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【第九章完結!】ラスボスドラゴンを育てて世界を救います!〜世界の終わりに聞いたのは寂しがり屋の邪竜の声でした  作者: 犬型大
第九章

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空の上、大ピンチ2

「……何だか騒がしいな」


 一般乗客の方から何かの声が聞こえてくる。

 当然ながらトモナリたちの貸切とかチャーター便とかではないので他の乗客もいる。


 子供など騒ぐ人がいないわけでもないだろうが、そんな感じにも聞こえない。

 そもそも今飛行機に乗れる人は割とお金持ちの人が多くて、行きなんかはかなり落ち着いた雰囲気であった。


「まあ何かあっても覚醒者が……おっとっと?」


「悲鳴なのだ?」


 今時良い飛行機には覚醒者対策に覚醒者が同乗している。

 問題があっても大丈夫だろうと思っていたら、女性の悲鳴のようなものが聞こえてきた。


「確認してまいります」


 サントリとディーニが顔を見合わせ、ディーニが席から立ち上がる。


「あんまり騒ぎ起こすなよ?」


 トモナリも悲鳴は気になる。

 倒していた座席を起こして少し警戒しつつ、ディーニに見に行ってもらう。


「……あっ、戻ってきたのだ」


「…………何だ?」


 隣のビジネスクラスの方に行ったディーニはすぐに戻ってきた。

 ただ様子がおかしいとトモナリはすぐに気がついた。


 ディーニが両手を上げている。

 まるで、誰かに脅されているようだ。


「誰だ……? あいつは!」


 ディーニに続いて男が入ってきた。

 険しい顔をした男には見覚えがある。


 それは空港でトモナリとぶつかった態度の悪い男であった。


「‘全員動くな!’」


 男が腕を振ると飛行機の天井に電気が走る。

 黒い焦げ跡が残り、トモナリの他にいた乗客に緊張が走る。


「‘俺たちがこの飛行機を乗っ取った!’」


「…………マジかよ」


 突然起きた騒ぎ、それはハイジャックによるものだった。


「‘席に座って大人しくしてろ!’」


 男はディーニのことをドンと押して席に座らせると、さらに前の方に向かっていく。


「ディーニ、どうなってるんだ?」


 男もそれなりに強そうだけど、ディーニが大人しく相手に従うとも思いにくかった。

 何かあるのかと男に聞こえないように声のボリュームを落とし、ディーニに声をかける。


「向こうの方にも何人か仲間がいるようです。他の人が人質に取られていて……」


 ディーニは険しい顔をしている。

 やはりというべきか組織的なハイジャックで、男一人の単独行動ではない。


 抵抗することはできただろうが、目の前の男を倒しても仲間がいる以上他の乗客への被害が予想された。

 さすがに他の人を犠牲にもできず、ディーニは大人しく男の指示に従っていたのである。


「飛行機の覚醒者は?」


「分かりません……ただ床に血の跡がありました」


「……あんまり状況は良さそうじゃないな」


 トモナリはため息をつく。

 良さそうじゃないどころか、最悪の状況である。


「‘あー、あー。今からこの飛行機は俺たちが支配する’」


 突然機内放送が流れる。

 先ほどの男の声である。


「‘抵抗しなければ手荒な真似はしない。ただし抵抗すれば容赦なく殺す。周りの奴らも死ぬと思え’」


 何とも飾り気のない脅し文句だ。


「‘この飛行機はこれから進路を変える。どこにいくのかは秘密だ’」


「……携帯も通じないか」


 少し前まで機内のWi-Fiに接続されていたのに、今は電波が飛んでいない。

 外に助けを求めることもできない。


 進路を変えるというが一体どこにいくつもりだというのか。


「ああ……どうしたものかな」


 終末教が注目されがちだが、覚醒者の能力を使った犯罪組織は世界中に存在している。

 相手の目的が何なのかはわからないが、テロや身代金目的ということも十分にあり得る。


「……ターゲットが俺、ということはなさそうだけどな」


 少しだけ自分を狙ったものではないかと疑った。

 けれども男は俺のことを確認することもなく、先に操縦室に向かった。


 トモナリがターゲットだったなら一目ぐらいは見ていくものだろうと思うのだ。

 となるとトモナリではなく、飛行機全体、あるいはもっと別の誰かがターゲットなのかもしれない。


「変に抵抗できないしな」


 他の乗客が人質となっている以上、トモナリが暴れるわけにもいかない。

 男の口ぶりなら他の乗客も簡単に殺しかねない。


 敵の数も配置も実力も確認できていないのに、むやむに行動なんてできないのである。


「今は様子見だな」


 ヒカリがいる時点でもはや怪しいのだが、できるだけ無害を装っておくしかない。

 相手に警戒心を抱かせないように、静かに目立たず状況を見極める。


「‘改めて言っておく’」


 機内放送ではなく、男が姿を現した。

 ファーストクラスのゆったりとした座席の間をゆっくりと歩きながら、鋭い目で乗客一人一人を脅すように睨みつける。


「‘おい! どうなってるんだ!’」


 大人しくしておけばいいのに、状況を分かっていない奴がいた。

 ふくよかな体格をしたスーツの男がハイジャックの男にくってかかる。


 やめておけ、とトモナリは思うのだけど、目立つわけにはいかないのでどうすることもできない。


「‘こんなことをしてタダで済むと……’」


「‘黙れ。動くなと言っただろ’」


 少し考えれば分かる。

 悲鳴、それに機内にいるはずの覚醒者がいないのだから相手は覚醒者で、かなり容赦がない。


 くってかかった男はハイジャックの男に首を掴まれて持ち上げられる。

 片手で人を持ち上げるのだから、力はかなり強そうだった。

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― 新着の感想 ―
うわー!最悪! ハイジャックものの映画は色々観ましたけど、『空の上は逃げ場が無い』のが、1番嫌なんですよね…… トモナリ君の『奥の手』として、ヒカリくんはバッグに隠れてるといいよ。
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