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【第九章完結!】ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした  作者: 犬型大
第九章

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世界樹ゲート1

「ぐはっ……!」


 イサキマドカの一撃を受けてトモナリが吹き飛ぶ。


「うっ……」


 壁に叩きつけられたトモナリは顔をしかめる。

 完全に肋骨が折れたような感覚があった。


「はぁ……本当にレベル六十代かい?」


 怪力スキルに剛体スキルを合わせ持つ強力な肉体派覚醒者であるイサキは、単純な力押しの戦いであれば世界でも有数の覚醒者に数えられてもおかしくない。

 そんなイサキも今は汗だくになっている。


 殺し合いをしていたわけじゃない。

 それでもトモナリとイサキは本気で戦っていた。


 ただ手加減はできるように武器はなしで、素手での戦いだった。

 トモナリは世界樹の加護という新たなスキルを手に入れた。


 どんな効果があるのか確かめるために、イサキに手合わせの相手になってもらっていたのだ。


「こんな汗かかされたの久しぶりだね」

 

 イサキのレベルは93。

 上限には達していないが、覚醒者全体で見た時上位数%のレベルの高さだろう。

 

 イサキのスキルの組み合わせはかなり良い。

 ステータスも高くて、普通のレベル60じゃマトモに戦うこともできない。


 それなのにトモナリとの戦いは汗をかくほどに激しいものになっていた。


「大丈夫なのだ?」


「たいじょび?」


 ヒカリとユシルが心配そうにトモナリのことを覗き込む。


「ふぅ……」


 トモナリは痛む腹部に魔力を集中させる。

 すると痛みが引き、肋骨がくっついていく。


「……うん、もう大丈夫」


「はぁ……本格的に化け物じみてきたな」


 ものの数分で折れた肋骨が治った。

 そんなトモナリの様子を見て、イサキは苦笑いを浮かべる。


 覚醒者は魔力を持っていて傷の治りも早い。

 魔力が強いほどに再生力も高いのであるが、流石に数分で肋骨が治るほどの力はない。


 トモナリの肋骨が治ったのはスキルのおかげだ。

 ふわっとした説明の世界樹の加護のスキル効果だったが、思いの外効果の広いスキルのようである。


 まずトモナリの再生力を飛躍的に向上させてくれる。

 魔力を使って怪我なんかの再生を速めてくれるのだ。

 

 超再生や高速再生などに代表されるような怪我を治癒してくれるスキルほどの速度で治ることはないものの、肋骨の骨折が数分で治るなら十分に早いといえる。


「魔力も……全然減った感じがないな」


 トモナリは壁を背もたれにして座ったまま、手のひらを見つめる。

 肋骨を治すのにも魔力を使ったし、イサキとの戦いでも魔力を使った。


 けれども自分の中にある魔力が減っている感覚がない。

 これもまた世界樹の加護の効果である。


 どこからか魔力がトモナリに供給されている。

 使ってもすごい勢いで魔力が回復していくのだ。


 上限が増えたわけじゃない。

 今ある魔力の上限まで回復する速度が速くなったのだった。


 だから直接的に強くなったわけでもない。


「これなら……」


 けれども魔力回復の大きなメリットが一つある。

 トモナリのドラゴンズコネクトは強力な反面、魔力の消費が大きくて非常燃費の悪いスキルだ。


 長時間の戦闘に耐えられず、どうしても短期決戦を目指すしかなくなる。

 魔力が限られているから仕方ないのだけど、魔力の回復が早いならドラゴンズコネクトの継続時間も伸びる。


 それにルビウスたちドラゴンを呼び出して維持するのにも魔力は使う。

 魔力が強くなったわけではないものの、他のスキルとの兼ね合い考えた時に小幅な強化と言えた。


「あれくらってこれで済んでるんだから強化もされてるのか……?」


 イサキの怪力を使った一撃をまともに喰らった。

 骨は折れたものの、それだけで済んだならまだ軽い方だ。


 体力なんかのステータスの値に変化はないが体が丈夫になったような気もする。


「とりあえずもう一本……」


「トモナリ! きてくれ!」


 考え事をしているうちに体のダメージも治癒していた。

 スキルの理解も少しずつできているし、もうちょっとイサキに付き合ってもらおうと立ち上がったところにユウトが飛び込んできた。


「どうした?」


「世界樹に異変だ」


「異変?」


 トモナリは思わずユシルのことを見た。

 世界樹の精霊であるユシルに何かあったような様子はない。


「今行くよ」


 それでも確認しないわけにはいかない。

 トモナリはユウトと共に世界樹の元に向かう。


「あっ、トモナリ君!」


 世界樹のところに行くとコウを始めとして何人かが集まっている。


「あれが現れて……」


 コウの視線の先、世界樹の根元に何かがあった。


「…………ゲート?」


 根っこが地面から盛り上がって出てきている。

 丸くなったような根っこの真ん中に青白く光るゲートが見えていた。


「急に出てきたんだよ、あれ」


「今のところモンスターが出てくる気配はないけどね」


 トモナリの話に聞いていたモンスターの襲撃の可能性がある、とイヌサワもかけつけていた。

 ただゲートからモンスターは出てきていない。

 

『ダンジョン階数:五階

 ダンジョン難易度:Bクラス

 最大入場数:18人

 入場条件:良い人

 攻略条件:母を目覚めさせよ』


「これは……」


「条件も不思議だね」


 トモナリは慎重にゲートに近づいて情報を確認してみる。

 特出すべきは入場条件だろう。


 レベルではなく、良い人という曖昧な条件はトモナリもイヌサワも初めて見るものだった。

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