナリは自分の考えを説明した。
魔力抑制装置でもこういうものが欲しいと説明するとマサヨシはすぐに理由を察したようだった。
険しかった表情に驚きが広がり、トモナリの面白そうな考えに目が輝きだす。
ミクもトモナリの考えには驚かざるを得なかった。
「これは面白い考えだ……もしかしたら覚醒者のトレーニングに革新が起こるかもしれない。すぐにとはいかないかもしれないが考えてみよう」
よしっ! とトモナリは思った。
「あー、あと」
「まだ何かあるのか?」
チラリとヒカリを見たトモナリはあることを思い出した。
「以前ゲートに挑む時にヒカリ用のヘルムありましたよね?」
「ああ、俺が作らせた」
「あれ、ここにも置いてくれませんか?」
戦いの時にヒカリは頭を叩かれて撃ち落とされていた。
ミクが治してくれたので大事に至らなかったけれどやはり頭を守る防具ぐらいはあった方がいい。
「ふふ、ヒカリ君思いだな。ここにも一つ置いて、持って行けるように君の部屋にも届けさせよう」
「あれかっこいいから好きだ」
「褒めていただき感謝する」
結局色々とお願いしたけれどマサヨシはしっかりとどれも受け止めてくれた。
「それと聞きたいことが一つあるんですけど……」
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