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【第九章完結!】ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした  作者: 犬型大
第九章

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欲に目が眩んだ者5

「へっ! これぐらいらくしょー!」


「ですが、これで終わりではなさそうですね」


 ヘルムが大きく歪んだ黄金の騎士が地面を転がっていく。

 あっけないほど簡単だったと笑うサントリだが、黄金の騎士はゆっくりと立ち上がる。


 同時に歪んだヘルムと潰れた黄金の刃が直っていく。


「ふーん、そんな簡単じゃないか」


 高い再生能力がある。

 一撃で倒れるなんてつまらない相手じゃなくてよかった、とすらサントリは思った。


「んじゃ……再生する前にボコりゃいいか」


 再生持ちの相手を倒す方法はいくつかある。

 単純な方法は再生を上回ってしまうことだ。


 再生できないほどのダメージを与えるか、再生が間に合わないほどの速度で攻撃するかである。

 サントリは拳に炎をまとわせて黄金の騎士に殴りかかった。


 剣をかわし、黄金の騎士を殴る。

 ガンガンと殴られて黄金の騎士の全身がへこんでいく。


 ただへこんだそばから直っていってイタチごっこになっている。


「むっ!」


 殴られながら手を伸ばした黄金の騎士は、サントリの手首を掴んだ。

 そして黄金の剣を振るう。


「油断はいけませんよ。あなたが平気でも怪我をするとご主人様が気になさるかもしれません」


 手を金属化させたディーニが割り込む。

 サントリの腰に手を当てて剣の直撃を防いだ。


「へっ、あんがとよ!」


 サントリはニヤリと笑うと黄金の騎士の腕を逆に掴み返す。


「吹き飛べ!」


 サントリの燃え盛る拳が黄金の騎士の顔面に叩き込まれる。

 炎の勢いが一層強くなり、火炎渦巻く爆発が起こる。


「どうだ?」


 爆発の煙の中、サントリは目を凝らす。

 攻撃は直撃した。


 けれども黄金の騎士が遠くに吹き飛んでいった感じはない。


「おおっと!」


 煙が不自然に揺れ動き、サントリの目前に黄金の剣の先が迫る。

 危うく目が潰されるところだったが、ギリギリ回避した。


 目の横を剣が掠めて、赤い筋が残る。


「これでも生きてんのか」


 煙の隙間から覗いた黄金の騎士の姿にサントリは目を細めた。

 黄金の騎士は頭が吹き飛んで無くなっていた。


 処刑人はそれで倒せていたが、黄金の騎士は頭が無くなっても平気なようだ。


「サントリばかりではなく、私もいるのですよ?」


 ディーニの剣が黄金の騎士の胸を貫く。


「いいぞ、そのまま押さえとけ!」


 サントリの全身を炎が包み込む。

 広い部屋の中の気温がグッと上がったような気分になる。


「ラッシュだ! 粉々になるまで叩き込んでやる!」


 ディーニの剣の形が変化する。

 胸から突き出た剣先が抜けないように平たく広がる。


 サントリが黄金の騎士を連打で殴りつける。

 一発一発に小さな爆発が起きて、黄金の騎士が壊れていく。


「ラストだ!」


 両腕が壊れて落ち、全身がボコボコになった黄金の騎士の姿が炎の間からトモナリも確認できた。

 ディーニが剣を引き抜く。

 

 サントリは大きく手を引き、ディーニの剣が突き刺さっていた胸の真ん中をぶん殴る。

 拳から炎が噴き出し、剣の傷から黄金の騎士の中に炎が吹き込んでいく。


 両腕、そして直りかけていた頭から炎が勢いよく出てくる。


「昔を思い出すな……」


 回帰前のサントリは今よりも激しく戦っていた。

 戦う様から文字通り烈火と呼ばれていた回帰前のサントリの姿を、トモナリは思い出していた。


「へっ! どぉーだ!」


 ブスブスと黒い煙を体の中から立ち上らせる黄金の騎士が倒れていく。

 後ろにいたディーニがそのままひょいと避けると、黄金の騎士は床に当たってバラバラに砕けてしまった。


『ゲートが攻略されました!

 間も無くゲートの崩壊が始まります!

 残り0:10』


「……十分か」


 ゲート攻略の表示が現れる。

 短いだろうと予想していたゲート消失までの時間は十分しかなかった。


 これまでに攻略してきたゲートは平気で一時間とか時間があったので、トモナリが攻略してきた中でも短い方だといえる。


「けどこれなら……!」


 部屋の奥、何の変哲もない壁が開いていく。


「みなさん、あっちに向かってください! 出口です!」


 トモナリは乗客たちを誘導する。

 出られる。


 乗客たちは一気に出口に向かっていく。


「おい、どこ行くんだよ?」


 トモナリは一人、出口とは逆に走り出していた。


「まだ残っている人がいる。この時間なら逃げられる!」


 十分というのは短いが、一つ前の部屋から走ってゲートを抜け出すぐらいなら間に合う。


「はぁ……お人よしが」


「でも私たちはご主人様のそんなところが好きでこうしているのでしょう?」


「そうだな。人でなしよりよっぽどいいか」


 サントリとディーニもトモナリを追いかける。

 一人だけで残すような真似はしない。


「ボスは攻略されました! 向こうに出口があるので早く逃げてください!」


 トモナリは用件を短く叫ぶ。

 こうなったら力で従わせることも考えていたけれど、一瞬の沈黙の後にみんなワッと逃げ始めた。


「……あれ、ヒカリは?」


 みんなの一番後ろからついていくようにしていたトモナリはヒカリがいつの間にかいなくなっていたことに気づいた。


「トモナリィー!」


「ヒカリ? おおっ!?」


 どこからかヒカリの声がすると思ったら、上からヒカリが降ってきた。


「ぬぐぐぐ……抜けないのだ」


「どこからそんなもん……」


 降ってきたヒカリの手には黄金が持たれている。

 およそ一メートル四方、厚さ三センチぐらいの黄金の板だ。


 トモナリは天井を見上げる。

 黄金の騎士と戦った部屋は黄金で装飾されている。


 天井も金ピカで、その一部がハゲていた。

 どこにいったのかと思ったらヒカリは天井から金を剥がしていたらしい。


「持って帰るぞ」


 トモナリは黄金の板をインベントリに入れる。


「急ぐぞ!」


 時間もないが、外に出たあとの問題もある。

 トモナリはドラゴンズコネクトを発動させて、ルビウス形態になる。


「先行くぞ!」


 サントリとディーニを置いて、トモナリとヒカリは飛んで乗客たちを追い抜いていく。

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