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【第九章完結!】ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした  作者: 犬型大
第九章

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欲に目が眩んだ者1

「サントリ、ディーニ、戦いの準備だ」


「おっ、ようやくか」


 小さい扉からモンスターが出てくる。

 大きな斧を引きずるようにしながら出てきた鎧のようなモンスターを見て、みんなは壁に寄るように逃げる。


「‘お、おい、あんたたち!’」


 比較的後ろの方にいたトモナリだったが、みんながざっと後ろに引いたためにサントリとディーニと合わせて三人残されてしまった。


「へへ……イライラさせられたぜ」


 サントリはニヤリと笑って肩を回す。


「ほれ」


「おっ、あんがと」


 トモナリはインベントリから手甲を取り出す。

 素手での戦いを得意とするサントリはこれまで何も身につけずに戦ってきた。


 四姉妹それぞれそうなのであるが、装備はあった方がいいのは当然である。

 特殊な職業でもない限りは、防御においても攻撃においても装備があれば強い。


 残念ながらサントリとディーニはインベントリは使えない。

 常に装備を身につけている覚醒者もいるが、サントリもディーニもそれを嫌ったのでトモナリのインベントリに装備を入れてあった。


 手の甲から腕までを広くカバーする手甲を身につけて、保護された拳をぶつけ合う。


「‘か、彼らは覚醒者なのか……’」


 ディーニは魔力で作り出し金属質で防具を作り出し、さらには剣まで形作った。

 トモナリは剣のルビウスを取り出す。


 他にも何人か正体を隠している覚醒者がいるのではないか。

 そうトモナリは予想していたのだけど、ここで出てくる人はいなかった。


「‘が、頑張れ!’」


「お願い、そいつを倒して!」


 トモナリたちが戦うつもりだと察した乗客は、願うように応援を始める。


「私が行ってもいいよな?」


「ああ、じゃあお願いしようかな」


 やる気満々のサントリが前に出る。

 後ろではどうして一人だけ戦うのか、という声も聞こえるけれど、トモナリは無視する。


「僕ばどうしたらいいのだ?」


 トモナリの秘密兵器はいまだにリュックの中だ。

 出るタイミングを完全に失っていて、リュックの中からトモナリのことを見上げている。


「まだ切り札でいてくれ」


 トモナリは笑顔でヒカリの頭を撫でる。

 正直出番があるかは分からない。


 ただ今は注目度も高いし、色々ざわつかれてはうるさいので秘密のままでいてもらう。


「おっしゃ!」


 サントリの両腕から炎が噴き出す。

 見た目に派手な演出に乗客の一部から歓声が上がる。


 少しでも助かる希望を感じ始めているようだ。


「そのデカい斧……何をぶった斬るためのものなんだ?」


 鎧のモンスターは黒いシミのついた斧を引きずっている。

 まるで中世の処刑人のようである。


 モンスターの正確な名前は分からないものの、実は本当に処刑人であった。

 大きな斧を振り回して、人々の首を斬り落とすことが鎧のモンスターの仕事なのだ。


「来いよ」


 ニヤリと笑ったサントリは処刑人に対して手招きする。

 挑発されたように処刑人が走り出す。


 斧が床に擦れて火花が散る。


「ヒッ……」


 処刑人はサントリの首を狙って斧を振る。

 一瞬、サントリの首が斬られたように見えて小さく悲鳴を上げた人もいた。


 けれどもサントリは斧をギリギリかわしていた。

 喉に触れそうなぐらいミリの回避で、そんなヒヤリとすることしなくてもいいのにとトモナリは苦笑いを浮かべる。


「オラァッ!」


 サントリが大きく一歩前に出て処刑人の顔面を殴り飛ばす。


「なんだ……あっけねえな」


 処刑人のヘルムにはクッキリと拳の跡が残っている。

 なんだかゲートから出てきたばかりの時よりもサントリも強くなってる気がする、とトモナリは感じていた。


「おっ、そうじゃなきゃな」


 処刑人は拳の跡をそのままに、起き上がる。

 同じように斧を引きずって近づき、サントリに襲いかかる。


「変わり映えしねえな!」


 今度は縦振りだったが、動作が大きすぎてサントリは余裕でかわしてしまう。

 終わらせるつもりで拳を炎でまとう。


 同じく顔面に突き刺さるように当たった拳は大きな爆発を起こして、処刑人の頭をふっ飛ばした。


「‘や、やった!’」


「‘倒したぞ!’」


「私たち助かるの?」


 頭の無くなった処刑人が倒れる。

 乗客たちはワッと歓声を上げて、サントリの勝利を喜ぶ。

 

 ものすごい勢いで倒れた処刑人の体から血が垂れ出て、床の模様に流れ込んでいく。


「な、なんだ?」

 

 窪んだ床の模様に血が流れて広がり、床が淡く光る。


「あれなんだ?」


「あれは……向こうでゴールデンゴーレムが一体解放されたってことだよ」


 どうしてこんなことをさせられているか。

 一つ前の部屋にいたゴールデンゴーレムは、今トモナリたちがいる部屋で血を捧げることによって解放されるのであった。


 処刑人は文字通り処刑を行い、血をもたらす役割を果たす。

 多くの血が流れるほどに解放されるゴールデンゴーレムの数は増えていく。


 並んでいたゴールデンゴーレムは十体。

 全てを解放するためには多くの犠牲が必要となる。


「ただ犠牲を出す必要もないんだ」


 トモナリは処刑人の死体を見る。

 もう血が止まっているものの、処刑人から流れ出た血の量は異常だった。


 実は、一般人を犠牲にしなくとも処刑人を倒すことによってゴールデンゴーレムを解放することが可能なのだった。


「正面の扉の血を捧げよって言葉に惑わされたらこんなふうに大犯罪犯すしかなくなっちゃうんだよ」


 トモナリは軽くため息をつく。

 本来ならこんなことしなくても攻略できるはずのゲートなのだが、欲に目が眩むと非常に残酷なゲートに早変わりしてしまうのだ。

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― 新着の感想 ―
あ~~!なるほど~~! ダンジョンくん「『誰の血』って指定してないッスよ!(笑)」なのね~~! マグロから血抜きした血でもギミックが解除されたりして……(遠い目)
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